ぶらぶら人生

心の呟き

かろがろ咲いて…

2010-05-22 | 身辺雑記
 ユキノシタが、庭の木陰に咲き始めた。(写真)
 ひっそりと咲く様が好きである。

 ユキノシタ(「雪の下」「鴨足草」「虎耳草」)は季語として、『歳時記』(夏の部)に載っている。
 花の白さが雪に喩えられ、形状が鴨の足、虎の耳に喩えられての命名だろう。

 渡辺水巴(1882~1946)の句として、

   ゆきのしたかろがろ咲いてはなやげる

 が、紹介されていて、うまいなと思った。
 ひらがなを多用し、<かろがろ咲いてはなやげる>と、ユキノシタの趣を捉えている。

   番長も俺も毛深きゆきのした

 という、穴井太(1926~1997)の奇抜な句も載っていて、軽妙な滑稽さを感じた。と同時に、穴井太という俳人に興味を覚えた。
 私の持っている句集を探してみたけれど、穴井太の他の句を見つけることはできなかった。
 ネットで調べ、幾つかの句に接することができ、ますます興味深い俳人だと思った。

   ことこどく木を諳んじる時雨なり
   九月の教室蝉がじーんと別れにくる
   一樹のみ黄落できず苦しめり

 など、単なる叙景ではなく、その句には、人間臭があり、物語が潜んでいる。
 今日は、ユキノシタの縁で、渡辺水巴や穴井太という俳人の句に遇うことができた。
 ささやかな喜びである。

  
コメント
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