今日は、11月3日。文化の日。三連休の初日。
365日が、みな休日の私にとっては何の感慨もなく、ただ新たな日として、今日を迎えるだけなのだが……。
朝の散歩で浜辺に出てみると、磯釣りの人が多い。
<今日は何の日?>と考え、祝日であることに気づく。
駐車場に<大分ナンバー>の車が止まっていた。はるばるここまで来なくても、と一瞬思う。が、釣り人には、釣り人の思いがあるのだろう。釣れる魚の種類が違うのかもしれないし、夢を釣りに来ているのかもしれない。
私だって、海辺に住みながら、他県の海を見に旅をする。山が側にあるのに、山を見に、はるばる出かけたりもする。何か夢を探したり、思い出との再会を楽しみにしたり、旅立ちには、様々な思いが交錯するものだ……。
そう考えてみると、釣りをしながら、全国津津浦浦旅をする人があっても、不思議なことではない。釣り道具を道連れに、外国に出かける人がいたって、おかしくはない。
散歩していて、今朝は、枇杷の花が咲いているのに気づいた。(写真)
かなり前から、葉の付け根に、淡黄色の小さな球形状のものが群がっていた。枇杷の花かしら? などと思って眺めていたのだ。
今朝、花が咲いたのを見て、あれは蕾だったと知った。
以前住んでいた家の脇に、枇杷の木があった。その木には、お店で売っている、やや長めの実ではなく、まん丸な小さな実がよく実った。実の色も、オレンジ色が濃いめだった。中には大きな種があって、果肉は少なかったが、店頭に並ぶ枇杷とは比較にならないほど、甘味が多く、おいしかった。
家の側にあったのだから、枇杷の蕾も花も見てきたはずである。
しかし、今になって、これが枇杷の花! と、改めて眺めているのだ。人間は、何かに目を泳がせても見てはいず、音を耳にしても、全く聞いていないことは多いようだ。
心が伴わなければ、見えもせず聞こえもしない、ということらしい。
歳時記を開き、「枇杷の花」の項を読んでいたら、
枇杷咲くか裏庭とんと用のなく 大橋敦子
裏口へ廻る用向き枇杷の花 山崎ひさを
といった句に会い、案外身近にありながら、人との関わりは、そう密でない花のようにも思った。実が熟すれば、食す楽しみを忘れなくても。
よく見れば、心に残る、私好みの花である。
歳時記には、<初冬に黄をおびた白く小さい五弁花が多数集まって咲く。芳香はあるが、概して慎ましい、地味、寂しい、ひっそりという印象が強い。……冬の静かな景に似合う花である。[長尾美保]>と書かれている。
樹下に佇んだとき、芳香は感じなかったが、もっと近づけばほのかな香りがあるのだろうか。
花盛りはこれからである。
散歩の途次、目にする枇杷の木は、所を違えて二本。
花が増え、風の向きによっては、その芳香を楽しめるのかも知れない。
365日が、みな休日の私にとっては何の感慨もなく、ただ新たな日として、今日を迎えるだけなのだが……。
朝の散歩で浜辺に出てみると、磯釣りの人が多い。
<今日は何の日?>と考え、祝日であることに気づく。
駐車場に<大分ナンバー>の車が止まっていた。はるばるここまで来なくても、と一瞬思う。が、釣り人には、釣り人の思いがあるのだろう。釣れる魚の種類が違うのかもしれないし、夢を釣りに来ているのかもしれない。
私だって、海辺に住みながら、他県の海を見に旅をする。山が側にあるのに、山を見に、はるばる出かけたりもする。何か夢を探したり、思い出との再会を楽しみにしたり、旅立ちには、様々な思いが交錯するものだ……。
そう考えてみると、釣りをしながら、全国津津浦浦旅をする人があっても、不思議なことではない。釣り道具を道連れに、外国に出かける人がいたって、おかしくはない。
散歩していて、今朝は、枇杷の花が咲いているのに気づいた。(写真)
かなり前から、葉の付け根に、淡黄色の小さな球形状のものが群がっていた。枇杷の花かしら? などと思って眺めていたのだ。
今朝、花が咲いたのを見て、あれは蕾だったと知った。
以前住んでいた家の脇に、枇杷の木があった。その木には、お店で売っている、やや長めの実ではなく、まん丸な小さな実がよく実った。実の色も、オレンジ色が濃いめだった。中には大きな種があって、果肉は少なかったが、店頭に並ぶ枇杷とは比較にならないほど、甘味が多く、おいしかった。
家の側にあったのだから、枇杷の蕾も花も見てきたはずである。
しかし、今になって、これが枇杷の花! と、改めて眺めているのだ。人間は、何かに目を泳がせても見てはいず、音を耳にしても、全く聞いていないことは多いようだ。
心が伴わなければ、見えもせず聞こえもしない、ということらしい。
歳時記を開き、「枇杷の花」の項を読んでいたら、
枇杷咲くか裏庭とんと用のなく 大橋敦子
裏口へ廻る用向き枇杷の花 山崎ひさを
といった句に会い、案外身近にありながら、人との関わりは、そう密でない花のようにも思った。実が熟すれば、食す楽しみを忘れなくても。
よく見れば、心に残る、私好みの花である。
歳時記には、<初冬に黄をおびた白く小さい五弁花が多数集まって咲く。芳香はあるが、概して慎ましい、地味、寂しい、ひっそりという印象が強い。……冬の静かな景に似合う花である。[長尾美保]>と書かれている。
樹下に佇んだとき、芳香は感じなかったが、もっと近づけばほのかな香りがあるのだろうか。
花盛りはこれからである。
散歩の途次、目にする枇杷の木は、所を違えて二本。
花が増え、風の向きによっては、その芳香を楽しめるのかも知れない。