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ヨシプ・ストルチェル=スラヴェンスキのオリエンタル交響曲を聴く

2020-04-04 10:46:11 | 古典~現代音楽バルカン地域編
今回は1896年に生まれたユーゴスラヴィアの作曲家、
ヨシプ・ストルチェル=スラヴェンスキが、
1934年に作曲したオリエンタル交響曲をとりあげる。
スラヴェンスキはクロアチアのチャコヴェツに生まれ、
(CDの解説書ではなぜかザグレブになっている)
ブダペストで音楽を学び、コダーイに師事した。
オリエンタル交響曲は様々な宗教に関する音楽である。
今回聴いたCDはメラニア・ブガリノヴィチのメッゾ・ソプラノ、
ドゥシャン・ツヴェイッチのテノール、
ドゥシャン・ポポヴィッチのバリトン、
ザーコ・ツヴェイッチのバス、ジヴォイン・ズドラフコヴィチ指揮、
ベオグラード・フィルハーモニー合唱団及び管弦楽団の演奏による。
なお、独唱者の人名や各楽章の内容は自ら訳したので、
誤りなどがあると思いますが、ご了承ください。

第1楽章異教徒(先史時代の音楽)は、
打楽器の原初的なリズミックな音に続き、
独唱者と合唱が歌うが、歌詞はない。
力強い生命感あふれる音楽である。
第2楽章ユダヤ教徒(音色のある音楽)は、
ハープの音に始まり、フルートが神秘的な旋律を奏でる。
やがてその他の木管楽器が絡んでいき、
独唱者や合唱が加わっていく。
そしてアーメンを繰り返して終わる。
第3楽章仏教徒(構成的な音楽)は、
木琴とヴァイオリン独奏で始まる。
同じ音型を繰り返し、やがて活気あふれていく。
金管楽器のファンファーレ的な音のあと、
バリトン独唱と合唱が歌い出す。
途中からソプラノ独唱も加わり、盛り上がっていく。

第4楽章キリスト教徒(旋律的な音楽)は、
ハープと弦楽器で始まり、合唱も加わる。
合唱は「キリエ・エレイソン」と繰り返していく。
第5楽章イスラーム教徒(明瞭な発音の音楽)は、
合唱が伸ばすの音の上にテノール独唱が、
コーラン読誦のような旋律を歌っていく。
それが終わると打楽器の叩くリズムの上で、
フルートが旋律を奏でていき、他の木管楽器も絡んでいく。
とてもエキゾチックな感じあり、やがて合唱が加わり、
スーフィーの音楽のように盛り上がり、突然終わる。
第6楽章自由思想(多声的な音楽)は、
様々な楽器の奏でる旋律が絡み合っていく。
まるで今までの色んな宗教が絡み合っていくような、
そんな文化の融合を感じさせる音楽である。

第7楽章戦いの賛歌(調和的な音楽)は、
前奏に続き合唱が力強く歌い始める。
力強いその歌は、今までの苦しみを乗り越え、
勝利に向かっていこうとする感じが伝わる。
打楽器や金管楽器が鳴り響き、最後盛り上がったところで終わる。
この音楽はユーゴスラヴィアという様々な文化が混ざりあう
その地域ならではの中で生まれたんだろうなと思わせる。
昨今の新型コロナウイルスのニュースとともに、
この音楽を聴いていて、改めて宗教や国を超えて、
目には見えない敵に戦っていくことが必要だなと感じた。

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