Mars&Jupiter

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グスターヴ(グスタフ)・ホルストの「祈り」、「誘惑」、そして「1年の朝の踊り」

2007-11-18 05:50:58 | グスタフ・ホルストの交響曲・管弦楽曲
昨日も風邪が治らず、ウォーキングは休みました。
今回でイギリスの管弦楽編は終わりにする。
ホルストの管弦楽曲について3つあげよう。

「祈り」は1911年に作曲され、同年初演されている。
しかしこの曲も再演されたのが1983年になってからであり、
長い間忘れ去られた作品となっていた。
「祈り」というタイトルをなぜ彼がつけたかは、
わからないが関係するのはオペラ「シータ」である。
その第2幕に「夜明けへの祈り」というのがある。
そもそもこの「祈り」の原題は「夕方の歌」なので、
これは「夕陽への祈り」になるのだろうか?
そんな仮説みたいなものを解説では書いている。
明らかにこの曲は初期のロマン派的な音楽とは違う、
ホルストの新しい境地を示し始めた転換期の曲だろう。

「誘惑」は、シカゴの舞踏団に委嘱され1921年に作曲された。
第1次世界大戦の終わりにかけてのイギリスでは
様々な作曲家が、短いバレエ曲を作曲する活動があった。
一時期それは注目を浴びたが、長続きはしなかった。
その活動の最後の時期にあたるのがこの作品のようだ。

シナリオはアリス・バーニーによるもののようだ。
物語はこうだ。部屋の中にはろうそくの炎が灯っている。
その光は見事な輝きをみせており、
その光に魅せられ蛾が寄ってくる。
そこに「フォリア」という名の最も美しい蛾が現われる。
しかし、「フォリア」は炎の誘惑を無視する。
「フォリア」の美しさへの欲望に満たされた炎は、
「フォリア」を焼き尽くすまでその力を強めていく。

この作品は完成を急ごうとした余り、
この時代に書かれた他の作品に似た旋律などを使い、
類似したところが指摘できるようだ。
1926年にこの作品を上演してもらおうと働きかけたが、
失敗に終わった作品のようだ。
確かにシナリオ自体の内容をみるとインパクトがなく、
上演には難しい作品だったのかもしれない。

「1年の朝の踊り」は1926年から1927年の間に作曲された。
同じ作品番号にあたるのが「金のガチョウ」であり、
この2つは同じ時期に作曲され、全曲版も出ている。
今回聴いたのはその音楽の一部で、導入部に続き、
第1の踊りから第4の踊りまで続いていく。
イギリス民謡風の旋律は、親しみやすく、
いかにもホルストらしい軽快な音楽である。

なお、今回の管弦楽曲その他の地域編に関するCDの情報は、
私のHPの以下のアドレスに載せてあります。
http://www1.ocn.ne.jp/~bocchi07/ongaku-kenkyu.html
管弦楽曲イギリス編を参考にしていただければ幸いです。
コメント
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