そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

EUの理想と現実のジレンマ

2015-06-29 | EU

ギリシャの国民は銀行に殺到している。EUに対する債務不履行(デフォルト)が現実のものになってきたから、預金を折ろうとしているのである。あと20日でギリシャに銀行は、欧州中央銀行(ECB)からの援助を打ち切られるからである。もうすでに銀行は、ATMの使用の限定に踏み出している。
ギリシャは国民投票までの猶予を願い出たが、EUがこれに応じなかったからである。国民の7割はEUへの残留を望んでいるが、財政緊縮策への抵抗が強く、債務不履行に陥れば離脱も現実のものになる。当然、ユーロは使用できなくなる。

ヨーロッパは、二度の世界大戦の経験から国家としての統合を目指し、欧州共同体(EU)の設立へと歩みだした。その第一歩として、金融統合を行い、国境の壁を低くしたのである。このことは高く評価したいし、昨年その理念に対して、ノーベル平和賞を受賞した。
しかし現実は、それぞれの国家で財政計画・予算組をやっている。そのため、共通通貨ユーロの評価が国によって、損得の幅が大きいのである。
二度の大戦を起こしたのはドイツであり、元々はドイツを抑え込むための統合ともいえるのである。ユーロが、ギリシャやイタリアやスペインのためユーロ安になれば、ドイツの車などの輸出産業は大いに潤うのである。そのため、当初の目的とは大きく外れ、統合でドイツがより一層大きくなったのである。
ギリシャの財政破たんの原因は、国内にもあるだろうが、通貨統合も大きな原因なのである。そのため支援を繰り返してきたが、ここにきて匙を投げだしたと言える。

中東の政情不安から、安全なヨーロッパへの難民が後を絶たない。かつての植民地と宗主国の関係にある地域であるし、地理的にも難民が行きやすいこともある。財政的にも困難な人数になってきたので、財政不安を抱える南ヨーロッパの国々は悲鳴を上げだした。
おまけにそれぞれの国では、難民排斥運動が強くなってきた。政治的には、民族主義団体や右翼団体の台頭が著しいのである。政治的に影響を持つまで議席を各国で占めるまでになている。
国境の高さを低くするのが、EUの目的でもある。EUは理想と現実のジレンマを、内と外から直撃され、大きな試練に立っていると言える。

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