そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

プーチンが中東を支配し始める

2015-10-09 | プーチン
オバマは在職8年間で全く外交上の成果を上げることができなかった。ブッシュという、稀代の戦争大統領の尻拭いという、ハンディを背負ったスタートということを差し引いても、失政の繰り返しである。とりわけ、シリア空爆をプーチンの恫喝で躊躇したことが象徴的である。まるで外交経験のない経歴の大統領であっても、アメリカは容赦しなかった。唯一の外交成果がキューバとの国交回復とは淋しい限りである。TPPを強引に妥結した(ようである)が、次政権がどれほど継ぐことになるか、危ういものである。
今になって身動きの取れないオバマを見て、シリアでプーチンが攻勢をかけてきた。シリア政権の要請ということで、アサド政権に強力な支援をしてきたのである。国連でのアメリカの反応に自信を持ったのであろう。
シリアでは、欧米の支援を受けアラブの春を起こし損ねた反政府勢力の自由シリア軍が、ISIS(イスラム国)に脅かされて、まったく存在感をなくしてしまっている。当初は、ヨーロッパ各国の支援もあったが、今は一部はISISに合流しているらしい。アメリカの空爆は、ISISに対して成果を強調するほどの実績は上がっていない。
自由シリア軍の要請による軍事介入は、国際法に違反する。正式な政権はアサドである。そうした意味でも、ロシアの軍事介入は国際法上問題はないことになる。アサド支援以外の手段では、ISISに対抗できないと明確なメッセージを出している。イラクですら、ロシアに頼ろうと言い出している。
ロシアが巡航ミサイルを放って、ISISを攻撃したと公表したが、アメリカは自由シリア軍を攻撃していると反論している。アフガニスタンで、正確に誤爆を繰り返し国境なき医師団の病院を壊滅させたアメリカの言い分は信じがたい。政治的脚色の匂いがする。ロシアは地上軍も投入している。
ロシアは、シリアを支援することで中東の大国、イランとエジプトの今後大きなパイプを持つことになる。ウクライナでは、ロシア的には勝利していることもあり、EUの支援すら得られる。フランスもイギリスもアサドの支援をしなければ、ISISは壊滅できないと思い始めている。何よりも、両すくみがありイスラエルが傍観していることが大きい。中東でのプーチンのやりたい放題が始まった。
ロシアはこれまで、中東に大きなパイプを持っていなかった。ソビエト時代に南下にアフガニスタンを介入した見たが、失敗している。国内のイスラム国家の反発も大きい。イランとアメリカの国交断絶も大きい。難民騒流出でも、大きな話題性もある。
今回のシリアへの軍事介入は千載一遇のチャンスである。オバマの優柔不断とISISの台頭が口実になった。これで終戦後に、ロシアは絶大な地位を中東に築くことになる。それもこれも、ブッシュの軍事介入による混乱と、オバマの無策によるものである。大国の政治的・軍事的干渉でシリアという国は壊滅寸前である。
世界中がアメリカから離反している。ヨーロッパ各国も元気なオバマと、やや失速する中国に取り込まれる形で、アメリカに距離を置き始めている。そうした流れの中にあって、日本だけが失政を重ねるアメリカの軍事力に、憲法違反の法を作ってでもひれ伏そうとしている。

コメント (1)
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