大阪の橋下市長の出自に関する連載「ハシシタ奴の本性」が、橋下の講義で打ち切られ、週刊朝日の編集長が更迭された。
これはルポライター佐野眞一の執筆によるものであるが、橋下の出自については、格段新たのことではない。父親の出自とやくざ稼業になれの果てに、自殺している。このことについては、過去の報道され新しいものではない。
橋下自身が、選挙時のネガティブキャンペーンに対抗し「結構毛だらけ、坊ちゃん嬢ちゃんにはこんな改革できません」と、逆手にとったくらいである。
今回の佐野の文章も、過去の報道とそれほど大きく変わった内容はない。問題があるとすれば、宣伝文句である。差別を公然と打って出るような内容であった。これは確かに汚い表現で問題である。
橋下が今回問題にしたのは、朝日新聞系列すべてである。記者会見に出席を拒んだのである。明らかに、これまで繰り返された朝日新聞への攻撃である。お門違いもいいところである。
朝日もおめおめと、謝罪して26日に編集長を更迭した。何の言い訳もなく、すべて認めての謝罪である。橋下は公人である。報道者の言論は権力者への見張り番である。いとも簡単に橋下の軍門に下った、朝日の情けない態度は報道者の取るべき態度ではない。
もう一つがiPS細胞の臨床成功の、読売の大スクープである。朝刊に大々的に報道した。夕刊では日本の多くの新聞がこの報道を追い報道した。北海道でも、地元紙北海道新聞が一面トップ報道した。時あたかも、山中氏のノーベル賞受賞に沸く中である。
私はこれは誤報道と直感し、タイトルだけを見て内容には目を通さなかった。多少の知識があれば、簡単に間違いであることが判るはずである。
これは不手際では済まされない。編集者の無知である。取材の粗さである。読売は、編集局長と編集局総務の長を、2か月の30%減法の処分をした。
読売は今回の名前を売り込みたかった、落ちこぼれの研究員もどきの発表内容を、全く検証してはいないことが判っている。報道人としての姿勢と、知識の欠如については、言い訳以上の明快な反省は見られない。
日本の2大メディアの編集者が、いとも簡単に記事を書いたり謝ったりする姿に失望したのは私だけだろうか?