そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

消費税のあり方が論議されていない

2012-01-22 | 政治と金

世論調査によれば、やむなしとする人も含めると、日本国民のほぼ半数が消費税の導入に賛意を示している。マスメディアの誘導によるところが大きいが、消費税の持つ問題についての論議は封印されたままの増税案である。

消費税の最大の問題は、最も取り易い多数の庶民の負担が大きいところにある。単に逆進性という言葉で語られるが、これは実態を示すにはなかなか困難な中身がある。

そもそも、政治とは弱者の救済であり、富の再分配であるはずである。高所得者の税率が高いのは、そうした意味があったはずである。

消費税にはそれがない。高所得者は、公平であると主張するが、同じと公平とは異なるものである。逆進性とはこのことを意味するのである。

その落差を埋めるために、消費税や付加価値税に対して、EU諸国では優遇税制を導入するよう指示している。庶民がどうしても必要な、食料や教育に優遇税制を導入している国は少なくない。

消費税率が複数設けられることになるが、優遇税制には、食料、水、医薬品、障害者機器、書籍等・定期刊行物、農産物生産機器、スポーツ用品、葬祭関係、児童・老人用品などなどがある。

昨年の状況では、フランスが標準税率19.6%、軽減税率として農産物、書籍、公共機関等が5.5%、そして2.1%として食料、医薬品が設けられている。

ドイツが標準税率16%、軽減税率が7%と2%に分かれていて、2%が食料費、農林業の生産費、車椅子等である。

イギリスの標準税率が17.5%で、軽減税率が5%とゼロである。イギリスは昨年改定され詳細は確認していない。要するにこれは低所得者への配慮なのである。

一方日本の民主党は、こうした優遇税率あるいは複数税率の複雑さを指摘している。(民主党税制抜本改革アクションプログラム)

そこで民主党は、いったん徴収しておいて、返却する案を提示している。消費税額控除というもので、低所得者に還付することを考えている。この方が解り難い気がする。

消費税の導入に当たっては、本来政治が行わなければならない、弱者・低所得者への救済処置を何よりも先に考えるべきなのである。

今回、国の財政がもたないとか、社会保障費が毎年1兆円増える、ギリシャのようになるという恫喝が先行して、消費税の本来のあり方がなおざりにされたままである。

ただひたすら増税案として消費税が、社会保障を生け贄に提案されているのである。私は経済成長論者ではないが、これでは経済を冷え込ませるだけになることは目に見えている。

今一度冷静に、消費税導入に当たっての地ならしが必要と思われる。

<左にオオワシの受難>アップしました。

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