そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

EU危機に学ぶグローバル化の教訓

2012-01-06 | 政治と金

EUで起きている、ユーロ危機といわれる現状は、グローバリズムへの警鐘である。この危機は産業の問題ではなく、金融問題なのである。

何はともあれ、通貨統合をやってみたけれど、政策統合をやったのでなければ、財務を共通化したのでもない 。ドイツはギリシャの国債を買ったけれど、ギリシャの財務内容のチェックまでしているわけではない。所詮他国の台所である。

実態産業が強い国家が先ず、欧州の統合に動き出した。1899295611言い方は適切でないかも知れないが、自国の弱い通貨を持つ国々が、後から統合に加わった。強いユーロが欲しかったのであろう。

産業の強弱体質は、北の諸国と南の国々では事情が違うのは当然である。ポルトガルとイタリアとアイルランドとギリシャとスペインを、卑称PIIGSと呼んでいるが、どうやらアイルランドが抜け出しそうである。

アイルランドは、国家の方針に従って20%給与削減などに応じた。安くなった土地と、法人税の安さと英語圏の強みで、外国企業に誘致に成功するなど、財政赤字の解消に目処がつく名でなってきた。アイルランドの民族性かもしれないが、残るのは南方の国々である。

インフレ率が北が3%であるのに対して、南は5%程度である。つまり、北の国で蓄えた人たちは、南に行って高くなった利率とともにユーロを引き出すのである。こうした無数に近い格差で、南は北に収奪されることになる。

これは、単一の国家内でも起きている。日本の地方では、効率的に生産する企業や産業は、ほとんど全て地方都市へと集約され、更に東京へと集約される。単一の国家内には、関税が存在しない。

EUではこれらの国家を支援しなければ、共同体として成り立たないため、財政的支えを行うことになる。それが、この不景気の時代更に不安定要因となる。

フランスがいい例である。財政赤字が更に膨らむことになり、雇用不安が更に増大する。選挙を控えたサルコジは、目先の当たりの良い政策を打ち出し根本解決に至らない。

EUで起きているのは金融危機である。経済のグローバル化を金科玉条とする、無関税システムのTPPなどは、やがてこうした金融危機を生み出すことになる。

やがて、資本の大きなところあるいは経済効率の高いところが、周辺の資源と人間を収奪することになる。都会化の進行と、過疎化が起きる現象は、政治の理念が富の分配にあるなら、グローバル化に慎重でなければならない。

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