小沢一郎をマスコミが「政治とカネ」の問題で、良いだけ叩きまくっている。野党は民主党を攻める格好の材料にしている。政治とカネと言うお題目に誰も反対し ないからだ。それではこの問題は何だったのか、今一度検証して見る必要がある。
元はと言えば、西松建設との贈収賄をターゲットに、検察が仕立てたシナリオに沿って3年ほど調べまくったのであるが、何も出てこなかった。出てきたのは、若手育成のための寮の建設予定の土地に小沢が大金を出しただけだった。この金の出所は良く解らないままであったが、報告書への記載漏れが見つかった。しかも4カ月あとには報告されてはいたのである。年度をまたいだので、当時の秘書の石川議員ともう1人が逮捕された。かなりの微罪である。しかもこの二人は無罪になる公算が高い。
これに小沢が関与していたのかどうかが問われている。ベテランの検事が無理と判断した。検察官は法律の専門家であるが、これに半数以上が20代の素人の集まりの、検察審査会が起訴すべきと判断したのである。私は小沢一郎が好きではない。新進党などを解党した時の政党助成金などを前回の衆議院選でばら撒いたようであるが、これは違法ではないが不当な金である。こんな男が好きにはなれない。しかしこの審査会の判断はどう見てもおかしい。どの道無罪になる公算が大きい。
一方で党内選挙で勝った、菅政権は小沢がかつて掲げていた政治指針を、すっかり切ってしまった。小沢は民主党の代表時代には、財界との関係はきっぱり断っていた。面会もやらなかった。菅は企業減税をやった。マニフェストにはなかったことである。
地方出身の小沢が掲げた農民への所得補償制度は、マニフェストにすらなかったTPPの思想と明らかに反する。菅はもうすでにTPP加入は当然とまで発言している。TPPとは、アメリカが他国の法制度まで及んで、自国を守る制度を作ることである。公務員の人員削減も、アメリカとの対等な関係も、菅は反故にしてしまった。全く検討の対象外であった消費税が、ここに来てカウントダウンに入っている。
要するに、菅にとって小沢は目障りな存在でしかなくなったのである。政治とカネと言う正体不明の言葉を引き合いにして、小沢をいけにえにすることで延命を図っているとしか思えない民主党の現在の姿である。