そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

TPP参入を前提の論議に代わった

2010-11-21 | 政治と金

鹿野農水大臣がNHKの番組に出て、TPP対策に農業の規模拡大に取り組むと発言している。戸別補償も一律ではなく。規模拡大農家に対して厚くするなど、日本農業の競争力を高めるための方針としいるようである。これはすでにTPP参加を既成事実としての発言とれる。

全中などは反対の意思表示はしているもののどうも動きが鈍く、お金をいくら引き出せるかというような方向にあると思われる。農協関係の報道でも、TPPに徹底抗戦という姿は見ることが出来ない。民主党内も、小沢グループを中心に「慎重に検討する」という表現で、山田前農水大臣が中心になった反対行動も、今一つである。自民党内も賛否ほぼ半分に割れている。仙石官房長官も、与野党内に賛成者と反対者を抱えるため、徹底的な反対は起きないと呼んでいる節がある。

小沢グループ、あるいは小沢一年生ガール達などの多くは、地方出身者である。政権中枢から外された中堅と、経験が浅く先輩の顔色を見ながら行動する一年生たちが、仙石官房長官の手練手管に動きが取れない。結局はTPP参加は進められることになるのだろう。こうした認識から、

農業の規模拡大が競争力を付けるのは幻想でしかない。ある程度のコストダウンは、コメなどでは起きるかもしれないが、タイ米などに比べると実質的に20倍ほどの価格差がある。規模拡大によるコストダウンはせいぜい数十%である。価格差を縮めることなど不可能なことである。

競争力は価格だけに現れるものではない。安全や味覚それに環境保全の役割りなど消費者評価に耐えることも重要である。持続可能な農業であることも大切な要因である。自国の農民に、タイなどと同じ人件費を対価とするならそれも良かろうが、生産者は国内の消費者でもある。特に地方の疲弊が進むのははっきりしている。農産物評価を価格だけに限定する無関税度の導入は余りにも危険である。

規模拡大は、相当な資金援助がなければやってい行けない。天候不順や景気の上下で大きなダメージを受けるからである。農業形態も天候に左右されるような形になるだろし、被雇用者が主体になるのであれば景気の動向を受けやすくなる。なによりも、農業としての生産能力が落ちることになる。こうしたことを総合的に考えて、食料の自給率を高めるべきと、これまで論議されていたはずである。

農水大臣は安倍内閣から、僅か4年で13名も代わっている。全くの素人を何度も据え付けてきた。農政通もいたが多くは素人である。こんな国が農業政策に一貫した政策を採れるはずがない。農業支援は金を出すことで、方針は規模拡大などという、EUではとっくに否定されて様な方針しか持ち合わせないこの国の農政の貧相な発想には、ただただあきれるばかりである。

コメント (2)
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