今日(10月10日)北朝鮮は、朝鮮労働党設立65周年のパレードを行った。規律良く何人もが足を揃えて歩く パレードである。練習に半年もかかるそうである。何もかもが遅れている国で、国家の威信のためだけに駆り出され練習を強制される哀れな人たちである。更にこうした行為が、国家の威信につながると思っている指導者たちは、もっと哀れである。
北朝鮮は、世界のメディアの撮影を許したばかりか、ライブ中継をやっていた。 何が変わったかというと、権力を移譲させたい息子のお披露目であるからである。65周年も中途半端であ る。60年の時には、金正日が脳梗塞になっていた。あわてて、後継者を長男と二男を超えて、三男の金正恩に決めた。親子で国家の最高権力者の地位を移譲し続ける国家が、21世紀の今日存在することも異常である。
この国家には修復能力がないのだろうか?今日起きている北朝鮮を巡るあらゆる問題は、金王朝と揶揄される体制に全ての原因がある。国民の貧困と飢餓、貧富の格差、国家警察・軍隊による恐怖政治の徹底、周辺諸国への軍事的圧力と恫喝、核を背景にしたおねだり等々何を取っても、この政治体制に問題の根源がある。それも今後も継続するのである。
同じ日に、北朝鮮から1998年に南に逃れてきた元労働党書記長の、ファン・ジョンヨブ氏が亡くなった。北朝鮮の「主体思想(チュチュ思想)」を体系化させた人物である。金正日体制を作り上げることにも、主体的な役割をしたナンバー2にまでなった男である。風呂場で亡くなっていたとのことである。
彼には、北朝鮮から殺害命令が下りている。暗殺の具体的な動きも確認されている。事件性はないとの当局の発表である。真相は定かではないが、86歳という年齢を考えると矢張り事件性は薄いかもしれない。北朝鮮の政治体制の変革を訴えていたがそれもかなわず、故郷を離れての無念の死去であったであろう。
奇しくも、今日は10年10月10日である。北朝鮮が大きな変化が起きればという期待を込めて、大きな転換点になればと思う。