モンサント社が、牛の成長ホルモン(BST)を武器に酪農領域に入っていたのが20年ほど前である。牛の成長ホルモンを投与すると、乳量が伸びるのである。20%近くも、泌乳量が伸びる。当時は驚異的な目で見られたものである。
現在アメリカの酪農では、牛成長ホルモンを投与することは日常的に行われている。一時はアメリカ生産の牛乳の、80%を超えるといわれているが、データーがなく詳細は不明である。勿論モンサントの発表などない。農家には一定の利潤はもたらす。
モンサントが、大腸菌を通じて牛成長ホルモンを生産する技術を得た。この牛成長ホルモンを牛に与えるには、注射するしかない。最低月に2回乳牛に注射をするのである。
モンサントにしてみると、間断なく売ることができる、商品としては願ってもないものである。ポジ ラックという商品名で飛ぶように売れている。注射は日本では獣医師しかできないが、そうしたことに規制がなく杜撰なアメリカでは、一般農家でも可能である。ほかの抗生物質なども同じである。
解り易く説明すると、牛成長ホルモンの投与は、「乳牛のドーピング」とっていいものである。
牛成長ホルモンを投与された乳牛から生産された牛乳は、製造された牛成長ホルモンが天然のものと全く同一であることを理由に、政府は検査すら行っていない。遺伝子組換え種子と同様である。
牛成長ホルモンの投与は、EUや日本では許可されていない。しかし、アメリカの消費者も疑問を抱いてはいるようである。ノンBST牛乳と銘打った牛乳が、高価格でも飛ぶように売れているからである。
恒常的に、牛成長ホルモンを注射された牛が、正常でるとわ思えない。事実、乳房炎の多発や乳成分の低下などを指摘する学者がいる。
同じ量を食べて、乳量が20%も多くなる牛が正常であるはずがない。最近は、牛成長ホルモンの投与は減少しているようである。
モンサント社は、人間の健康や牛の健康や、健全な農産物の生産など全く興味がないのである。社是として、Food,Health,Hopeを掲げていながら、徹底した利潤を追及するのである。
世界的な、穀物の高騰や食糧危機とをうけて、モンサント社はこれからも相当業績を伸ばすことが予測される。