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そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

アメリカ穀物戦略の成功

2008-06-08 | 農業と食

日本が大量の食糧を輸入し始めたのは、終戦後の飢餓に乗じたアメリカの小麦の売り込みであった。緊急輸入された人道的な支援が終わったとたん、アメリカが余剰小麦を大量に日本に売り込みはじめた。

アメリカ穀物協会の当時の担当者は、その時を振り返り思った以上に日本が購入したことを驚いていた。片方では、「米を食べると頭が悪くなる」あるいは「脚気になる」と、小麦食の大々的キャンペーンを行った。

全国にキッチンカーを走らせ、とりわけ地方での食糧改良の普及を行った。当時協力した日本の、俄か仕立てのエセ「栄養学者」たちは、料理法に始まり栄養分析を書きまくっていた。Bird_flu_hits_one_more_vietnamese_l

日本人はこうして、60年代をピークに米を食べることを次第に放棄していった。さらに、第2弾として、穀物協会が行って大成功したのが、家畜へ給与するシステムの普及である。

家畜は、本来人が食べられないものを食べて畜産物を生産するのである。家畜に穀物を給与させて、卵や牛乳さらに、鶏肉、豚肉、牛肉を生産させたのである。これは、人の小麦食への転換以上に成功した。

70年代から、日本の畜産状況は大きく変貌し始めた。それまで、100羽程度だった採卵鶏Photoの経営規模は、10年程度で100倍になった。さらに現在はその10倍程度の10万羽でも中規模といわれる現状にある。

片方では、「物価の優等生」と呼ばれる卵は、雛を供給する特定の養鶏場から間断なく送ら れ、数度のワクチンを接種し、極めて限られた檻の空間で、大量の穀物を給与されて卵を産み続ける。わずかに生産性が落ちても、廃鶏として処分される。

ここでも、アメリカの穀物を普及させるために、多くのエセ「栄養学者」が、家畜への給与法の情報を大量に垂れ流した。その栄養学者たちが、牛に普及させたものにBSEの原因となった肉骨粉がある。

豚も牛も基本的には鶏と同じである。供給側の問題だけではなく、消費者には裕福感を与えさせることで畜産品は普及してきた。

現在輸入穀物は、3000万トン近くあるが人が1000万トン食べている。無関税で輸入される畜産飼料は、2000万トン近いが、1000万トンを鶏が食べている。

日本の食糧事情が大幅に変ったのは、「キンダイカ」と称してアメリカ穀物を消費する形態を追い続けたことにある。アメリカ穀物協会の戦略的大成功が、日本の食料自給率を下げている最も大きな原因である。

コメント (3)
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