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そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

飼料が高くなっても知らん顔の酪農家たち

2008-05-20 | アニマルウエルフェアー

今や日本国には、値上げラッシュのようである。海外に60%以上も食糧を依存している現状では、穀物の値上がりで当然のことである。以前に2度ほど書いたが、最も国際価格が上がっているお米は誰も騒がない。

Ai465e01  自給しているものは、そんな海外事情は関係ないのである。同じことが、酪農家にも言える。大規模農家は、輸入飼料依存率が極めて高い。大量に穀物を与えることで、飼料を作らなくても多頭数を飼うことができるからである。

畜産の現場では穀物を「濃厚飼料」と呼ぶ。高カロリーの穀物を与えることで、高生産を家畜に強いることになる。家畜はたまったものではない。高生産農家の家畜は、肥満による肝機能障害の家畜ばかりである。家畜は生産を強制されて苦痛から逃れられない。獣医さんは大忙しである。

こうした、政府のご推奨の大型農家は、海外に依存する穀物の高騰をまともに受けている。畜産農家は、飼料安定基金を積んでいるが、それも底をつきそうである。自民党配合飼料高騰対策プロジェクトチームは、畜産農家の要請を受けて大忙しである。

ところが、酪農にあっては自給飼料を中心に牛を飼っている人たちは、飼料の高騰などどこ吹く風である。多少の出費増はあるが、ほとんど無関係である。食糧安保の姿をここに見ることができる。

自給飼料(草など)を生産して、乳牛に無理をかけずに大切に飼っている酪農家には、事故はほとんどない。1頭当たりの生産乳量は、大型農家の半分。飼養頭数は、3分の1か4分の1Sippo程度である。家畜は健康そのものである。

こうした健全な酪農家を、輸入飼料を無関税にするなどで大型農家を推薦してきた政策から外してきた経緯がある。こんな時代になっても、輸入穀物を何とか安くできないかと画策する政策は、健全な畜産農家を育成しなくなる。

お米が高騰しても騒がないことと同じように、自給飼料主体の酪農家は穀物高騰の時代になっても全く騒がない。ここらで、家畜の健康を考えながら生産する健全な畜産農家を育てる政策を、打ち出してほしいものである。

不健康な家畜が生産する、肉・卵・牛乳をスーパーの安売りで買い求める消費者たち。あなた方はいつまで、安ければいいと思っているのですか? 多少高くても、健全な畜産製品が欲しくありませんか。

コメント (2)
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