予定通りというか、まるで何事もなかったように、道路特定財源を10年間国民からとる法案が、衆議院を3分の2の多数で可決した。参議院の否決を受けた結果、福田内閣が行った3度目の蛮行である。
すんなり行ったので、慣れっこになった国民にとってはニュース性が低くなった。先ず、参議院の存在意義はどこにあるのだろうか。衆参のねじれを、容認したうえでの国会運営の経験が与党にない。野党にもない。
道路特定財源を一般財源にすると福田首相は表明した。道路目的税が、いい加減な使われ方をしていたことが次々に暴露されたことで、やむなく表明したのであろう。
これを聞いた与党の、おえら方たちはビックリしたようである。何しろ、だれの相談も根回しもなく、福田首相が仕方なく表明したのであることが、周辺の反応からはっきりしている。
しかも、10年間維持するとしながら、今年一年はこのままであると言うのである。福田首相らしい、優柔不断な決断である。
一般財源化は福田内閣で意思決定した。閣議決定といっても拘束力があるわけでない。時代が変わったとか、内閣が変わったとなれば、いつでも覆すことができる。
何よりも、10年間道路特定財源を維持するが、来年から特定財源にするなどとすることと矛盾する。この法は、一般財源化の問題が出る前に衆議院を通過した法案である。
一般財源化の内容を盛り込むのであれば、新たな法整備があって然るべきである。その準備もなく、今まで通りの道路目的税でありながら、道路には使わなくてもよいなどとは説明が成り立たない。
これを容認した自民党の実力者たちの態度は、結局は道路に使えばいいんだとする思惑を持ったまま、政局を念頭にした妥協でしかない。立法の本質を無視した今回の決定であるといえる。
目的が無くなったなら、敢然と撤退するべきである。道路特定法案は廃棄するべきで、新たな法目的をガソリンなどに課すことにすればいいのである。行き詰った結果、福田の最後っ屁のような情けない可決である。
この経緯を見ていると、この法案は骨抜きにされることは、火を見るより明らかである。