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そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

読め! わだつみのこえ

2007-04-03 | 地位協定

Photo_105 岩波書店の月刊「図書」が、創刊80年記念号”私の三冊”を出版した。10年ごとに行なっているのであるが、今回は異常と思えることが起きている。

今回232名の方々の最も多くの人が推薦し”私の三冊”としてげたのが、学業半ばで戦場に繰り出された学生たちの書簡を編集した、「きけ わだつみのこえ」であった。2位をかなり引き離して、多くの識者から推薦を受けている。「憲法改正」の動きが盛んに論議される、今日の状況を受けてのことでないかとは、編集者の推測である。

学徒出陣はもう知る人も少なくなった言葉ではあろう。当時の学生は、極めて学業優秀な少数の人間であった。敗戦濃厚な中、周辺の期待を一身に背負った学生たちが国へ奉げる命や運命の矛盾の虚しさを知るに相応しい本である。

昨年、兄と「きけ わだつみのこえ」の画学生版ともいえる、戦没した画学生の遺作を集 めた0606_5長野の美術館「無言館」を訪れた。彼らの作品を一つづつ見ていると、死に行く彼らの虚しさ、無念さが伝わってきた。

私たちの父も、幼い子どもと妻を残したまま、南方で死んでいった。父とほとんど同じ経歴で死んでいった、画学生の遺作を目の当たりにして、に悲しみと同時に怒りがこみ上げてきた。

学生たちは、国を語り国家を憂えていたのではない。高々20歳前後の学生たちは、母を慕い、妻を案じ、家族を思い、父や祖父母に先立つ不幸を謝りながら死んでいったのである。

戦争を、国家論や経済論で語るとその本質を見失ってしまう。今の政治家たちは、戦争を人間の視点から見つめようとはしていない。国の利益とメンツばかりが優先され語られる、こうした状況は戦争に突入した昭和前期にどこか類似すると思うのであるが・・・

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