
私たち人類のもつ生命のスパンをはるかに超える検討が、放射能に関して話されなければならない。特に日本の推進者、その旗手を務める安倍晋三に至っては、使用後のことなど何も考えていないのである。ベースロード電源などという言葉で、何となく今を乗り切ろうとするのである。障害になる地元にはたんまりと金を落とす仕組みも忘れてはいない。日本の場合は、最終処分場どころか中間処理場も全く決まっていない。
ドイツは、2011年の福島原発事故を受けて2020年までに原発全てを停止にすると宣言した。そのドイツには、東西ドイツ統一直後から廃炉に取り組んでいる原発があった。東ドイツが抱えていた、グラスヴァルト原発である。この旧ソ連型の原発はほとんどチェルノブイリと同じものであった。西側に適合しないことが大きな理由であったが、廃炉に取り組んですでに26年経過している。
廃物は180万トンにも及ぶが、汚染されたものか疑われるものは35%63万トンしかない。この汚染物質を地下300メートルの岩塩採掘場に保存していたのである。ところが脆い岩塩層に、無数に掘られた坑道があちこちで落盤し始めたのである。地下水が放射能で汚染されていることもわかってきだした。この処分場を現在ドイツは再度掘削捨て取り出す難業に取り組んでいる。
そこでドイツは新たな硬い岩盤の鉱山跡を使い最終処分場に使い始めているのである。地下800メートルのこの処分場には、2020年ころに満杯になるが、それでも原発稼働をやめたドイツでは半分程度でしかないというのである。汚染物質の容器、キャスクは2030年までしか許可をもらっていない。
チェルノブイリ事故炉を覆っていたコンクリートの石棺と呼ばれる容器も破損がひどく、それを追う巨大なドームを制作している。アメリカとEUがほとんど負担し、20億ユーロかかっているようだが、100年程度の耐用年数があるという程度である。原子炉の解体までは320万ユーロかかるといわれているが、現在まで25%進んでいるだけである。あと40年かかるといわれているが、それも楽観的見方としか言いようがない。
ウクライナの若者の多くは、原発事故も知らない答える。30年の年月は人々から不都合な記憶を消し去ろうとしているのである。核融合を地上で人間が操作するには、余りにも長い時間がかかりすぎる。私たちはどんな理由を重ねようとも、たとえ一時的に安全稼働ができても、一時的に安価な電力が得られたとしても、原発は人類とは共存できないと断言できる。原発も核兵器も危険極まりないない代物なのである。