
本ブログでは幾度にもわたり、日本の食料自給率の低下の危険を訴えてきた。日本の食料政策は土木振興政策の一環でしかない。耕作地の改良に止まらず、道路や水道など地域のインフラの全てを、農業事業で賄うこともめずらしくはない。離農間近な爺様がいるだけの農家一戸のために、立派な舗装道路を作ることさえある。
日本の農政は、農業の本質を価格で判断し奨励する。農業を単年度の収穫量で判断する。農業を自民党への寄与で軽重を決める。そして何でも補助金である。そしてその極みが、「減反政策」である。コメを作らなければ金を出すという、勤勉実直な農民に、働かなければ金を出すという、およそ世界に実例のないことをやる。時あたかも高度経済成長期である。農村を人的資源とばかりに、金の卵と称えて吸い上げる。農業は倍々ゲームで収量が増えるものでもない。
需要が増えると生産奨励を補助金を出す、生産がだぶつくと酪農家は牛乳を破棄するしコメ農家は田んぼを潰すか転作奨励をする。それぞれに補助金を出すのである。ヨーロッパ諸国のように、農家が自分の責任で生産をさせるが、価格が暴落すれば、国が生産コストも含めた保障をするのである。生産過剰になれば国が買い取るのである。
食料の生産の場を二次、三次産業を支える仕組みを構築することで、経済成長をこの国は遂げたのである。大量の車をアメリカに輸出することで、農業国アメリカのトウモロコシや小麦を大量に買うことを強いられる。その結果国の指示や方針に沿った、自主性のない経営が不安定な外見的には大きくなった脆弱な農家をこの国に多く出現させた。
中国は4年ほど前に、自給率が80%を切ったとなって、食料自給率100%以上を目指す大きな転換を図った。中国の平原地区では有機でコメの生産をすることや、テレビの大食い競争など食料を粗末に扱う番組を禁止するなど、大きく転換した。
日本で殆ど唯一食料危機を唱えている東京大学の鈴木宣弘先生は、次のように繰り返し現状を分析する。
≪今、世界的な情勢悪化、「クワトロ・ショック(①コロナ禍、②中国の爆買いと日本の買い負け、③異常気象の通常化、④大規模紛争)」で食料争奪戦が広がっている。日本の農業も非常に厳しい状況に追い込まれた。まず穀物が十分手に入らなくなった。酪農ではエサの値段が約2倍に上がり、産地では農家の倒産が止まらない。》
上記のように中国は化学肥料の輸出に制限を加えている。カリウムを依存していたロシア、ベラルーシからも「敵国には売らない」と言うのである。
化学肥料の原料をほぼ100%輸入に頼っている日本の農業はお先真っ暗である。そうしたことを考慮すると、現状の農法では実質的な自給率は9%という数字を出している。
それに農家の平均年齢の67才を加えるとどうなるか、考えるだけでも怖ろしい。10年先の食料自給率は5%以下になるだろう。
生産過剰になれば買い上げする金、財源はと野党を追い込む。防衛予算はジャブジャブにほぼ無制限に吐き出すのにである。現在のコメ不足は、自民党農政の作り上げた、食糧放棄、農村崩壊、地方の疲弊の結果であって、食料危機の入口が見え始めたのである。