ミゲル・アンヘル・アストゥリアス 内田吉彦訳
(集英社ギャラリー[世界の文学]19 ラテンアメリカ)
《この一文》
” 大統領が全幅の信頼を寄せている人物、ミゲル・カラ・デ・アンヘルが食後に入ってきた。
「真に申し訳ありません、閣下!」ダイニングルームの入口に現われるなり彼はそう言った。(彼は魔王(サタン)のように美しく、また悪辣でもあった)。 ”
読み終えてから1週間ほど立ち直れませんでした。
今でも思い出すと立ち直れなくなりそうです。
信じがたい悲惨の物語ではありますが、ラテンアメリカ文学を代表する傑作であることは確実です。
マルケス、ルルフォ、フエンテスなどなどラテンアメリカの作家による小説を読むといつも思うことですが、この強烈なイメージを伴う文章は一体どうやって編み出されたのでしょう。
文章を追うと同時に鮮烈な映像が目の前に迫ってきます。
どんな仕掛けがあるのだか、さっぱりわかりません。
これがいわゆる「魔術的リアリズム」というものでしょうか。
まさに、魔法にかかったように私は心を奪われてしまいます。