半透明記録

もやもや日記

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『結晶世界』

2005年01月25日 | 読書日記ーSF
J・G・バラード 中村保男訳(創元SF文庫)


《あらすじ》

忘れられぬ人妻を追って、マタール港に到着した医師サ
ンダーズ。だがそこから先の道はなぜか閉鎖されていた。
翌日、港に奇妙な水死体があがった。四日も水につかっ
ていたのにまだぬくもりが残っており、さらに驚くべき
ことには、死体の片腕は水晶のように結晶化していたの
だ。それは全世界が美しい結晶と化そうとする不気味な
前兆だった。


《この一文》

”--通常の世界では、われわれは常に動きというものを生命および時間の経過ということと関連させて考えてきたのですが、モント・ロイアルの近くの森でのわたしの経験では、すべて動きは必然的に死に通じ、時間は死の下僕にすぎないのだ、ということがわかりました。    ”



思ったよりもSFではありませんでした。
個人的にはもうすこしスケールの大きなSFらしい展開を期待していたのですが、そういう期待をしなければまあまあ面白い物語といえるでしょうか。
あとがきにもありましたが、どちらかというと純文学です。
タイトルは内容そのままですが美しいです。
特に邦題が素敵です。