啄木鳥の詩

里山の自然と山野草・高山植物、低山歩きと野鳥観察

「サンカヨウ」

2012-06-07 09:36:32 | 山野草

やや大袈裟だが、私の今一番好きな花を聞かれれば「サンカヨウ」と答える。ネットの書き込みを見るとそんなに希少な種ではないようだが、私が自然の中で自生しているのを見るのは、玉原高原の鹿俣山しかない。尾瀬にこの花の写真を撮ることを最大の目的に1泊で訪ねたことがある。残雪が多かったことが示すようにタイミングが悪かったのかもしれないが遭遇できなかった。竜宮の小屋の主人に聞くと「近くに咲いている」という事だったが、それは誰かが植えたもののように思われた。

「サンカヨウ」はメギ科サンカヨウ属の多年草。草丈は30-70センチの中型。花期は5-7月で、雪融けの直後に新芽を出し、10-20センチほどに伸びると縮んだ状態の若葉が下に向かって広がってくる。その上にツボミがついており「緑色のコウモリがぶら下がっている」??ような妙な姿。葉が開くと10-15センチほどで鮮やかな濃い緑色。その上に小さな葉がありその上に白い小さな花を複数つける。多い場合は10個ほどになる。サン(山)カヨウ(荷葉)のうち花葉はハスの葉のことだそうで、葉の形がハスに似ており、山に自生するというのが名の由来のようだ。

登山道脇の半日陰で少し湿り気の多い林の中。標高(推定)で15、600M辺りのところに集中している。緑の葉の上に清楚な可愛い白の花が置かれたように静かに咲いている。見方に拠っては少し寂しく、あるいは凛と厳しく感じる時もある。素敵な花だと思う。

青紫色の実をつけるが、甘くて食べることができるという。ただ、貴重な種だけに採って食べるのは慎みましょう。そうでなくても、鹿の食害だと思われるが、葉を食べられ茎だけの姿になったものを何箇所かで見た。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「鹿俣山」と「ムラサキヤシ... | トップ | 「ラショウモンカズラ(羅生... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

山野草」カテゴリの最新記事