僕の「ステーキハウス」デビューはかなり遅く
齢18のときでした

父兄参観日にはアフロをあて直して
アロハをキメこんでやってくるような
ファンクでホップなオヤジに育てられた I 君
齢18のうちから
点けたハイライトを灰皿に忘れ
二本目に点火するような
キッチュでパンクに無事育ちつつある I 君

そんな彼らにご一緒して
下北沢のステーキハウスで
人生初の「1ポンド」とご対面させてもらった夜は
今でも記憶に鮮明に残る1シーン

僕の育ったスノッブな家庭では
外食といえば
厳密に管理されたウェイター・ウェイトレスが闊歩する
星がいくつか付いていたであろう高級レストラン
かどうかもわからないような
なんだかよくわからないコアなお店に
コアなオヤジは傾倒していた様です
「ライスはフォークの背に乗せて」
「スープの残りは皿を向こうに傾けて」
なんていう
社交場ではマストなヘビーマナーを
子供の頃から
そこでたたきこまれたわけです
「ステーキハウス」なんて不良のたまり場
間違っても近寄っちゃいけません と
母は口を酸っぱくしたものです

初めて見た「1ポンド」
~でいいよね?
の流れに軽く相づちを打ちつつ
いったい1ポンドがどんなもんかも
まったく見当がつかなかったあのころ
スノッブなお店では
まず拝むことのできないような

「肉塊」に
大きくのけぞったものです

しばし衝撃に動けず
ただ溶けゆくバターを眺めるしかない僕の前で
その親子は
まるで呼吸するかのような
ごく自然な作法で
肉と鉄板の隙間に
ナイフとフォークをすべりこませたのでした
「だって焼けすぎちゃうじゃん」 と I 君
そんなカッコイイ作法を
流れるように当然に
僕は
彼の境遇に
激しく嫉妬したのを覚えています
そんな僕に気付くわけもなく
スルスル~っと
肉の下にニンニクを送り込み
「この方があとで美味いんだよね」 と I 君

僕は
自分のしどけなさを恨んだものです

もう
あの二倍生きてしまったのか・・・

ああ
愕然としつつ

今となっては

「ソース別皿でお願いします」
ぐらいは
自我を出せるようになった僕ですが
そんないまごろ I 君は
僕が想像も付かないような神マナーを身につけて
世界中の美女を転がしていることでしょう
神は
人の上に人を作りませんが
人を横に並べて楽しんではいるようです
生まれや育ちは大切です
どうにもこうにも
もどかしくも変えられない
そこを憂うことが
人生のコクかと
齢18のときでした

父兄参観日にはアフロをあて直して
アロハをキメこんでやってくるような
ファンクでホップなオヤジに育てられた I 君
齢18のうちから
点けたハイライトを灰皿に忘れ
二本目に点火するような
キッチュでパンクに無事育ちつつある I 君

そんな彼らにご一緒して
下北沢のステーキハウスで
人生初の「1ポンド」とご対面させてもらった夜は
今でも記憶に鮮明に残る1シーン

僕の育ったスノッブな家庭では
外食といえば
厳密に管理されたウェイター・ウェイトレスが闊歩する
星がいくつか付いていたであろう高級レストラン
かどうかもわからないような
なんだかよくわからないコアなお店に
コアなオヤジは傾倒していた様です
「ライスはフォークの背に乗せて」
「スープの残りは皿を向こうに傾けて」
なんていう
社交場ではマストなヘビーマナーを
子供の頃から
そこでたたきこまれたわけです
「ステーキハウス」なんて不良のたまり場
間違っても近寄っちゃいけません と
母は口を酸っぱくしたものです

初めて見た「1ポンド」
~でいいよね?
の流れに軽く相づちを打ちつつ
いったい1ポンドがどんなもんかも
まったく見当がつかなかったあのころ
スノッブなお店では
まず拝むことのできないような

「肉塊」に
大きくのけぞったものです

しばし衝撃に動けず
ただ溶けゆくバターを眺めるしかない僕の前で
その親子は
まるで呼吸するかのような
ごく自然な作法で
肉と鉄板の隙間に
ナイフとフォークをすべりこませたのでした
「だって焼けすぎちゃうじゃん」 と I 君
そんなカッコイイ作法を
流れるように当然に
僕は
彼の境遇に
激しく嫉妬したのを覚えています
そんな僕に気付くわけもなく
スルスル~っと
肉の下にニンニクを送り込み
「この方があとで美味いんだよね」 と I 君

僕は
自分のしどけなさを恨んだものです

もう
あの二倍生きてしまったのか・・・

ああ
愕然としつつ

今となっては

「ソース別皿でお願いします」
ぐらいは
自我を出せるようになった僕ですが
そんないまごろ I 君は
僕が想像も付かないような神マナーを身につけて
世界中の美女を転がしていることでしょう
神は
人の上に人を作りませんが
人を横に並べて楽しんではいるようです
生まれや育ちは大切です
どうにもこうにも
もどかしくも変えられない
そこを憂うことが
人生のコクかと
下町のステーキって売り出し
オレッチが子供の頃から地元にありました
やはりニンニク&醤油の王道で食べるのが好きです
たまに無性に食べたくなりますよ
それより突っ込みどころは「ライスはフォークの背に乗せて」、こちらの方かと。
最後の写真のライスとニックの載ったフォーク、これは腹に載っているのだと思いますが、これが正しいマナーということでオケー?。