男性の育児休業を後押しする職場が目立つようになってきた。 今では2022年に始まった「産後パパ育休」
と従来の精度を組み合わせれば、最大4回まで分割取得できる。 一方で夫婦の役割分担を含め、どういうタ
イミングで取るかは悩ましい。 実際に取得した人は何を重視してどう動いたのか、体験談を聞いた。
4月1日、人材システム開発のワークスヒューマン
インテリジェンス(東京・港)で働くエンジニア、”鈴木
さん”の2度目の育休が始まった。次男の誕生に伴
い1度目は有給休暇を含め2023年9月末から5
カ月間取得した。1カ月ほどの職場復帰をはさみ、
今度は1カ月取る予定だという。3歳の長男と0歳
の次男の息子2人の保育所への送り迎えや帰宅後の
世話、食事の準備などを担う。次男が保育所に通い
始め妻が職場復帰する4月のタイミングに合わせた。
保育所では最初の数週間~1カ月、新たな環境に慣
らすため通常より短時間しか預からない場合が多い。
初めての集団生活で風邪などにかかり、通えない日
もある。長男が通い始めたときは最初の1カ月はほ
ぼ仕事にならなかったという。
妻は仕事から長期間離れている。自身が2度目の育休をとれば、妻が職場でペースをつかむ助けになるのでは
ないかとも考えた。 期間を決める上では収入面も考えた。 育休給付は休業180日まで賃金の67%を
受け取れる。 一方で180日を超えると賃金の50%に減る。 そこで2回に分けつつ、有給休暇も活用
して合計180日以内とした。 「出産費用や今後の養育費を考えると、夫婦両方の収入が大幅に減るのは
避けたかった」(鈴木さん)
分割取得は定着しつつある。 産後パパ育休では子どもの出生後8週間以内に4週間休め、2回に分けられる。
従来の育休も2回に分離できるようになり、合計で最大4回まで可能だ。 企業は対象社員の取得意向確認
が義務づけられている。
認可保育所では定員に空きが多くなる4月を逃すと入園が難しい場合が多い。 女性が産前産後から4月の入
園まで育休を取ると、期間が長くなりがちだ。 社会保険労務士で自身も高校生の母親の”羽田さん”は「育
児や女性の仕事復帰のための山場となる時期に男性が効果的に育休を取ると、女性のキャリアのブランクを
縮めるのに役立つ」と話す。 具体的には母親に出産のダメージが残る産後、子どもにより差があるが夜泣
きの始まる生後半年前後、女性の仕事復帰や保育所デビューの時期などを山場として挙げる。
鈴木さんの妻も長男誕生時は育休を約1年間取ったが、鈴木さんがタイミングをみて育休を分割取得したこと
もあり、2人目は半年になった。 羽田さんは「もちろん子どもさんとの時間を長くとりたい人もいる。
キャリアや理想の子育てについて夫婦できちんと話し合ってほしい」と助言している。
実家の協力を得て大変な時期を乗り切る人は多い。 それでも子どもとの時間は貴重だ。 神奈川県在住でエ
ネルギー業界で働く”佐藤さん”は妻が入院中に上の子2人の面倒を見るために1週間、妻の実家から妻子が
戻った後3週間取得した。 子どもの誕生で上の子たちが不安定になる場合がある。 妻が入院中や下の
子の世話をするときは上の子を佐藤さんがみられた。 こうした分担もあり、「すんなりと5人での新生活
に移行できた」と振り返る。
管理職世代では職場との接点を持っていた人もいる。 パーソナルキャリア(東京・千代田)で働く30代男性は第
一子誕生を受けて23年6月から約2カ月の育休を取ったが、途中1週間働く期間を設けた。 23年4月
に管理職になったばかり。 取得の1カ月ほど前から上司に仕事を引き継ぎ、進行状況や懸念材料などを部
下と共有していた。 ただ自分がいない間の様子が気がかりだった。 途中働く期間に不在時の状況を聞い
てフォローができ、安心して育休に戻れたという。
出産は予定外のトラブルも多い。 妻も帝王切開での出産になり、産後2カ月ほど痛みが続いた。 「分割す
ることで少し長めに育休が取れ、妻も安静にしていられた」と語っている。
この制度も周知はまだのようです。 企業も工夫が必要のようです。
男性の育休取得は広がりつつあるが、完全に定着したとは言い難い。 新聞社の調査によると23年調査で
は子どもがいない20~30代の働く男女の6割弱が「産後パパ育休や取得意向の確認義務化について知ら
ない」と答えた。 厚生労働省によると、22年度の男性の育休取得率は約17%で、女性の約80%に比
べると低い水準だ。 職場も知恵を絞る。 東京ガスは23年から育休取得を考える男性社員が経験者に話
を聞く座残会を開く。 参加者からは「復帰後のキャリアに不安を感じていた。 先輩の話に安心した」と
の声が出る。 管理職の役割も重要になる。 セイコーエプソンは管理職向けに動画を準備。 男性育休の
制度内容や部下の相談に応じる際のポイントなどを指南する。 グループのエプソン販売の人事担当者は
「管理職世代は自身が育休を取っておらず、実感がわきにくい。 一度の研修で終わらず、繰り返し学ぶ機
会を設けることが大切だ」と強調している。 各企業がそうなってほしいと思っています。
と従来の精度を組み合わせれば、最大4回まで分割取得できる。 一方で夫婦の役割分担を含め、どういうタ
イミングで取るかは悩ましい。 実際に取得した人は何を重視してどう動いたのか、体験談を聞いた。
4月1日、人材システム開発のワークスヒューマン
インテリジェンス(東京・港)で働くエンジニア、”鈴木
さん”の2度目の育休が始まった。次男の誕生に伴
い1度目は有給休暇を含め2023年9月末から5
カ月間取得した。1カ月ほどの職場復帰をはさみ、
今度は1カ月取る予定だという。3歳の長男と0歳
の次男の息子2人の保育所への送り迎えや帰宅後の
世話、食事の準備などを担う。次男が保育所に通い
始め妻が職場復帰する4月のタイミングに合わせた。
保育所では最初の数週間~1カ月、新たな環境に慣
らすため通常より短時間しか預からない場合が多い。
初めての集団生活で風邪などにかかり、通えない日
もある。長男が通い始めたときは最初の1カ月はほ
ぼ仕事にならなかったという。
妻は仕事から長期間離れている。自身が2度目の育休をとれば、妻が職場でペースをつかむ助けになるのでは
ないかとも考えた。 期間を決める上では収入面も考えた。 育休給付は休業180日まで賃金の67%を
受け取れる。 一方で180日を超えると賃金の50%に減る。 そこで2回に分けつつ、有給休暇も活用
して合計180日以内とした。 「出産費用や今後の養育費を考えると、夫婦両方の収入が大幅に減るのは
避けたかった」(鈴木さん)
分割取得は定着しつつある。 産後パパ育休では子どもの出生後8週間以内に4週間休め、2回に分けられる。
従来の育休も2回に分離できるようになり、合計で最大4回まで可能だ。 企業は対象社員の取得意向確認
が義務づけられている。
認可保育所では定員に空きが多くなる4月を逃すと入園が難しい場合が多い。 女性が産前産後から4月の入
園まで育休を取ると、期間が長くなりがちだ。 社会保険労務士で自身も高校生の母親の”羽田さん”は「育
児や女性の仕事復帰のための山場となる時期に男性が効果的に育休を取ると、女性のキャリアのブランクを
縮めるのに役立つ」と話す。 具体的には母親に出産のダメージが残る産後、子どもにより差があるが夜泣
きの始まる生後半年前後、女性の仕事復帰や保育所デビューの時期などを山場として挙げる。
鈴木さんの妻も長男誕生時は育休を約1年間取ったが、鈴木さんがタイミングをみて育休を分割取得したこと
もあり、2人目は半年になった。 羽田さんは「もちろん子どもさんとの時間を長くとりたい人もいる。
キャリアや理想の子育てについて夫婦できちんと話し合ってほしい」と助言している。
実家の協力を得て大変な時期を乗り切る人は多い。 それでも子どもとの時間は貴重だ。 神奈川県在住でエ
ネルギー業界で働く”佐藤さん”は妻が入院中に上の子2人の面倒を見るために1週間、妻の実家から妻子が
戻った後3週間取得した。 子どもの誕生で上の子たちが不安定になる場合がある。 妻が入院中や下の
子の世話をするときは上の子を佐藤さんがみられた。 こうした分担もあり、「すんなりと5人での新生活
に移行できた」と振り返る。
管理職世代では職場との接点を持っていた人もいる。 パーソナルキャリア(東京・千代田)で働く30代男性は第
一子誕生を受けて23年6月から約2カ月の育休を取ったが、途中1週間働く期間を設けた。 23年4月
に管理職になったばかり。 取得の1カ月ほど前から上司に仕事を引き継ぎ、進行状況や懸念材料などを部
下と共有していた。 ただ自分がいない間の様子が気がかりだった。 途中働く期間に不在時の状況を聞い
てフォローができ、安心して育休に戻れたという。
出産は予定外のトラブルも多い。 妻も帝王切開での出産になり、産後2カ月ほど痛みが続いた。 「分割す
ることで少し長めに育休が取れ、妻も安静にしていられた」と語っている。
この制度も周知はまだのようです。 企業も工夫が必要のようです。
男性の育休取得は広がりつつあるが、完全に定着したとは言い難い。 新聞社の調査によると23年調査で
は子どもがいない20~30代の働く男女の6割弱が「産後パパ育休や取得意向の確認義務化について知ら
ない」と答えた。 厚生労働省によると、22年度の男性の育休取得率は約17%で、女性の約80%に比
べると低い水準だ。 職場も知恵を絞る。 東京ガスは23年から育休取得を考える男性社員が経験者に話
を聞く座残会を開く。 参加者からは「復帰後のキャリアに不安を感じていた。 先輩の話に安心した」と
の声が出る。 管理職の役割も重要になる。 セイコーエプソンは管理職向けに動画を準備。 男性育休の
制度内容や部下の相談に応じる際のポイントなどを指南する。 グループのエプソン販売の人事担当者は
「管理職世代は自身が育休を取っておらず、実感がわきにくい。 一度の研修で終わらず、繰り返し学ぶ機
会を設けることが大切だ」と強調している。 各企業がそうなってほしいと思っています。