疑似餌釣り師の酒蔵だより

酒好きルアーフィッシャーが蔵出しするボヤキ

さらば「関庵亭」(5)…教わりました編

2004年12月25日 | 酒蔵
関庵亭は場所的に少しわかりにくいところにあり、場所を人に説明するときは苦労するくらいだ。
店も小さいので一人で飲むのには格好の店、いわば私の隠れ家的な店だ。

客のすぐ前で魚を下ろしている店主と気軽に話せるので、魚の下ろし方なんかを教わったことがある。
もちろん実地ではなく、解説付きで魚を下ろすところを見せてもらということね。


<牡蠣剥き>
関庵亭では岩手産の牡蠣を使っていて、注文すると手際よく貝ナイフで殻を剥いて出してくれる。その様子を見ていると、自分でも簡単に牡蠣剥きができるような気分になり、休みの日にさっそく岩手三陸産の牡蠣を買って剥いてみたのだが、まず殻の上下の合わせ目がわからず、てんで剥けない。
初めてのチャレンジでは8個の牡蠣を剥くのに1時間近くかかり、手も2箇所切ってしまった。

関庵亭でコツを聞いてみると、まず私のナイフの当て方からして違っていた。
貝ナイフは横から当てるのではなく、上から立てて殻をこじ開け、まず貝柱を切るのだという。
実際に目の前で見せてもらうと、いとも簡単に開けてしまい、高級な牡蠣だから空け易いのではないかと思ってしまったくらいだ。
といっても見ているだけでなく、自宅で数をこなすほどに次第に要領がつかめて来て、今では手を切ることもなく、わりとあっけなく牡蠣剥きができるようになった。
私の牡蠣剥きの道具は貝ナイフではなく、先のとがったバターナイフを代用している。

<鯵や鰯の下ろし方>
鰺や鰯などの小さめの魚を三枚に下ろすとき、小さめの包丁で中骨に沿って尾の方から背中と腹の両方に切れ目をいれておくと、中骨に余計な身が残らずきれいに下ろせると聞いた。
私は魚を三枚に下ろすときは、頭を落とすとその切り口から中骨に包丁を当て、尾に向けて一気に下ろしていて、中骨に多く身が残ったりすると、もったいないなと本気で思うことがあった。

でも聞いただけではそのとおりできないね。
牡蠣の殻剥き同様魚の下ろしだって何度も経験してみないと要領がつかめない。


この貝剥き用のナイフと、小さめの魚を下ろす小出刃は、関庵亭閉店のときに店主から記念に頂いた。
これから何度も経験してみないと。

…終

さらば「関庵亭」(4)…失敗編

2004年12月23日 | 酒蔵
関庵亭というと美味い焼酎と美味い料理。そしてBGMはJazzでまったり落ち着いた雰囲気。
だからいつもつい飲みすぎてしまう。

酒や料理の他に、関庵亭といえば忘れられない痛い思い出がある。
電車を乗り越して、タクシー使うのも痛いけど、激痛っていうの?肉体的痛みを伴う方ね。

<捻挫>
いつものように関庵亭で飲んだあと、店を出てから急にトイレに行きたくなり、関庵亭のあるビル2階のトイレにいった。そのトイレからの帰り、階段を降りきったところで左足を捻ってしまった。
直後は痛みでうずくまってしまったものの、しばらくすると痛みも薄らぎ、あまり気にせずそのまま帰宅した。
家では風呂にも入ったけど、念のため湿布を貼って寝た。
翌朝、起きたら足首が腫上がり痛くて歩けない。
腫れた足は靴も履けないので、会社を休んで病院に行ったら、典型的な捻挫と診断されすぐにギブスで足首を固められ、松葉杖の貸与を受けた。
ギブスと松葉杖はウザすぎっ!1週間松葉杖ついて通勤したものの1週間後の診察で、医者からはもう1週間はこのままだと言われ、それをなんとかお願いしてギブスははずしてもらった。
当然捻挫してからの2週間は飲みに行くことはできなかった。

<前歯折り>
いつものように関庵亭で飲み、帰宅途中電車乗り換え駅での事。
急ぎ足で私鉄の改札口に向かっていると、突然右後方から軽い衝撃を受けそのままつんのめって通路に顔面を強打してしまった。
口を強く打ったので唇が痺れている。舌を当ててみると前歯が途中から無くなっているのが分かった。
あわてて手で触ってみると前歯が2本とも途中から折れている。んで指には血がべっとり付いていて口もだいぶ切ってしまったようだ。
血を見て動転している自分を、さっきからすぐ横でじっと見ている女性がいるのに気が付いた。
ハンカチで口を押さえていると、その女性が「大丈夫ですか?」と聞いてきた。
派手にすっころんだところを見られたと思い、口を押さえたまま「大丈夫でふ」と答えたが、さらに「救急車呼びましょうか?」と言う。
そんなにみごとで激しい転び方だったのかと、恥ずかしくなり大丈夫大丈夫とそそくさとその場を去った。
電車に乗り、少し冷静になって考えてみると、どうもすっ転んだ原因はさっき声をかけてきた女性が接触したからではないかと思えてきた。
自分でなんかにけっつまずいて転んだのではなく、何かがぶつかってきてそのはずみで転んだのだ。
さっきの女性がぶつかってきたと考えられないこともないが、別にぶつかってきたところを見たわけではなく、どうすることもなく、翌々日唇を腫らしたまま歯医者へ行った。(翌日は祭日だったので)

幸い歯の根は健全だったため、インプラントにせず済んだが、前歯2本の治療に20万円程の費用がかかってしまった。
これは痛かった。痛恨ってヤツね。

関庵亭とは関係ない話だけどね。

さらば「関庵亭」(3)…極上の味編

2004年12月22日 | 酒蔵
関庵亭では店主が毎朝築地から魚介を仕入れていたので、料理の素材は文句なし。
出される料理も手間がかかっていて、極上の味を楽しめる。
また料理を出すタイミングをよく読んでいて、ちょうど良い間合いで出てくる。
普通の飲み屋さんだと、注文したものが出来上がり次第順番にでてきて、料理がずらりと並ぶことがあるが、関庵亭では状況を見ながら料理を出してくれるのでそんなことはない。
小さい店だからテーブルが小さいのも理由のひとつだろうけどね。

私はグルメなんかではないが、りっぱな中年であり、歳の数だけの料理は食べていることになる。
でも、関庵亭では今まで食べてた食材、本当はこんな味だったのかと唸ることがよくあった。

特に印象深かった料理

<岩牡蠣>
真夏に「生牡蠣はどうですか?」と関庵亭で勧められた。昔から牡蠣の旬は"ber"の付く月、つまり冬の食べ物だと信じていたのでちょっとびっくりした。
冬に食べる「真牡蠣」とは少し種類の違う「岩牡蠣」という牡蠣で夏が旬なのだという。
食べてみて、その濃厚な、あまりにミルキーな味に驚いた。真牡蠣のようなクセがない。
これ以来、生で食べるのは岩牡蠣のみになった。
後日、鮮魚店で岩牡蠣が売られているのを見つけ、家で食したが、家族の反応も同様で、初めての味に驚いていた。

<カワハギの肝>
肝といえばアンコウ、フグを思い浮かべるが、カワハギの肝がこんなにおいしいものだとは食べてみるまで全く知らなかった。
カワハギの身自体は刺身で食べると淡泊で、特別美味しいというほどのものではないが、肝を絡めて食べると全く味が違ってくる。
しょうゆをたらしたカワハギの肝はなんとも言いようのない味で、まあ珍味というか絶品ですね。

他にも好んでよく造ってもらったのは
・新鮮な刺身を使ったヌタ
・殻付牡蠣の半生焼
・鱈の生白子
あとランチでよく食べた掻き揚げ丼と蕎麦のセットかな

さらば「関庵亭」(2)…わがまま放題編

2004年12月21日 | 酒蔵
関庵亭は、いとこ同士の若いお兄さん達が協力しながら切り盛りしていた店だ。
客として通い慣れてきて、だんだんとずうずうしくなってくると、やってみたいけど普通の店ではできない我が儘をお願いしてみたくなってくる。
今までこんなわがままをきいてもらってました。スミマセヌ、、、

<魚の持ち込み>
毎日築地から新鮮な魚介を仕入れる関庵亭なのに、関庵亭には普段置いていないような魚を食べてみたくなった。自宅ではとても捌けず、料理できない魚だ。
試しに聞いてみた。食べてみたい魚があるんだけど、持ってきたら調理してくれないか、と。
店に来る前に聞いてもらえれば、その日の仕入れ状態によってはいいですよ、と返ってきた。
早速次回、関庵亭に行く前に電話で確認して了解をもらい(ダメとは言いづらいだろうなあ)、デパ地下で買った魚は「オコゼ」。
毎日築地へ出かけて魚仕入れているのに、夜のデパ地下でほとんど売れ残りみたいな魚を買って持ち込むんだからひどい話だ。
でもそのグロテスクな魚はプロの手により、きれいな刺身と唐揚げになって出てきた。刺身は淡泊でおいしかったし、唐揚げもすごくうまかったなぁ。

その後もワルイワルイと思いつつ、さらに2度ほど持ち込みをさせてもらった事がある。

<飲食途中で外へ買い物>
鮮魚店で鮮魚を見たり買ったりするのが好きな私は、デパ地下の閉店間際の値引きが堪らなく好きだ。
関庵亭で飲んでる途中、そろそろ値引きが始まる頃合いだと思うと、どうにも落ち着かず、店を出てデパ地下まで行ってしまうことがある。
そんなとき、食べかけの料理があると、ラップをかけて私が店に戻るまで冷蔵庫に入れておいてくれるのである。
約20分後、買い物袋をぶら下げて店に戻ると、何事もなかったように食べかけの料理を冷蔵庫から出し、しょうゆ皿や箸なんかは新しいものに替わり、そして私がデパ地下で買ってきた品は帰るまで店の冷蔵庫で保管してくれるのである。

<なんと焼酎の持ち込み>
どこの飲み屋さんもそうだろうけど、店では決まった酒屋さんから酒を仕入れている。
たいがいの酒は入っても、酒屋さんでは扱ってい酒蔵がある。
そんな酒蔵の芋焼酎を持ち込んだ。
なかなか手に入らない銘柄の芋焼酎ではあるが、店に預けてキープにしたのである。
関庵亭では焼酎のボトルキープは特定の銘柄だけと決まっている、しかも四合瓶のみ。なのに一升瓶を持ち込んでキープにするという、これまた図々しい話である。
でも美味しい料理で好みのうまい焼酎を飲めたのは、堪らない関庵亭の思い出だ。

<ラベル>
焼酎を飲むようになってから、飲んだ焼酎のラベルを集めるようになった。
ワインのラベルコレクター用の透明シールを使ってコレクションするのだ。
チープなものから高級感あるものまで色んな種類のラベルがあるものだが、それを関庵亭で話したら、私かFさんが最後に飲みきった焼酎のラベルを、わざわざお湯で剥がして帰るまでに乾かしてから持たせてくれるようになった。
自分でやっているので分かるが、ラベル剥がしはけっこう面倒な作業だ。
それがあって一生懸命になって焼酎を飲む訳だから、まあこれは持ちつ持たれつかな。

他にもわがままは色々聞いてくれてたんだろうな。
最後に言い訳しておくと、一応持ち込みの時には、きちんと持ち込み料金というものを払っていましたよ。
少しだけだけど。

こうやってわがまま言いながらも関庵亭に通っていたのは酒と料理が美味いから。
次回は関庵亭の美味しいものについて

さらば「関庵亭」(1)…焼酎黎明期編

2004年12月20日 | 酒蔵
始めの頃、関庵亭に行くのは日本酒の田酒が目的だった。
関庵亭は田酒の他にも、十四代や〆張り鶴といった銘酒の品揃えは抜群だ。
たまに田酒が切れているときに行ったりすると、私の顔を見るなり「済みません田酒切らしてるんです~」と、とても申し訳なさそうな顔で言われる。
そんなときでも美味い日本酒は売るほどあるので(あたりまえですが)、他の色々な銘柄を楽しむことになる。

やはり田酒の在庫が切れている時に、「たまには焼酎でもどうですか、日本酒とは違ったおいしさがありますよ」と薦められた事がある。
いつも一緒に関庵亭に通うFさんは、どれどれという感じで、麦焼酎の「中々」をお湯割りで飲んだりして嗜好が焼酎へと移っていった。
私もFさんや店主には何度か薦められたけど、麦焼酎は味が無い、芋焼酎は臭いからと言って頑固に日本酒ばかりを飲むのだった。

そんな折、なんだろう気が向いたのかちょっと試しに芋焼酎でも飲んでみようかという事になり、ロックで飲んだのが、かの「富乃宝山」だった。
この一杯で芋焼酎に対する意識が、ガラリと変わってしまい、それ以降芋焼酎一辺倒になってしまった。
以来日本酒はめったに口にしなくなった。

当時はまだ焼酎ブームに火が付いたかどうかという頃で、関庵亭には魔王だの芋麹全量だのという今ではめったに飲めぬ焼酎が置いてあり、私とFさんはうまい料理とともに次々と違う銘柄の焼酎を飲み、芋焼酎の知識をどんどん広げていった。

関庵亭でも仕入れの酒屋が決まっているために、仕入れられない焼酎もある。
そんなときは別の焼酎の品揃えが良い店に行ってみたり、ネットショップで買ってみたりしたものだ。
当時人気が出始めた西酒造の焼酎では芋麹全量や綾紫といった、今じゃとても買えないような銘柄でも、ネットで探せば定価で買えた時代だ。(たった3~4年前ですが)

関庵亭には行き始めて何ヶ月もたたないうちに、すっかり常連のような気になり、迷惑も顧みずいろいろなわがままをきいてもらうようになってきた。

続きは次回