ニコ、酒場で戯言

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なべ presents

子供を惹きつけ続ける怪物

2004-11-12 22:51:11 | 雑記
音楽好きなら誰にでも思い出に残る決定的な1枚ってのが
あるものだと思うが、私の場合はこの『Tarkus』がその思い出の1枚
ということになるか。まあ、いろいろな思い出があるので思い出の1枚も
沢山あるわけだが(笑)

リリースは71年だから、私は生まれていない。完全な後追いなわけだが、
2005年今なお全く色あせない強力なパンチ力を有していると断言できる。
それはロックに一番力があった70年代初期の作品だからではなく、
純粋にこのアルバムの持つ力が時代を超越しているからに他ならない。
斬新さと整合性の調和が完璧にとれていて何回聴いても興奮する。

このアルバムが何故思い出の1枚なのか。
それはこのアルバムを聴いてはじめて「ロックってすげえな」
と思ったからである。架空の怪物タルカスのように意味などさっぱり
分からなくとも、なんだか凄いエネルギーの塊に触れたような気が(勝手に)して
この瞬間から、ローリングストーン転げてロックに耽溺していく私であった。
いわば、“本当に”ロックが好きになった1枚というわけである。



アルバムの完成度でいえば『Brain salad surgery』なのかもしれないが、
このアルバムのタイトルトラックで組曲の“Tarkus”の天衣無縫な展開には
私の原点がある、なんて思っちゃうんだなあ。

架空の怪物か。完全にまやかしですな(爆)
メンバーへのインタビューによると

「(タルカスは)総合的逆進化論、すなわち破壊を意味する。
 噴火ではじまり.....、つまり世界はいずれ破壊されるってことなんだけど
 、核分裂とでも言おうか......」

「核分裂ゆえに、創造的なものはすべてヒロシマのようなことに結びついてしまうんだ。
 突然変異が起こり、この不思議な創造物タルカスは創造的形質としてタマゴから
 生まれ、すべてをメチャクチャに破壊する。そして、彼はマンティコアという
 人間の顔にライオンの体をもった蠍座の話にある奴と出会って、そいつの目を突き刺し…」

と意味がまったく不明(笑) みうらじゅん的に解釈すれば
この意味不明さでぶっ飛ばすのがロック、ということになるが、
私の解釈でもそれに近い。はい、笑うとこじゃないから。


ロックはまやかしでありはったりでもある。しかし、そこには音楽的な
真実がたっぷりと詰め込まれていて、いつまでも私を魅了する。
そこのことにハッと気付かされてしまった名盤がこのアルバムである。

そして、そのまやかしにかかる時間を私は今でも大切にしている。