ニコ、酒場で戯言

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なべ presents

競馬というものの難しさ・キングカメハメハに思う

2004-10-22 01:31:21 | 競馬
キングカメハメハ、屈腱炎を発症

このニュースは衝撃的だった。過去に例のない強さで圧勝してきた名馬の故障は
この馬を応援するものしないもの、馬券を買う者買わぬ者まったく関係なく残念な結果だろう。
ただ、競走馬の引退は突然の怪我によることも多く、名馬の故障というだけでは
この日記にあえて書かなくてもよかったのかもしれない。

クロフネ、タニノギムレット、キングカメハメハ。
松田国英調教師が管理してきた名馬はいずれも強烈なパフォーマンスで
競馬を盛り上げたものの、その直後故障による引退を余儀なくされている。
そのことで、この厩舎の管理方法、理念に物議がかもし出されているようだ。


だが、私はこの松田国英という人の競馬に情熱を傾けようとする真なる純粋さに
敬服する。誰よりも競馬ファンであろうとするところから生み出される
発想は私のようなファンと同じ目線であり、それにむかって挑戦をしていく姿勢は
日本でも随一のように思える。調教師試験の面接会場で口から泡飛ばして語ったという
逸話はいかにも松田調教師らしい。まさにプロの調教師だろう。

私は競走馬の運命を思う。思ったときに、彼らにとって一番の幸せを
考える。無事に競走生活を終えて、無事に引退していくことが彼らにとっての
一番の幸せか。それとも限りある競争生活の中で自分の極限と闘いながら、タイトルを
とることか。それは誰にも分からない。そして、これは競馬が好きな人にとって
限りないテーマなのだ。無事であることと勝つこと。その狭間にいる。
無事であれば多少負けたっていいというのは詭弁であり、また勝つためなら
無事じゃなくたっていいというのは人間性に欠ける。

松田国英調教師は、競馬を盛り上げ、強い馬を走らすことに全力である。
ある意味、競馬人にとってのその最大のテーマに最大限挑戦している調教師といえる。
その挑戦の方法にはいろいろあって、それは理念である。理念と知恵のぶつかり合いがあって
はじめて我々は楽しめる。鍛えることと大事にしないことはイコールではない。
その上で、最大限に能力を引き出してやることが調教師の使命なのだ。
それが松田厩舎の理念のひとつでもあると思うのだ。


「競馬ファンの期待をそぐことになってしまって申し訳ない」

まさにそうだろう。これからのキングカメハメハの可能性を考えると残念だ。
管理している者の責任はあるかもしれない。だが、それはどの調教師もが負っている
責任だ。むしろ、コンペティションに最大限の知恵と労力を惜しまないほうが
プロとはいえない。キングカメハメハはプロの調教を施されたことによって
人の記憶に留まる名馬となったのだ。おそらく屈指の人気をもって種馬入りするだろう。
キングカメハメハと関係者が二人三脚でつかんだ栄光であることにはかわりない。

余談だが、オグリキャップがマイルCSとJC連闘するほうがよっぽど
痛々しいと思うのだがどうだろう。結局結果の世界だということなのだろうが、
理念まで否定されるのはどうかと思う。マイルC→ダービーのローテーションは
過酷だが、これまたアメリカの3冠を考えても極度に無理な話ではないし、
私はこのローテは大好きだ。むしろ、ハード面の問題、馬場や全休制度等を
見直したほうが、よっぽどマシのような気がするが。

あと、この日記をクロフネのときに書けたかと言われたら、
無理っすね、と答える無責任な私である(笑)
あとさらに、今週の菊花賞で理念の塊みたいな人の地方馬が出走するが、
それを今回応援しているというわけではない(爆)