即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

生涯顧客という発想

2007年06月16日 17時13分12秒 | 
コトラーを読む

日本経済新聞出版社

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マーケティングの神様と言われるフィリップ・コトラーなんて、なんとなくは知っていたけど、ちゃんと読んだことなかったです。

コトラーのエッセンスを、ブレインゲイト酒井光雄さん が優しくナビゲートしてくれる一冊です。

『マーケティング原理』『マーケティングマネジメント』などの大著にひるんでしまい、まだコトラーの著作は読んでことがない、という人にはうってつけの読み物という解説です。

一番印象的だったこと。

新規顧客を見つけて購入してもらえばいいという考え方は終わり、既存顧客を大事にして長期にわたる関係性を強化する考え方。

高度成長の頃は、顧客はいくらでも開拓できた。
経済の拡大は止まり、市場縮小傾向の現在。
そこで、企業としては、売り上げの減少を補うために、価格を下げた購入促進をした。
これがデフレ経済への導火線となった。

そして、新規顧客を追い求めた企業は、ここで、既存顧客の重要性にやっと目覚めた。

新規顧客を獲得する費用は、既存顧客を維持する費用のおよそ五倍のコストがかかると言われる。
新規顧客を取るために、効率を追い求め、躍起になっていた企業は、徐々に既存顧客の更なる囲い込み強化、生涯顧客の創造に、シフトするようになってきた。

一度失った顧客が、ずっと生涯リピーターとなってくれていたら、目を丸くする数字が損害額、となって現れる。
顧客の生涯価値という発想。

こういう考え方でいくと、
対応やサービスが悪くて、二度とこんな店来るか、って思わせるなんてことは、その人の周りの人、口コミも含めて、どれだけの大損害になっているか。

クレームが来た時の対応ひとつで、
A.事務的な対応であきれた。もう二度と買わない。
B.予想外にいい対応してくれたので気に入った。また利用しよう。

AかBかで、企業の今後が大きく左右する。

今、まだまだ新規顧客を、ガサーッとすくって、ボロボロこぼしていくような、ことをやっている企業がたくさんあります。

もったいないですねえ。

毎朝大量に入っている折込チラシも、SALE、クーポン、今なら、今日だけ、特別、安い、ビックリ!、っていうものばかり。

ロードサイドのファミレスやGSなどなど、看板も外装もバナーも、派手なデザイン、目立つ色使い、インパクトあるコピーなど、気を惹くので一生懸命ですよね。

フラっと通りかかった一見さんにできるだけアピールして、一度でも入って欲しいということに腐心してる。
(そういうことが環境や街に合ったデザインになっていなくて、我先に、出し抜いて、負けるものか、の意識なので、街全体もヨーロッパのような格調がなくなってる。)

まあ、それもわかるけど、一度来たお客さんは、絶対に逃さない、満足してもらう、リピーター=ファンになってもらう、ということに注力すべきだと思う。

CRM(Customer Relationship Management)の時代ですね。

顧客が存在してこそ、企業はビジネスが成立し、事業が継続できる。

顧客起点の発想、そして顧客志向の経営。

企業にとって顧客とは、モノを売りつける相手でなく、企業の収益を生み出す源泉であり、生涯にわたりパートナーとして大切にすべき存在。

コトラーは、21世紀の「マーケティングキーワード」は
「つながる」ことだと、指摘しています。

つながる技術の発展。
1.顧客とつながる。
大切な顧客とつながる。生涯にわたって顧客とつながる。顧客と直接つながる。
2.パートナーとつながる。
社内でつながる。外部パートナーとつながる。他企業と戦略的な提携でつながる。
3.世界とつながる。
グローバルにつながる。マーケティングは社会的責任につながる。より広くつながる。

本当のファンになってもらう。

末永いおつきあいをしてもらう。

企業のファン=サポーターという位置づけで、意見をもらい、それに応えて、さらに関係を強化する。

短期的な経営視点でなく、長い目でとらえて、本質的な価値で勝負していく。

ほんと、最近そう思うことが多い。
時代の流れは、このような傾向にあると思う。

そんなことはわかっているけれど、
来月の売り上げ、今期の利益、ここが固まらないと、来年の構想など立たない。で、チラシをパッーとやって、クーポンでもつけて、なんとか、目標達成しないと、自分のクビが飛ぶし、そんな悠長なこと言ってられない。

という企業もまだまだ多い。

ここのところのせめぎ合い。

でもここをなんとかして、本質的なマーケティングをしていかないと、
一生へんてこな本末転倒なことで終わってしまう。

企業と消費者も、誠意を持ったおつきあい。

モラルをもって、哲学をもって、双方向のコミュニケーションをして、いい関係作りをしていくことが、将来の豊かで楽しい生活につながっていくのだと思います。
コメント (4)
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対立の構図

2007年06月16日 00時47分48秒 | 将棋
船戸陽子blogの昨日の記事、《6/14 消した経緯》、見ましたか?
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何度も書いてるように打たれ弱いんです、私は。
だからあんなもりもり書かれたら凹む通り越して、
もうどうしていいかわかんない。から消しちゃった。
消さないほうがいいよな、と思ったけど、
なんかえんえん叩かれそうなので。
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という出だし。

消された船戸さんの記事は見たのですが、それに対する悪意(?)のコメントは見てなかったです。

二つに分かれてしまった女流棋士を、いがみあっている、脚を引っ張りあっている、気持ちも分裂している、というように、脚色したり、決め付けた方が、断然面白い、という野次馬的、ワイドショー的な見方はわかります。

世間はその方が面白いから、というだけで、すぐに対立の構図を作りたがるんですね。そう期待してしまうんですね。

どうも本当は、かなり深刻みたいだよ、もう修復できないほどの間柄になってるようだよ、もうこりゃあ取り返しつかないね、だから言わないこっちゃない、みたいな。

しっくり言ってるように見えて、実は!
みたいな。

ごきげん・DE・ブログのコメント欄でも、そう言ったコメントいろいろ見られましたね。

あー、やっぱり、仲悪いんだ、さもありなん、みたいな。

例えば、政治であれば、自民党内部の分裂、とか、自民党と公明党の亀裂、とか、小沢と菅は絶対に合わない、とか・・・。

社内であれば、A部長と、B部長は敵対していて、足を引っ張り合っている。
味方を増やそうとしていて、若手の力のあるやつを隠れて飲みに誘ってるみたいだ、とか、
一杯飲みながら仲間内で面白がっている輩って、よくいますよね。

皆、周りが対立してると、楽しいんですね。
そのことで自分が優位に立てているような錯覚?

船戸さんは、そんなことないよー、いがみあってなんかなくて、みんな今までと同じように仲良しなんだよー、皆大好きだし、わかってほしいよー、って、必死に叫んでます。

shogitygooさんお気に入りの(僕もだけど)ブログの女王、眞鍋かをり的な雰囲気もありますよね。

どちらにしても、そんなにへこまずに、今までの調子で書きたいこと書いて、載せたい写真載せて、楽しく続けていってほしいと願っています。

ちょうど今読んでいる梅田望夫さんと、茂木健一郎さんの『フューチャリスト宣言』に、こんなことが書かれています。
フューチャリスト宣言

筑摩書房

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ネットには今いろんな危険性がある。
でも、例えば鉄道や自動車ができた頃は、知らないでフラフラと線路に出て轢かれたり、事故で死んでしまうということもあったけど、だから鉄道や自動車はやめてしまおう、とはならないで、こういうルールで運転しよう、とか、歩行者はここで飛び出してはいけない、とかいう教育をして、こういう便利な道具とつきあうことができてきた。

それと同じで、ネットというものも、何かいやなことを書かれて傷ついたということが起こっているけれど、それを乗り越えていかなければいけない。新しい道具で、しかも強力な道具だから、それがあることを前提に、リテラシーを身につけてサバイブしていかなければならない。
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と。

渡辺竜王も、石橋女流四段も、遠山四段も、そして僕ら一般ブロガーも、皆ブログをやってると、多少でも、痛い目、辛い目、そして知らない人からの疑問手にあっていますし、これからもその覚悟はしておかないといけません。

でも、やはり、このツールの良い面、便利な面、素敵な面をできる限り前向きに生かしていかなければいけないと思います。

船戸さんの、多少天然的かもしれないけど(失礼!)、ピュアさや一生懸命さは、このブログを読んでれば、本当に良く伝わってきますし、これからも変わらぬトーンで、将棋の普及と、女流の発展と、ご自身の棋力向上(気力も?!)目指して、がんばってほしいと思っています。皆、応援していますよ
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