普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

時代錯誤の規制改革会議の提言

2007-05-23 06:41:00 | 政策、社会情勢

また安倍さんの諮問機関が首を捻るような答申を出しそうな気配だ。

<<一昔の資本家の論理丸出しの提案>>
毎日新聞の、
規制改革会議:提言内容判明 最低賃金上げに事実上反対 
によるとその主張の概要は、
 内閣府の規制改革会議の労働分野に関する意見書の全容が明らかになった。
1.解雇規制の緩和や労働者保護の法的見直しなどを挙げている。

2.安倍政権の格差解消に向けへ取り組む最低賃金の引き上げについては「賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらす」と事実上反対。

その理由について読売新聞
安倍政権の改正案は、最低賃金を決める際に配慮する条件に、「生活保護給付水準との整合性」を加える内容だ。
意見書は、改正案が成立した場合に、生活保護給付を上回るように最低賃金を引き上げることが義務化されたと受け取られ、企業が支払い不能な水準になることのないようクギを刺したものだ。

と説明している。

3.労働者保護の色彩が強い労働法制は、企業の正規雇用を敬遠させる。

4.労働者の権利を強めれば、労働者保護が図られるという考え方は誤っている。

先進国の間で日本だけ、労働者の保護やその権利が突出しているのか?

5.最低賃金引き上げや、労働時間の上限規制などを疑問視している。
働く人の収入が生活保護給付金以下でも良いと言うのか。
これで従業員の働く意欲を保てるのか。
従業員に今以上働かせろと言うのか。

6.女性労働者については「過度に権利を強化すると、雇用を手控えるなど副作用を生じる可能性がある。
少子化問題解決の視点が全く抜けている。

7.あらゆる層の労働者のすべてに対して開かれた平等な労働市場の確立こそ真の労働改革だ。
そう言うのなら派遣社員やパートタイマーにも同一労働同一賃金を適用するよう提言すべきだ。

上記の労働者保護について読売は、
「労働者保護の色彩が強い現在の法制は企業の正規雇用を敬遠させ、非正規雇用の増大、より保護の弱いパートタイム労働者などの雇用増大につながっている」とし、解雇基準の緩和や派遣労働者の派遣期限の撤廃などを求めた。
と説明している。

具体的には彼らの提案は、

(1)解雇規制の見直し
人員削減の必要性など解雇の要件が厳しく、使用者の解雇権や雇い止めが著しく制限されているとして、規制緩和の検討を打ち出した。

(2)労働者派遣法の見直し
禁止されている港湾運送や建設、警備などへの派遣解禁、派遣期間(最長3年)の制限撤廃を提言。

(3)労働政策立案のあり方の検討--を掲げている。
労使が調整するやり方からフェアな政策決定機関にゆだねるべきだ。

と言う事だそうだ。

規制改革会議の提案は、報道だけでは論理の飛躍こじつけが多くて判り難いが、私が何度も書くように、隣国に極端な低賃金かつ膨大な労働力を持つ中国との競争力を維持したい企業側の立場から考えればよく分かる。

提言の内容は労働者に配慮したような言い方をしているが、先の経団連の残業代ゼロ法案提案の論理とその現実(サービス残業の増加、働き過ぎのストレスからの自殺も本人責任)と全く同じく、提案からほぼ確実に生じる現象は下記のように労働者にとって不利になる方向ばかりだ。

1.正社員の労働強化
長時間労働やサービス残業、仕事のストレスから自殺の増加の傾向を益々加速させるのは明らかだ。

2.パートや派遣労働者の増加傾向の定着化
港湾運送や建設、警備などへの派遣解禁、派遣期間(最長3年)の制限撤廃がそれだ。
詰まりこれから起こるのは格差社会の拡大と定着化だ。

3.労働条件の悪化
今でさえ弱い立場の労働者の保護法律の撤廃や、緩和策から起こることは、
(1)最低賃金の抑制
例え生活保護給付水準以下であっても。
(2)解雇規制の緩和
一口にいえば首切りをしやすくするということだ。
(3)女性労働者の保護規制の緩和
具体的には育児休暇を制限しろと言う事だ。

など全く労働者の方を向いていない主張ばかりだ。
若い方は知らないかもしれないが、彼らの論理は昔の「労働者の意欲やモラルなど無視して企業の設備と同様に扱う」資本家の論理そのものだ。

もし同じ提言をするなら、
中国他の新興国との競争力の維持のため、もうしばらく従業員の人達はもう少し頑張ってくれ。
会議の委員達や経営者としては、この様な明るい将来像を描いているから。
と書けば趣旨が一貫してくるし、国民の理解も得やすくなるだろう。
勿論それが国民の賛成を得るかどうかは別だが。

<<安倍さんへの提言>>
規制改革会議は内閣の提出した最低賃金上げに反対し、貴方の言う格差解消政策にも反対のようです。

そして、彼らの提言は貴方の「美しい国」の基本政策と全く逆行していると思います。

それで安倍さんの趣旨をもう一度委員の人達と話し合ってはどうでしょうか。
それでも会議の人達がその意見を固守するなら、委員の入れ換えや、会議そのものとの廃止まで考えられてはいいかがでしょうか。

こんな時こそ貴方のリーダーシップを発揮すべきところだと思います。

それでないと、もう間近になった参院選のマイナス・キャンペーンに間違いなく利用されますよ。

それとも貴方の本心が、企業の競争力を保つ為には、その従業員に今以上の犠牲を払わせ、格差社会の拡大も仕方がないと思われているのなら仕方がありませんが。

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