普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

続・日本の経済活動の長期戦略

2007-02-28 21:06:15 | 企業経営

昨日は表記の読売新聞の社説の語句のを借用して、
1.危機意識の共有
2.少子化と価値観の大転換
3.高齢化と価値観の大転換
について書いた。

今日はそれ以降のことに付いて纏めてみた。
まず読売新聞社説の後半を示す。
(2月27日 読売新聞)

 その日本を、中国が国内総生産(GDP)で追い抜く。インターネットの拡大と経済のグローバル化で、企業は、厳しい国際競争にさらされる。
 資源やエネルギーの窮迫、地球温暖化をはじめとする環境問題、水や食糧の不足も、ますます深刻になる。
 こうした中で日本を支える唯一の手段は生産性の向上だ。それをイノベーションをテコに目指すという。そのためには人材育成や働き方企業や制度のあり方に発想転換が要るとし、国民に「価値観の大転換」を求めている。
 例えば、グローバル化に対応して、大学では英語で授業をする。文系、理系の区分はなくす。企業に対する事故時の免責制度を設け、新事業進出を促す。
 イノベーションの結果、20年後に実現しそうな技術として、20項目も挙げている。
 中間報告は、国民の理解を得るには「政府が傷だらけになる覚悟と勇気」が必要と述べている。

4.生産性の向上と発想の大転換
(1)生産ラインの合理化の見直し

会社の永続的な発展の点からみた合理化の限度の問題点
1)スタッフの育成の軽視
2)改善などの小集団活動にブレーキ

日本の一流会社の生産ラインの合理化は既に世界トップの地位を占めている。

昨日のNHKのテレビで、JFEの合理化の進んだ、薄板の製造ラインの作業者の数をさらにその3/4まですると言う極限までの合理化が進められているのが報道された。

然し、極限までの合理化の将来を考えた場合には問題がある。

それは会社発展の基礎となる人材の育成の問題だ。

私も、他社の同じ規模の工場と比べて、最小限のスタッフのを持たされたことがある。
ここで気がついたのだか、スタッフの伸びは早いが、ある所で止まってしまう ことだ。
つまり、今までの何人分の仕事を持たされて、それだけ早く広範囲の知識を得るが、それだけて終わって、毎日の残業の仕事の処理に追われて、自分の勉強をしたり、担当工場の機器や作業の改善などする暇がない のだ。

3)技術を伝承する余裕なし
現在団塊の世代退職の問題点となっている。
普段から実施して置かねばならぬことを、今になって騒いでいるのだ。
これもぎりぎりの人員で仕事をしてきたお蔭だ。

合理化の進んだ生産ラインは、発想の転換の時期に来ている。
つまり、将来の企業の発展を見据えた、スタッフの育成まで考えた合理化だ。
イージー・ゴーインな目先の合理化の例が契約労働者に頼りきった運営だ。
そんな会社の将来がどうなるかは余りにも眼に見えすぎている。
何故なら、日本の売り物は優秀な技術と技能 だけなのだから 。

(2)企業管理部門の生産性向上
バブル崩壊時の、ホワイト・カラーの大量の整理で明らかのように、管理部門の合理化は、生産ラインの合理化に比べて極端に後れている。

その理由の最大原因は昔、労働運動の盛んだったとき、ホワイトカラーの多くを管理部門に上げたことだ。

管理部門では、間接費で処理されることと、残業代が付かない ので生産管理の対象外になるので、管理部門のスタッフの管理を特に気にしなくて済んだからだ。

逆に、生産ラインのコストは直接費で処理され、然も、残業代がそれにかかってくるので、その管理成績が直ぐに、企業の成績に数字として現れてくる からだ。

一方間接費は直接費のXパーセントという言わば どんぶり勘定 で日常処理され、期末に実際の間接費が直接費にどんと加算されるだけで、間接費そのものの管理は無視される結果となるからだ。

そのような運営の結果、次のような器械の進歩で、ホワイト・カラーの仕事量が大幅に減って来たのを見過ごしてしまい、合理化できるチャンスを逃してしまった。

文書作成:手書き、和文タイプライター→ワープロ→パソコン
文書の複写:手書きとガリ版→コピー機械
計算:算盤→手回し計算機→電卓→パソコンの表計算ソフト

これ見ただけで、如何にスタッフの労力が機械化のお蔭で物凄く減ったことが判るだろう。

そして、真面目な日本人は、それで余裕のできた時間を「付き合い残業」に象徴される、余分の仕事していたのでいざと言う時になるまで、問題が表に出なかったのだ。

その結果が例のバブル崩壊時のホワイト・カラーの大量解雇に繋がったのだ。

そして、その時の失敗の反省もなく、残業代ゼロ法案を提出しようとしている。
つまり、要員管理の基本である、就業時間の管理を放棄しようとしているのだ。

企業は合理化努力は、その発展の中核を担う管理部門の生産性向上にむけるべきであり、ひの点に集中して検討する必要があると思う

(3)企業経営陣の生産性向上
奥まった重役室、前例主義や横並びの会社運営、ゴーンさんに変わっただけで急に持ち直したニッサン、一般には分かりきったことに気がつかず、または無視した結果のお詫び会見をする経営陣、などなど。
企業の中で、明治、大正時代から殆ど進歩していないのは、企業の経営陣の生産性だろう。

企業の経営者の質が会社のいかに営業成績関係してくるかは、ゴーンさんの例、最近の会社を潰したまたは潰しかけている社長の例を見れば、明らかだ。
これだけはっきりしていて、なお手を付けられないのは何故だろうか。

(4)官庁、学校などの生産性向上
ここの生産性があがらないのは、(2)、(3)を見ただけで理由が判ると思う。

特に我々の身近な存在の学校など、如何に無駄な仕事をしているか、劣悪な教育環境など直ぐ判るだろう。
伝えられる、教師、校長、教育委員会の意志の疎通の不足、それに伴うレポート類の増加、孤立した教師、
ノウハウや教材の共有、標準化などなど。
これらは一般企業だったら、直ぐに改善活動の対象になるものばかりだ。

生産性向上など無縁の場所なので、基本的な次の方法を提案する。
1)日本能率協会など外部専門団体により、経営診断を依頼する。
2)企業では常識の「改善」等の小集団活動を導入する。


特に、小集団活動で、色々の改善案が出るほかに、モラルやモチベーションの向上、など大きい効果が期待されるので、是非検討して欲しいものだ。

(5)全国レベルの生産性向上運動の展開
以上のように生産性向上運動をするのなら、発想の転換をして、既に限度に近くなっている生産ラインだけでなく、企業の全レベル、官庁や学校を巻き込んだ全国的な展開がもし出来れば、思いもよらぬ大きな効果が期待できると思う。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。↓
人気ブログランキングへ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿