先月28日の上記タイトルで毎日新聞の家計への影響について書いた「特集ワイド:原発ゼロの世界/上」に就いて、原発ゼロに伴う影響は家計よりも、日本経済の変化の家庭へに及ぼす影響の方が遥かに大きいと書きました。
その後毎日は経済への影響に的を絞った特集ワイド:原発ゼロの世界/下メリットは「ある」を出しましたので、同じように検証して見ました。 (括弧内は私の意見です。)
今の日本は経済的に大変な時期を迎えています。
1000兆に達すると言われる国際残高、収入の倍を越す国債発行、支出の4分の1を占める国債費、それ以上の福祉厚生費は更に増すばかり、東北の災害復興、企業は競争力確保のための低賃金の非正規社員の採用、彼らの一部と生活保護家庭の収入の逆転、同じ競争力の確保のための止まらない産業の空洞化と雇用の減少、残った地域経済の疲弊などなど。
私たちはそのような日本経済、そしてそれと直結する家庭に更に大きな影響を与えないように、原発問題を慎重に考えるべきだと思います。
上記のような前提で見ると毎日新聞の主張がいかに空疎で、自分達の都合の悪いことには目を瞑ってしまう、左翼の人達の主張に良く似ていることが判るような気がします。
・政府の「原子力発電0%案」は経済界が警告するように、産業空洞化を招き、失業率を上昇させるのか。再生可能エネルギーへのシフトチェンジは、本当にただの「実現不可能な夢物語」に過ぎないのか。そこに突破口は?−−。前回に続き「原発ゼロの世界」の可能性と将来性を検証する。
・原発ゼロ→電気料金の上昇→企業の海外移転→産業空洞化による失業率の上昇−−これが経済界の恐れるシナリオだ。
「民間事故調」の委員長を務めた北沢宏一・科学技術振興機構顧問:「確かに、電気料金の値上げによってエネルギーを多く消費する産業は打撃を受けるでしょうし、海外に出ていく企業もあるでしょう。だが実際には、企業の海外移転については円高の影響の方がはるかに大きい。」(円高で大きな影響を受けている日本経済の悪化を防ぐためにそれを加速する原発廃止は慎重にしなければいけない。単なる責任転嫁しても事態は良くならない。)
北村:「再生可能エネルギーは原子力に比べ、約5倍の雇用吸収力があるという。全体では、むしろ雇用は増えるとみています」(ドイツの例から言っても、太陽パネル、電池は中国、韓国が独占、日本メーカーも苦戦でどの程度の増員の余裕はあるのか?有望なのは下記のように取り付けの中小企業の雇用は増えるが、増えても一時的で、後の運転メンテナンスの要員は原発に比べると幾ら多くてその30%にもならない。太陽光の設置場所は平地か建造物に限られているが、日本には平地が少ない。然も米国の旱魃、水害の恒久化で食料自給の問題が発生する。風力も基本的には平地が中心だが、日本には平地が限られているので後は海上しかないので設置は限られて来る。唯一有望なのは小型水力だが小型だけに要する雇用能力は限られてくる。)
北沢:「電気代は安ければ安いほうがいい、という既存の価値観に基づく経済モデルから導いたもの。値段が高くてもクリーンで安全なエネルギーが良いという新たな価値観を国民が選べば、採用する経済モデルも変わり、結論は変わります。」 (空理空論。鎖国ならともかく、貿易で生きている日本だけでなく、世界の国でもどうにもならない経済のグローバル化の時代では今の経済モデルで動くしかない。)
北沢:「国が『原発ゼロでやっていく』という確固とした姿勢を示せば、産業界も創意工夫を重ねるはずです」 (余りにも投げ遣りな発言で、ツイッターではコテンパンの批判。第一今までも産業界も創意工夫を重ねてきた。それが今の窮状だ。)
「原発ゼロ」実現のカギを握るのが再生可能エネルギーへの転換であることは疑いない。そのハードルは、政府の青写真をみると確かに高い。0%案では、30年までに、導入可能な全一戸建て約1000万戸に加え、耐震性などが劣り導入の難しい約200万戸を改修。合計約1200万戸に太陽光パネルを新設すること。さらに風力発電を東京都の2・2倍の面積で展開することで原発12基分の発電量を確保する。(もしこの政府の数字が正しいとすると天候に左右される太陽光、風力の停止の場合の電力の安定供給のために、その何分の1かの例えば原発3~6台分の火力発電所を建設し遊ばせて置かねばならない。その費用は当然電気料金に跳ね返って来る。)
北沢さんが再生可能エネルギーの普及に貢献すると期待するのが、固定価格買い取り制度だ。太陽光で1キロワット時当たり42円という買い取り価格について「ご祝儀価格」としながらも、「最初は高めに設定して弾みをつけるのがいい」と前向きに評価する。 (固定価格買い取り制度は20年間固定と言うことを無視している。太陽光だけは大型を含む買い取り価格は早く建てれば今までの倍の価格が20年間保障される。ドイツの報告では実質全体の電力量の3%しか出ない太陽光買い取り制度は失敗だったとされている。)
・「固定価格買い取り制度導入で今年度の国内投資額は約1兆円に上り、約10万人分の雇用効果があるだろう」とはじくのは、脱原発を掲げるNPO法人「環境エネルギー政策研究所」の松原弘直・主席研究員だ。「再生可能エネルギーは高くつく」という批判に、松原さんはこう反論する。「太陽光発電のコストは近年急激に下がっています。 (前述のように今までの倍の買い取り価格は20年間下がらない。安定供給のため少なくても原発3~6台分の火力発電所を建設し遊ばせて置かねばならな)
他の再生可能エネルギーも、普及が進むとともに導入コストは下がる傾向にある。いずれも、ひとたび導入すれば燃料費がほとんどかからないので、運用コストは小さい。その点では原子力や化石燃料よりメリットが大きいほどです」。(賛成)
経済効果についても「設備投資を増やす効果が見込めるうえに、原子力と違って分散型なので、広く雇用が生まれやすい」と語る。 (松原さんが言う「運用コストが小さい」と言う意味を逆に言えば太陽光や陸上の風力で人手がかからないので、雇用面から言えば全く期待できない。)
・北沢さんは再生可能エネルギー先進国のドイツを例に挙げる。「再生可能エネルギーの普及でドイツでは2010年までに、直接雇用が約30万人、間接雇用を含めると約100万人が生まれたと報告されています。中国製の安い太陽光パネルが広まり、ドイツの国産メーカーを圧迫しているという報道がありますが、日本で同様の事態になっても、パネル以外の設備費や設置・維持費などで6割以上のお金は国内に落ちるでしょう」 (ドイツの他の資料を見ると再生エネルギー推進のマイナス効果を考えると、直接雇用が約30万人増の約3分の1の効果しか無かった由。全体的に考えると原発ゼロに伴う雇用のマイナス効果はドイツより多くの原発を持つ日本の方が遥かに大きい筈だ。)
・懸念材料の一つは、再生可能エネルギー普及に要するコストを電気代に上乗せするサーチャージ(再生可能エネルギー発電促進賦課金)だ。ドイツでは、これが年々上昇して家計を圧迫しているという。日本では大丈夫か。
松原:「電気料金を引き上げる要素としては、化石燃料費の高騰のほうが大きい。再生可能エネルギーの普及は、化石燃料の削減効果が望める」(2030年迄に原発ゼロの為には当面火力を増やすしかないのでますます化石燃料の高騰が電気料金の高騰に効いて来る。後段の意見は再生エネルギーの電力が原発だけでなくて、火力まで食い込むことを前提にしているが誰が考えても無理。)
(なお北沢さんの夢物がたりのようなアイディが出ているが省略)
どんな国に暮らしたいか。何を最優先したいのか。新しい価値観を選び取ったところに「原発ゼロの世界」が見えてくる。 (賛成。最初に書いたように厳しい経済状態を更に加速させるような原発ゼロを進めて、経済団体が言うように、再生エネルギー産業に関係のない業種の小企業の破産、非正規社員問題の悪化、企業の海外流出、地域経済の衰退などの可能性も反原発派も考え対策を出すべき。原発ゼロ論者の小出さんが言っていたように「原発廃止で資源小国になった日本の家庭が慎ましい生活を送ることになるだろう」と言う価値観を持って行けるのなら、私も致し方ないと思うが、毎日新聞も読者に、原発廃止後の日本や各家庭の生活がどう変わるか位の「貧乏になったが核の不安のない原発ゼロの世界」の絵を描いて見せるべきだと思う。)
たまたま昨夜のNHKで厖大な電力の要る合同製鉄で、電気料金節約のために夜間だけ運転しているがもう限界で、これ以上進むと海外に出るしかないこと、そして日韓の電気料金の比較で日本が韓国より購買力平価換算でも1.4倍高いこと、そして原発ゼロになれば(数値は忘れましたが)数倍になると問題提起をしていました。
何でも韓国は政策的に電気料金を下げているようですが、政府は勿論私たちも原発ゼロのよい点悪い点をしっかり把握して考えるべきだと思うのですが。
電力問題で夜中だけ出勤して頑張っても、いずれは海外に出るしかないと言う言う企業とその従業員。その一方では報道によれば民主党の会議では「原発ゼロ」を唱えた方が選挙で有利だと言った人もいるとやら。そして自分の都合のよい点ばかり取り上げ都合の悪い所は目を瞑る反原発派の意見。それを無批判で掲載する新聞。
どうにかならないのですかね。
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