普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

TPPと農村再生への道

2010-11-09 07:36:09 | 農村問題

 菅さんがTPP加盟の話しを持ち出したためまた急に農業問題の議論が活発になりました。
 農業団体を中心とする反対集会、菅さんに反対する鳩山・小沢グループの政局に直結させようとする動き、自民党内でも賛否両論に別れているそうです。
 私は農業問題にも素人ですが、主として米中心の農業に就いて、一般の製造業の比較から考えて見ました。
農業の問題点
・農業の生産性が低い
 経営の規模が極端に小さい(自家経営が殆ど、製造業の中小企業の規模もない)
 生産資源の効率化が低い
  田んぼで遊んでいる期間が長い(高齢化。米作だけは補助金が出るため、兼業農家も田を遊ばせていても何とかやって行ける。) (昔は二毛作、菜の花栽培、蓮華による土壌改良、畦道での大豆の栽培などは普通の光景でしたが。)
   休耕田、耕作放棄地などが増えている
 農機具の使用時間が短い (一年で使うのは僅か数日)
  
製造業で言えばこのような非効率な使い方で競争に勝てる訳はありません。
・価格決定の発言力が小さく、不安定
  経営規模が小さいためため大資本のスーパーなどから価格を下げされられことが多い。
  豊作・不作による価格変動が激しい
・農協とうの農業団体の問題
  農業の技術や生産性向上に就いては一部を除いて殆ど寄与せず、圧力団体になっている
  自分達の研究所を持たず技術の向上は府県の農事試験場とう公共機関まかせ
・農家の消費者の距離が開き過ぎているは
  農業従事者は農協、仲売りなどの中間業者、スーパーなどを介してしか消費者に接しないので、消費者のニーズに応えるのが不十分
・高齢化と、若者の都会への流出で今のままでも日本農業は破綻
  東大大学院教授の生源寺さんは「今の様に昭和一桁の人で支えられ、後継者がいない日本の農業はここ10年の内に思いがけない形で急激に崩壊する可能性がある。」と言っている
・2007年の農業就業者数は総就業者数に占めるシェアは3.8%、GDP(国内総生産)515兆円の内、農業総生産は4兆4430億円で0.9% (これを見ても農業の生産効率が如何に低いか判ります。)
日本の現状
・内需拡大しろと言う話しがあるが、飽和社会の日本、勿体ない精神がまだ生きている日本(物を買うにも家が満杯状態でも捨てられぬの私の家がそうです)、そして環境問題の点から物を捨てて新しいものを買うと言う米国型の消費生活による需要増は望めない
・中国などの新興国、輸出指向の韓国企業の台頭で追い詰められている日本の輸出産業
 
民主党の農家の戸別所得保障制度
  大規模農家へ田んぼを貸し出していた人が取り返す事例の増加→生産性向上の逆コース
  農業に熱心な人達の意欲低下
  大手スーパーから強引に値引された分まで国が保障することになる
  全体から見て生産性向上に繋がらないどころか下げる方向になる

最近の農業の動き
・道の駅などの農産物取り扱いによる農家と生産者の直結による物流コストの削減→農家の収入増加、消費者とのコミュニケーション向上によるニーズの把握
  博多と北九州市のほぼ中間点にある宗像の道の駅は、午後までには殆どの農産物や魚介類が殆ど売り切れ状態となっています。
・農産物の優れた品質と安全性で海外進出の動き

私の提案
・農業の生産性向上
 田んぼ、農業機械などの生産資源を最大限に活用(全国規模の農業経営)
・農業の大型化
・農協の株式会社化、一般製造業のような経営に体質を改める
・他業種からの大手業者の参入促進
・大規模な農業会社化により大手スーパーなどとの買価交渉力強化
・製造業などの他業種の会社・工場を農村に誘致
・道の駅などのように小規模の農業団体も流通に参入
・優れた品質の農産物の輸出
・兼業農家支援を中止、大規模農家の支援に集中する
・上記の方策で若者を農村に呼び戻す
・棚田などの大規模農業不向き地は観光農業、畜産、養鶏などへ転用(少なくとも福岡県では大規模の養鶏の大部分は丘の上で行われています。)
・それも出来ない所は自然林に戻す
・上記の動きに就いて行けない高齢者や、TPP、FTAなど参加により農家への一時的(恒久的ではない)被害にたいしては特別の支援をする
・TPP・FTAなど反対する政治家や農業団体から国全体の立場で考えた対案を提出される  
 以上の提案は農業の生産性向上、農協の株式会社化、棚田の処理などを除いては、昔から言われてきた所です。
 然し農村票に頼ってきた自民党政権は過去からのしがらみに抜け出せぬ一方、農業団体は圧力団体に変貌して来ました。
 最近になってやっと農業の生産性向上のために大規模化を始めたところで、民主党政権になり農業の大規模化に逆行する農家の戸別所得保障制度を導入しました。
 農業に限りませんが、保護政策には対象の団体の弱体化が付き物です。
 日本の政治家は膨大な国債のように、面倒なことを先送りする習性がありますが、それでこれからの日本そして農村は果たして生きて行けるのでしょうか。
 政治家の責任、日本を束ねる立場の菅さんの責任は大きいと思うのですが。

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参照:カテゴリー→農村問題
 文中の数字はTPP参加のキャスティングボートを握る日本の農業はGDPの0.9%、就業者数の3.8%の極小産業
を参照しました。