普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

事業仕分け・国民目線・ポピュリズム

2009-11-14 06:49:30 | 鳩山内閣

毛利さん「仕分け人」と激論、日本科学未来館巡り
 政府の行政刷新会議が13日に行った「事業仕分け」で、日本科学未来館を巡り、館長を務める宇宙飛行士の毛利衛氏が同館の存在意義を強調し、「仕分け人」らと激しい議論を交わした。
 財務省側が赤字と説明すると「高校、大学の経営で赤字と言いますか? この認識自体が官僚的発想だ」と逆襲。また、用意してきたパネルを持ち出し「低成長の中、来館者は伸びて90万人になった。ちゃんと見て」と仕分け人に反論した。激論の末の判定結果は「予算の削減」だった。
 文部科学省は、次世代スーパーコンピューター開発費についても、ノーベル賞を受賞した理化学研究所の野依良治理事長の出席を検討した。都合で実現せず、こちらは「限りなく予算計上見送りに近い削減」と判断され、応援団の有無が明暗を分けたとの見方もある。
(読売新聞より)

・国民目線で見たスーパーコンピューターの開発と仕分け人の責任
 私はこの報道の前から、事業仕分けチームの理化学研究所の次世代スーパーコンピューター開発費の予算計上見送りの報道に就いて違和感を持っていました。
 国民目線により事業仕分けと言っても、国民がふだん接する機会の多い日本科学未来館のようなテーマなにとにかく、 (私のような)科学の素人が次世代スーパーコンピューターの開発費の見送りの是非の判断が出来るのか?
 その開発の目的以外の多くの付随効果があるのではないか?
 技術立国を目指す日本がそんなことで世界との競争に戦って行けるのか?などなどの疑問が湧いたからです。
仕分け人:(理化学研究所が技術開発を進めている次世代スーパーコンピューターは、稼働時に「世界最高レベルの演算性能を発揮することを目標に計画」したことについて) 「国民の目線で言うと世界一にこだわる必要があるのか」などと指摘。
 文科省の説明も拙かったと思いますが、
世界最高レベルを目指すというのは単なる目標であって、その目的は大気や海流など地球レベルの気候変動の予測や、地震による災害シミュレーションなどの研究のほか、ナノテクノロジー分野での産業利用などだそうで、現状の高速コンピューターで将来の環境の変化や、技術の変化に対処できるのか、出来ないとすれば他国から輸入した方が安上がりなのか、技術立国の日本がそう言った先端テクノロジーをを外国頼りにして、将来の開発競争に立って行けるのかなどの大局的、かつ先見的な議論が必要だと思うのですが。
仕分け人:米国との競争より協調すべきだ。
文科省:米国にその雰囲気はない。
 仕分け人はかって米国がWindowsを護るため、日本国産のOSを潰したことを忘れています。
仕分け人:開発できなければ2流国になることはあり得ない。
 インド、中国などがソフト・ハード面に追い上げていることを忘れています。
 技術立国の日本は下手をすると中国の台頭で喘いでいる、一般製造業のように、これからの産業の基軸となるこコンピューターでも新興国か追い上げられることは明らかです。
 これらの事実は
トヨタ始め日本の自動車業界の例を取っても、企業の競争力を向上するために、技術開発にどれだけの金をつぎ込んできたかを想像するだけでも判ることです。
 研究所側は科学研究に対して、「費用対効果がなじまない」と反論したそうですが、私も同じ意見です。
 これもすでに12年度の完成を目指して、神戸市のポートアイランドで建屋の建設が始まっており今年度分を含めて計545億円の国費が投じられてきたそうです。
 もし事業仕分けのままで見送りが決定すると、545億円をドブに投げ込むことになるのです。
 仕分人はその責任の一端を国民に負うことになりますがその覚悟はあるのでしょうか?
 いや実際の決定は政治家が行うので、私たちは参考意見を述べただけで澄ましておれるのでしょうか?
 そんな軽い気持ちで技術立国日本の将来に大きな影響を与えるかも知れないことを議論して来たのでしょうか?

・事業仕分けと政治
 最近になって閣僚からも地方への交付金、思いやり予算など大局的な見地から判断しなければならないものは事業仕分けに馴染まないとか、僅か一時間で論議できるのかなどの意見が出ているようです。
 マスコミが指摘するように学術的、芸術的な事業も仕分けには相応しくないと思います。
 私ども外野から見れば、テーマを思い切って絞り、大きな問題は数時間から一日かけて、討議すべきだと思うのですが。
 そしてスーパーコンピューターの例で言えば、当事者であり理化学研究所の野依良治理事長の卓見を聞けるように日にちを調整すべきだったと思うのですが。
 刷新会議の仙石さんは事業仕分けは必ずしも、予算をひねり出すためだけではないと言っていますが、事実は民主党公約の実施予算の3兆円を調達のようで、新聞も毎日何億円を削減したと報道しています。
 明らかにそのために鳩山政権は447と言う膨大な項目を取り上げ、そのために1項目1時間の討議に絞られているようです。
 しかも前にも書いたように、事業仕分けの対象は「基本的に従来の事業が対象」としていることは、自民党政権の政策のボロを明らかにしたいと言う、政治的な目的丸出しのやり方です。 (ついでですが、自民党政策のムダを削って、問題だらけの高速道路無料化や農家の戸別所得保障制度の財源に当てるなど少しおかしいような気がするのですが。)

・頑張って!!仕分け人
 前にも書いたように、事業仕分けは新しい試みとして評価すべきと思いますが、日本の将来のことを決めるのに、国民目線という名のホピュリズムに落ちいらないように、そして日本の国の方向を誤らないように、事業仕分けチームの人達は、もう少し誠実にことに当たって貰いたいものですが。
(もし仕分け人が誠実であろうとするのなら、日本科学未来館ならともかく、「スーパーコンピューター開発のテーマに就いては自分の手に負えないし、自信がないので発言は遠慮する」と言って発言を控えると思うのですが。)

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