普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本が危ない(1)公約至上主義の鳩山政権

2009-11-04 12:19:58 | 鳩山内閣

[民意・民意で国が護れるか、国を治められるか]
・普天間基地問題

 鳩山さんは公約で普天間基地問題で移設を県外または国外にするとした公約もあり、沖縄県民の意志を飽くまで尊重すると言いました。
そして
  度国会でも鳩山さんは沖縄県の仲井知事が普天間基地県内移設案
に基づく意見書を提出したのを無視して、相変わらず県民の意向を知るために、名護市長選や沖縄県知事選の結果を待ちたいと言っている様です。
 そして最近の琉球新報と毎日新聞の世論調査で約7割が首相に対し普天間飛行場の「県外・国外」への移設を求めていることについて「わたしはこのような声が県民の声だと思っている。県民の思いを当然のことながら念頭に置きながら交渉しなければいけない」と述べ、県民の意向を踏まえながら日米交渉に当たる必要性を強調した。(毎日新聞
より)
そうです。
 然し誰が考えても、国外と言えば米国領土内ですが、米国がこれを飲む訳はありません。
 残るのは沖縄県民の意志を尊重して沖縄県外となれば、今度は移転先の県民の意志も尊重しなければ成りません。 (これについては米軍の作戦上からの強い反対が出るのは間違いないと思いますが、ここでは省略します。)
 然し、鳩山さんの考え方に大きな問題があります。
 沖縄県議会の決定には、勿論普天間基地の代替え地での政府保障のメリットとか騒音問題などのデメリットも当然考えていると思いますが、それらと国の安全保障とバランスを考えた苦渋の決断だったと思います。
 鳩山さんも地域の問題と国の安全保障とバランスを考えるべきです。
 一国の宰相が地方の民意中心にすると言えば、地方の人達も今までの国と地方の両面から考えていたのを、国のことを考えずに地方中心で考えるだけで良いと思うでしょう。
 だから世論調査で基地の国外または県外移転の賛成が多くなるのは当然です。
 県外と言えば、その県の選定も大変ですが、選定された県民から猛反対がでるのは容易に予想されることでしょう。
 いずれにしても、鳩山さんの言う通りにすれば、いつまでたっても基地移転問題は収まらないでしょう。
 そして米国の日本への不信感は高まるばかりになり、鳩山さんの言う日米同盟を基本た言う米国との対等の外交姿勢には賛成ですが、米国はこのような、日本のことより地方重視の考え方を持つ日本政府とまともに対等に相手にしてくれるでしょうか。
 鳩山さんに欠けているのは、国と地方の利益のバランスの考え方と、それを地方の人々に説得する努力だと思います。

・八ツ場ダムの廃止問題
 国内問題で言えば、今問題になっている八ツ場ダムの廃止です。
 地方住民から言えば、地方住民たちのメリット、デメリットの考え方に加えて、1都5府県のためと言う目的のためと言う考え方も入れてのダム賛成という苦渋の決断だったと思います。
 それを政権が変わったからと言って、そしてダム廃止がその公約だからと言って、そしてダム廃止に伴う地方住民の保障をするからと言って、廃止の理論的な理由もなく、情勢が変わったかだけの理由で、ダム廃止の相談に乗れと言って誰が、それに乗って来るでしょうか。
 前原さんは地域の住民が、ダム廃止が地域の為だけでなく、1都5府県のためにも、国の為にもなると言う具体的な説明をするべきだと思います。(*注記)

・鳩山政権への批判の増加
 ここ数日のテレビ報道では鳩山政権と民主党の公約はその手法について批判的な報道が溢れているようです。
・「たけしのTVタックル」では日本郵政での元大蔵官僚の社長就任、来年送りにした公務員20%削減、事業仕分けの民主党からの参加が7人に激減、小沢さんの新人議員は国会より選挙運動するならその議員達の歳費を返上すべきだと、かって民主党と共に自民党政権を批判していた江田憲司さんを始めてして鳩山政権と民主党はコテンパン。
・「子ども手当て」より保育所、託児所への待機児を減らせとの主婦たちのデモ。
・農村への戸別所得保障制度で迷う耕作不便な土地で大規模農業を志向している農家。
  私は、都市近郊の兼業農家が今まで貸していた土地を取り戻すことで、農村の生産性が落ちるのではないかと書きましたが、ここでは逆に高齢化が進んだ地域では土地を貸したり売りたくても、上記制度がどうなるか判らないので困る大規模農家の人が言っていました。

[官僚の意識低下に繋がる政治主導の行政改革]
 その一方で昨日の読売新聞では、シリーズ物の「民主イズム」の昨日の中でも、官僚たちの言動を次のように書いています。
・大臣~政務官の会議室になりぶ課長級の行列の一方次官室、官房長室は誰もいない、 同庁の組織はバラバラで政務三役ですべて決定。(私の現役時代の経験からすれば、次官、局長は臍を曲げて部下に何でも政務三役に持って行けと指示をしたのがこの現象になっているような気がするのですが。)
・農水省の政策会議では官僚たちへの質問もなければ、三役への助言する機会もない。
・農水キャリヤー達は助言も提案もできる雰囲気でないと戸惑う。
・経済通産省での幹部は日本にとっての緊急課題の成長戦略を提案したくても、勝手に動いたと責められるからと上からの「指示待ち」の姿勢。
 私は鳩山政権の政治主導の行政改革の姿勢は良いが、官僚たちの能力を100%発揮させ、そしてそのモラルを向上させることだ、そのために彼らからの自発的な提案を積極的に採用すべきだと書きましたが、少なくとも官僚たちの経験やノウハウを無視、そしてそのモラルを低下させる農水省と経済通産省の政務3役の経営、管理については全くの素人丸出しです。
 こんな官僚組織から浮き上がった素人の政治主導の行政改革、そしてそれから生れる適切な政策の立案や実施や指導が出来るのでしょうか。

[見習うべき長妻さんのやり方]
 その中で唯一の明るい放送がありました。
 それはテレ朝の「スーパーモンニング」での長妻さんの話です。
・長妻さんは庁内の改革を始めたそうで、その成果としてパネルに8項目くらいが出て居ましたが、その全てが省内からの提案だそうです。 (これこそ私の言う職員のモラルの向上策の第一歩だと思います。)
・就任最初は長妻さん名で出る法案全てに目を通していたそうですが、余りも数が多いのと、官僚任せで良いものがあることに気づいて、目を通す数を減らしたそうです。
  これは厚労省の仕事が他省に比して多いこともあると思いますが、部下たちの上司への信頼感を増すものだと思います。 (但しこれまで書いたことは、私が聞いた話しで厚労省の政務3役も、他の省と同じに官僚を頭から押さえ付けるようなやり方をしているかも判りませんが、長妻さんが官僚たちと割り勘のランチ・パーティーを行った話しから考えるとどうでしょうか?)

・「ミスター検討中」
 公約の実施の件でも、「ミスター検討中」と揶揄されているようですが、後期高齢者医療制度廃止の公約の例を挙げると、それを約2年後に見送り、同制度の問題点取り敢えず修正し、民主党の公約にその修正部分を取り入れた、同党の新しい形の制度にすると言うのは大変堅実で、私の言う政権が変わっても、国民に迷惑をかけないように、政策の連続性を保ちつことからも大切なことと思うのですが。(*注記)
 「ミスター検討中」のニックネームも、民主党公約の実施に慎重な態度から出ているのなら、評価すべきと思いますし、他省の政務三役も見習うべきと思います。。

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*注記:高速道路無料化問題
 鳩山さんの言う民意から言えば明らかに民意は高速道路無料化に反対ですが、前原さんは来期予算に6,000億円を要求しています。
 そして今日の読売新聞はこの問題について噛みついています。
 私は民主党の予算編成が苦しいのなら、前原さんは長妻さんに倣って、公約とその工程表に拘らずに、この予算を撤回して、もう少し検討して私が言う(読売も似たとを書いていますが)取り敢えずの無料化はトラック、バスなどの大型輸送機関に限るべきと思うのですが。
参照高速道路無料化 地方の足が奪われかねない