うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

CoolmoreとJuddmonte

2011-05-06 19:42:58 | 競馬日記
CoolmoreJuddmonteが手を組んでいるそうですね(記事)。
Juddmonteは10頭の繁殖牝馬をCoolmoreに送ってSadler's Wellsを初めとするCoolmoreの種牡馬を付け、産駒を選ぶ優先権はCoolmoreとJuddmonteが隔年で分け合うらしいです。
それで、Await the Dawnは2007年にCoolmoreが選んだ馬で、Frankelは2008年にJuddmonteが選んだ馬とのこと。

確かによくよく見ればJuddmonteがCoolmoreの種牡馬を使っていたり、CoolmoreがJuddmonteの繁殖牝馬の仔を持っていたりするのですが、ちょっと気づいてなかったですねえ。優秀な繁殖牝馬を抱えるJuddmonteと優秀な種牡馬を抱えるCoolmoreにとって、非常に効果的な協力関係かもしれません。

Wonder of Wonders

2011-05-05 00:13:22 | 競馬日記
チェシャーオークス(Listed)をWonder of Wondersという馬が勝ち、オークスの3番人気まで上昇しました(記事)。

All Too BeautifulGalileoBlack Sam Bellamyの全妹ですね。Urban Seaのファミリーからまた1頭クラシックの候補が現れました。
しかしながら、配合がちょっとびっくり。父がKingmamboで、父と母父の関係は父Kingmambo×母父Sadler's Wellsのニックスです。しかし、祖母Urban Seaの父がMiswakiであるために父と母父の間に出来るNorthern Dancer 4 x 3、Special 4 x 4の大きなクロスに加えてMr. Prospector 2 x 4が発生します。ここまで近交をする必要があるのだろうかと思ってしまいます。ちなみに父Kingmamboと曾祖母Allegrettaの組み合わせが2000ギニー馬King's Bestです。

All Too BeautifulはBallydoyleが管理してミドルトンS(GIII)を勝ちオークスで2着になった馬。父がGreen Desertに代わった半妹Cherry HintonはブルーウインドS(GIII)2着、父がCape Crossに代わったSea the Starsは近年最強馬。となるとGreen Desert系のCape Crossは思わず付けてみたくなると思うのですが、All Too BeautifulはCoolmoreとどういう関係なのでしょうか。Wonder of Wondersは母All Too Beautifulと同じくBallydoyleが管理しています。All Too Beautifulの種牡馬選びにCoolmoreの意向が反映されるならDarleyの種牡馬であるCape Crossは選ばれにくいかもしれません。が、Coolmoreの種牡馬はSadler's Wells系とDanehill系に偏っていて、Green Desert系はいないです(Urban SeaにDanehill系が付けられたことはありません)。Green Desert系でなくてもDanehill Dancerなんかでも常識的な良配合になると思いますが。ちなみにWonder of Wondersの半姉All For Gloryは父がCoolmoreのGiant's CausewayでダイアナSのMy Typhoonの3/4同血です。悪くない配合だと思いますが、未出走のようですね。

Cape Crossを初め、Darleyの種牡馬に面白そうなのがいますね。Sea the Starsの3/4同血を狙って父Cape Crossや、Allegrettaのドイツの血を生かすのを目的としてManduroや、後はAllegrettaの近交になるKing's Bestなんかどうでしょうか(最後は冗談)。

Cape Cross × All Too Beautiful
Manduro × All Too Beautiful
King's Best × All Too Beautiful

ウオッカの初仔誕生

2011-05-03 13:57:08 | 競馬日記
ウオッカの初仔が無事、誕生したそうですね(記事1記事2)。黒鹿毛の牡馬です。「残念ながら」牡でした(牡馬の方が高いので普通は残念じゃないですが、後継の繁殖牝馬候補を早く確保して欲しいです)。

父は"perfect racing machine"ことSea the Stars。Sea the StarsはPrincequilloとNasrullahがリードする配合。ウオッカはNashaの系列ぐるみ。Sea the Stars × ウオッカではNever Bend 6 x 5の系列ぐるみとNative Dancerクロスを伴うRaise a Native 5 x 6がリードし、母の主導のNashuaは6 x 6. 7。他にNever BendのDjebelを補強するKlairon、父のスタミナ源Princequillo - Prince Roseもクロスします。派手さは感じませんがバランスの良さが目に付き、好配合と言っていいでしょう。
日本で走らせるそうですが、ヨーロッパの方が成功確率が高いように思います。角居師の腕の見せ所ですね。

メジロのモガミ肌には何を付けるべきだったか

2011-05-03 00:46:15 | 競馬日記
メジロ牧場は近年不振であったため解散することになりましたが、この近年の不振の原因として挙げられることに「モガミの肌馬の不振」があります。
じゃあメジロ牧場はモガミの肌馬にどんな種牡馬を付けるべきだったのかというのが気になります。
それで、メジロ牧場出身のモガミの肌馬に対してどのような種牡馬が付けられ、どのような成績だったのか調べてみました(メジロ牧場は血の入れ替えを行ったため、メジロ牧場に繋養されていた繁殖牝馬だけでなく、他牧場で繋養されていたメジロ牧場出身のモガミ肌も含めました)。するとメジロのモガミ肌の仔は202頭。データをいじくるのに少なすぎるわけではなく、また多すぎて扱えないというわけでもない、まあまあな数でした。全部のモガミ肌にすると大変すぎますし、メジロと全く縁もゆかりもない種牡馬も上がってきますし、祖母の部分によって左右される面もありますから「メジロのモガミ肌」だけを対象にしました(最初の理由が一番であり、後の理由は後付けです)。
元となるデータはnetkeiba.comから抽出し、抽出の条件は「母名」を「メジロ」(こうすれば前方一致でメジロから始まる肌馬がヒットする)、「母父名」を「モガミ」にしました。他にも様々な抽出条件を試しましたが、もれなくヒットするのはこの条件でした。

作成したリストはこれです。89頭の種牡馬が使われていました。

どの順に並べればリストが見やすいかはいろいろあると思いますが、やっぱり中央で勝ち上がらないことにはと思い、中央での勝ち上がり率を優先しました。稼ぎ順をその次に優先したいと思いましたが、これの目安には獲得賞金の中央値か平均値が使えるはずです。正規性がないデータですので、中央値の方を優先し、中央値が同じ場合は平均値の順に並べました。

202頭全体では中央勝ち上がり率は29.7%、地方を含めた勝ち上がり率は50.0%、デビュー率(地方を含む)は83.7%、獲得賞金の中央値は167.6万円、平均値は1661.2万円でした。
これら項目全てで全体での値を上回ったものは「成功した組み合わせ」としていいと思います。それらは表では青字で強調されているテリオス、ミシル、ノーリュート、タニノギムレット、コロナドズクエスト、オース、メジロブライト、ティンバーカントリー、サクラバクシンオー、リアルシャダイ、フォーティナイナー、アフリート、ダンスインザダーク、アサティス、ドクターデヴィアス、リンドシェーバー、メジロライアンの17頭。3頭以上の仔があってこれらの条件をクリアしたサクラバクシンオー、リアルシャダイ、フォーティナイナー、アフリート、ダンスインザダーク、リンドシェーバー、メジロライアンの7頭の種牡馬は特に成功したと言っていいかもしれません。サクラバクシンオーやアフリートを使い出したためにメジロらしくないと言われることもありましたが、これらはメジロのモガミの肌馬の相手としては優秀でした。むしろもうちょっと試されて良かったかもしれません。ちなみにサクラバクシンオー産駒のGI馬ショウナンカンプは牝系がメジロ出身です。
少し気になるのはリンドシェーバー。Alydar直仔で基本的にはアメリカンな血統ですが、母父Cool Moonの母はかなりマニアックな欧州血統。そのマニアックさはメジロが多用したフィディオンなんかと共通するところがあり、父リンドシェーバー×母父モガミの稼ぎ頭メジロバンクスはここが上手く合っています。メジロ伝統の資産を生かしつつ新しい方向に切り替えるために、こういう種牡馬は重要だったんじゃないだろうかと思います。
メジロライアンは産駒が一番多い15頭で、大きくクリアしている項目はありませんが、渋く全ての項目をクリアしています。その次に産駒が多かったのはメジロマックイーンの13頭。メジロマックイーンがクリアできなかった項目は「地方も含めた勝ち上がり率」のみです。メジロライアンとメジロマックイーンはメジロのモガミ肌の相手として特別に優れていたわけではありませんが、まあまあ良い相手でした。これらが「駄目な相手」だったらもう少し早くメジロ牧場はつぶれていたかもしれません。メジロティターンは産駒が3番目に多い11頭。賞金順で2番目であるパリスナポレオンを出してはいますが、クリアできた項目はパリスナポレオンに引っ張られて上昇した獲得賞金の平均値のみであり、それほど良くなかったのは少し意外でした(しかもパリスナポレオンと父メジロティターン×母父モガミの稼ぎ順2番目のボヘミアンチェリーは生産者も馬主もメジロではなく、メジロに対する貢献は少ないです。勝ち上がり馬はこの2頭のみ)。
このリストの上で最も良かった種牡馬はメジロのモガミ肌の仔の稼ぎ頭メジロランバダを出したテリオス。もう1頭のメジロシェダールも6000万以上稼いでいます。テリオスがもっと長く種牡馬生活を送れていたらもっと試されたかもしれません。
サンデーサイレンスはシンボリルドルフとほぼ同じ。10冠ベビーと言われたメジロリベーラの孫フィールドルージュがGIを勝っていますからサンデーサイレンスよりシンボリルドルフの方がましだったと言えるでしょうし、ダンスインザダークとの比較では断然、ダンスインザダークの方が上でした。
他に良かった可能性があるのはフォーティナイナーとその仔のコロナドズクエスト。もうちょっとサンプル数が欲しかったですね。リアルシャダイが良く、ブライアンズタイムは地方での勝ち上がりがあり、その仔タニノギムレットは中央で勝ち上がっています。ブライアンズタイムとタニノギムレットの仔のサンプル数がもうちょっと欲しかったです。

逆にこれらの項目全てで全体での値を下回ったものは「失敗した組み合わせ」と言えると思います。それらは表では緑字であり、ラムタラ、アンドレアモン、パドスール、クリミナルタイプ、ソヴィエトスター、テンパレートシル、メジロパーマー、メジロルイス、アドマイヤベガ、オペラハウス、クリスタルパレス、ジェイドロバリー、フサイチブライアン、サッカーボーイ、エルコンドルパサー、ミュゲロワイヤルの16頭。3頭以上の仔があってこれらの条件を全てクリアできなかったラムタラ、パドスール、メジロルイス、ミュゲロワイヤルの4頭の種牡馬は特に失敗したと言っていいかもしれません。ラムタラを付けるとNorthern Dancer 3. 5 x 4という近親交配になりますが、全く効果はありませんでした。パドスールはMill Reef直仔。同じくMill Reef直仔テリオスが最良の父であった可能性があるのにパドスールは全く駄目でした。リアルシャダイはいいのにミュゲロワイヤルは駄目。メジロ的良血馬メジロルイスも全く駄目でした。
メジロパーマーは祖母がモガミの全姉で同血による3 x 2が発生しますが、良くなかったようです。またメジロイーグルを父に持ってくると産駒はメジロパーマーの3/4同血になります。が、クリアできた項目はデビュー率だけでこれも駄目。メジロパーマーは父メジロイーグルと母父ゲイメセンの関係で生じるAureole 4 x 5のスタミナを武器に粘り込む馬であり、プリンセスリファードの部分はほとんど関与していませんでした。ですから、メジロイーグルとモガミでメジロパーマーを再現するのは不可能ですし、メジロパーマーとモガミでプリンセスリファード = モガミの3 x 2を作っても効果は見込めませんでした。

テリオスがいいのにパドスールが駄目とか、リアルシャダイはいいのにミュゲロワイヤルは駄目とか、非常に難しいですね。使う種牡馬を最適化するのは相当に困難で、牧場の苦労が偲ばれます。ラムタラは初めから駄目っぽい感じがありますが。ただ、サクラバクシンオーやアフリートと言った「いいところ」に目を付けていたのは確かだと思います。

1000ギニーはBlue Bunting

2011-05-01 23:29:38 | 競馬日記
1000ギニーはBlue Buntingでしたね。Godolphinのマームード・アル・ザルーニが管理し、フランキーが騎乗しました。

アメリカで実績十分のDynaformer産駒。Roberto系の馬が1000ギニーを勝つのは初めてですね。Hail to Reason系では2008年のNatagoraに続く2頭目です。そう言えばどちらも母父はLinamixです。
豪快な世代ズレがある上に父がアメリカ系主体、母がヨーロッパ系主体で傾向が全く異なります。あまり発想しにくい配合ですね。

FrankelはTudor Minstrelか

2011-05-01 00:49:34 | 競馬日記
2000ギニーは圧倒的1番人気Frankelが6馬身差で圧勝しました(記事)。

父はダービー馬、無敗で2000ギニーを圧勝、距離に不安、と言えばTudor Minstrelを思います。Frankelは12Fをこなしてもおかしくないと思うのですが、まだダービーを勝ったことのないRaise a Nativeクロスが気になり(ただし位置関係で言えばそれほど影響は強くなく、Crowded Houseほどはダービー馬の血統じゃないということはできません)、「ダービー向き」の馬が出てきたら負ける可能性があるんじゃないかと思います。

サクラバクシンオー死亡

2011-05-01 00:44:36 | 競馬日記
サクラバクシンオーが亡くなりました。
日本のスプリンターと言えばこの馬です。マイル部門では史上最強クラスのノースフライトとしのぎを削りました。マイルCSでは距離に壁があるためにぎりぎりまで追い出しを辛抱したのですが、すぅーと並びかけてきたノースフライトに突き放されてしまいました。その鬱憤を晴らしたスプリンターズS。もったまま先頭で、ぶっちぎって4馬身差。日本史上最強スプリンターと言っていいと思います(タイキシャトルはスプリント戦でも強かったですがマイル部門の史上最強候補であり、この部門はオグリキャップなどもおり、層が厚い)。

父は秋の天皇賞馬サクラユタカオー、母は春の天皇賞と有馬記念のアンバーシャダイの全妹。単純に父母の適距離を足して2で割れば中長距離馬になるはずですが、そうじゃないのが面白いところです。種牡馬としてもどんな繁殖牝馬が相手であっても仔はほぼ短距離馬になる遺伝力の強さがありました。CPI=1.18、AEI=1.59という極めて優秀な種牡馬であり、芝の代表産駒はショウナンカンプ(牝系祖先は先日解散を発表したメジロの基礎繁殖牝馬アサマユリ)とグランプリボス、障害ではブランディス。ショウナンカンプは高松宮記念を勝ったスプリンター。種牡馬入りしたものの産駒は少なく順位の上では苦戦しています。が、少ない産駒がかなり走り、繁殖牝馬を継続的に確保できて後は長生きできればラインを伸ばす可能性があるんじゃないでしょうか。グランプリボスは昨年の朝日杯を勝った最優秀2歳牡馬。朝日杯のときは2000mぐらいはこなせるんじゃないかと思いましたが、やっぱりマイルまでがいいのかなと思っています。ブランディスは中山大障害、中山グランドジャンプを勝った最優秀障害馬。ダート2400mでの勝ち星はサクラバクシンオー産駒の中央平地勝利の最長距離だと思います。

テスコボーイ系を継続できるかはショウナンカンプ、グランプリボスと、ショウワモダンを出したエアジハードに懸かっています。