うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

2010年度JRA賞

2011-01-07 19:38:41 | 競馬日記
JRA賞が発表されています(記事)。

年度代表馬はブエナビスタが大差でしたね。一年通して話題の中心だったからというのは分からないではないですが、「ブエナビスタが抜けて強い」というイメージに引っ張られていたとしたら残念です。負けた宝塚記念、JC、有馬記念を見ればブエナビスタだけが抜けて強いわけではないことはすぐに分かるはずです。本当は勝っていたはずと言われることのある2レースを取り上げると、JCではローズキングダムと全く脚色が一緒で、着差が付いたのは単純にローズキングダムが不利を受けたからだけでしたし、有馬記念ではスミヨンが消極的であったために脚を余して負けたように見えますが、ヴィクトワールピサの方も強引な仕掛けでベストなパフォーマンスではありませんでした(負けたら仕掛けが強引だったからと言われかねない騎乗であり、それで見事にハナ差しのぎきった勝負師デムーロには感服します)。
勝ったレースの格ではヴィクトワールピサの方が上ですし(皐月賞+有馬記念 VS ヴィクトリアマイル+天皇賞秋)、またエルコンドルパサーが年度代表馬に選ばれるならナカヤマフェスタも選ばれるべきと考えていいかもしれません。エルコンドルパサーはサンクルー大賞典1着、凱旋門賞2着で、春秋天皇賞とJCのスペシャルウィーク、春秋グランプリのグラスワンダーを退けました。ナカヤマフェスタは宝塚記念でブエナビスタを下し、凱旋門賞2着であり(凱旋門賞で得たレーティング127ポンドはセックスアローワンスを考慮しても今年の日本馬で首位)、ブエナビスタ、ヴィクトワールピサがGI2勝であることを考えるとエルコンドルパサーのときより相手が落ちると言えるかもしれません。この三つ巴に不満があればワイルドカードとして牝馬三冠のアパパネが浮上します。
この4者で票が割れて大変なことになる可能性があると思ったのですが、意外なほどブエナビスタが票を集めました。私はエルコンドルパサーの年はスペシャルウィークを推したので、今年ならヴィクトワールピサを推すのがつじつまが合うように思います。

最優秀2歳牡馬、最優秀2歳牝馬はともにGI馬のグランプリボスレーヴディソールでいいでしょう。

最優秀3歳牡馬はヴィクトワールピサでいいのですが、残念なのはローズキングダムが有馬記念に出られなかったこと。

最優秀3歳牝馬は牝馬三冠のアパパネが受賞しましたがスノーフェアリーにも1票入っています。2008年度から外国馬も対象になっているのですが、アパパネに投票した人のうち何人が、確かにスノーフェアリーは3歳牝馬では今年の世界最強クラスだけど三冠を達成したアパパネの方がふさわしい、と両者を比較した上での判断を下したのでしょうか。今年は牝馬三冠のアパパネで決まり、と票を入れた人が多いんじゃないでしょうか。思い込みで票を入れると見落としてしまうことがあるので注意が必要です。

最優秀4歳以上牡馬はナカヤマフェスタでした。あの道悪の凱旋門賞で非常に惜しい勝負に持ち込んだのは評価すべきでしょう。GI2勝のスマートファルコンエスポワールシチーに票が入っていないのは不思議ですね。

最優秀4歳以上牝馬はブエナビスタが満票。今年、唯一海外で重賞を勝ったレッドディザイアが忘れられたようになっているのが寂しいですが、この部門では仕方がありません。

最優秀短距離馬はキンシャサノキセキが圧倒的に票を集めたのですが、票の入った馬自体は数が一番多いです。この部門はSprinter or Milerが対象であり、盲点だったのですが実はエスポワールシチーがダートマイルGI2勝でこの距離のGI最多勝でした(更にもう一つダートマイルGIで2着)。ダートはマイルGIが3つもあるので(それとマイル以下で行われるJBCスプリント)、ダートマイルGI3勝というのが現実的に可能です(芝だと国内だけでは2勝しかできない)。ダート馬の扱いをどうするのか、意見が分かれそうですね。

最優秀ダートホースは私はスマートファルコンを推すのですが、エスポワールシチーの方が受賞しました。また今年、唯一海外で重賞を勝ったレッドディザイアはレーティングではセックスアローワンス4ポンドを加えればエスポワールシチーを上回る119ポンドになり(3ポンドでも同格)、誰も票を入れないなんてことがあるとは思いませんでした。

最優秀障害馬は「該当馬なし」に84票も入りました。JGIは中山グランドジャンプと中山大障害の二つだけ。春の中山グランドジャンプを勝ったメルシーモンサンはその後離脱。バシケーンは一年通してコンスタントに走りましたが重賞勝利は中山大障害だけ。受賞したのはバシケーンでしたが決め手に欠ける戦いになりました。

私の考えとは多少異なる馬が選出されていますが、選ばれるべきではない馬が選ばれたと言いたくなるほどではなく、まあ順当と言っていいでしょう。