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大用、現前するとき、軌則を存せず

2012 World Thoroughbred Rankings (WTR)

2013-01-22 20:02:48 | 競馬日記
2012 World Thoroughbred Rankings (WTR)が発表されました(全ランキング記事1記事2)。

トップは無敗のまま引退したFrankel。理由は後で書きますが、140ポンドで歴代最高値を得ました。レーティングトップの馬でも、ワールドチャンピオンと呼びたく馬と単なるレーティング上のチャンピオンと呼びたくなる馬がいます。Frankelは、周りに愛仏とトップレベルのレースを開催している国々がある英国という恵まれた場所で調教されながら、大ブリテン島に引きこもり続けて適距離を走っていただけであり、後者に分類したくなります。BCマイルや、せめて愛チャンピオンSくらいに出ていたら、印象は違うんですけど(Sea the Starsは英インターナショナルS→愛チャンピオンS→凱旋門賞で引退、Frankelは英インターナショナルS→英チャンピオンSで引退)。4歳末まできっちり走って、無難なレースだけを選んだ、というのはもったいないと思います。
最近の他のレーティングトップの馬では、セックスアローワンスを加えた場合の昨年のトップタイBlack Caviarは今年のロイヤルアスコットで本物の無敵であることを証明した歴代最強スプリンター、ハービンジャーは単なる一発屋のレーティングチャンピオン、Sea the Starsは英愛仏でマイル、10F、12Fのビッグレースを勝った正真正銘のワールドチャンピオン、Zarkavaはフランス外に出るチャンスはなかったが、マイルから12Fまで走って無敗の認定ワールドチャンピオン、Manduroは強かったと思うがその力を証明する前に引退したレーティングチャンピオン、Invasorはウルグアイ3冠を勝ち、アメリカに移籍して大レースを勝ちまくり、ドバイWCまで制したワールドチャンピオンという具合です。Sea the StarsとInvasorは特別に好きな馬です。

実質2位はBlack Caviarで130ポンド。ロイヤルアスコット遠征を敢行し、勝利しました。素晴らしいスプリンターです。歴代最強と呼んでいいと思います。

実質3位はCirrus Des Aiglesで131ポンド。

実質4位はQエリザベスIIS完勝のExcelebrationで130ポンド。ここまでが130ポンド以上でした。

日本馬のトップはオルフェーヴルで127ポンド。変なレースも強いレースもありました。泥んこの凱旋門賞からカチコチのJCに向かってどちらも2着というのはすごいと言わざるを得ません。エルコンドルパサー(134ポンド)に次いで、2006年のディープインパクト、2010年のナカヤマフェスタと並ぶ高い評価。

日本馬の実質2位はジェンティルドンナで122ポンド。3歳牝馬の身でJCを制しました。古馬のGIを勝った初めての牝馬3冠馬でもあります。泥んこの凱旋門賞帰りのオルフェーヴルには酷なセッティングでしたが。

実質3位はゴールドシップで124ポンド。3歳馬としては1998年のエルコンドルパサー(126ポンド)、2001年のクロフネ(125ポンド)に次いで、2005年のディープインパクトと並ぶ評価です。昨年のオルフェーヴルの123ポンドより上。

実質4位はQEIICを勝ったルーラーシップで123ポンド。香港スプリントのロードカナロアも120ポンドを得てくれました。日本調教馬の中で6位タイですが、日本調教馬のSコラムとしては歴代トップです。

115ポンド以上のレーティングを得た日本調教馬は35頭。一昨年は30頭、昨年は29頭でした。昨年も今年もレーティングトップはオルフェーヴルですが、そのレーティングは123ポンドから127ポンドに上がっています。また、ジェンティルドンナ、ゴールドシップ、ルーラーシップ、ロードカナロアと傑出馬に恵まれた年だったと言えると思います。しかし、120以上のレーティングを得たのは8頭で、昨年の11頭から減っています。もうちょっと上に評価していい馬もいたかもしれませんね。

距離、歳、サーフィス別で見ると、ゴールドシップが3歳牡馬芝のLコラム、ジェンティルドンナが3歳牝馬芝のLコラム、オルフェーヴルが4歳以上牡馬芝のLコラムとEコラムでトップになります。芝のL以上のコラムで高い評価を得ました。長距離は日本馬ということですね。

さてさて、国際レーティングを語る際に問題となっていたことは、昔は130以上の高いレーティングを得る馬が多かったのに最近は減った、ということです。昔ほど傑出馬が出なくなった、と説明することも多かったですが、評価が辛くなったのではと言われることも多かったです。
で、昔の馬と最近の馬で評価の仕方がばらつかないようにするための調整が行われました(かなり重要な内容のpdfでwebから消えていいようなものだとは思わないのですが、なぜかweb上から消えてしまったので、アーカイヴズに仮置きしたのですが、BHAのサイト上でpdfを見つけました)。年ごとの120ポンド以上の頭数、上位19頭の平均などがだいたい同じようになるように調整したと言うことです。その結果、昔の馬のレーティングが下げられました。具体的には、調整前のレーティングの順位はダンシングブレーヴ(141)、Alleged(140)、Frankel(140)、Shergar(140)、El Gran Senor(138)といった具合だったのが、調整後にはFrankel(140)、ダンシングブレーヴ(138)、パントレセレブル(137)、ジェネラス(136)、Sea The Stars(136)、Shergar(136)といった具合です。
昔の馬が高すぎたというのは分かるのですが、同じく圧勝型のShergarとFrankelを比べてFrankelの方が上であるとは思わないので、仕方がない変化とは言え違和感は残ります。結局はレーティングは時代が違う馬の比較に使うのは難しいということだと思います。