うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

Starspangledbanner

2010-07-12 20:05:17 | 競馬日記
Starspangledbannerという馬がなかなか強いようですね。オーストラリア産で当地でコーフィールドギニー、オークレイプレートとGI2勝。Coolmoreに推定1000万豪ドル(約8億円)でトレードされ、5月からエイダン調教馬としてレースに出走し、初戦は破れたもののゴールデンジュビリーS、ジュライCと連勝しました。

本馬についてエイダンが「世界のスプリント界の、血統的構図を変えてしまうのではと思えるほどの馬」と語ったそうですね(記事)。
Starspangledbannerの配合ですが、Choisir×Made of Gold×Vain×Zamazaanという累代交配。Choisirは6Fと7FのGIを勝っているDanehill Dancerの仔のスプリンター。Coolmoreでシャトルサイアーとして供用されています。Made of Goldはロベールパパン賞を落としてフランス2歳GIグランドスラムを逃したGreen Forestの仔でロイヤルロッジSの勝ち馬。Vainは2000ギニー馬Court Martialの仔で8Fまでのビッグレースを勝ちまくった豪年度代表馬。Zamazaanは凱旋門賞馬Exburyの仔で2400~3100mで活躍したステイヤー。累代交配の面ではスタミナ血統は曾祖母父Zamazaanぐらいですからスピードの勝ったタイプと見ることができるでしょう。
クロス馬の観点からはCourt Martial 7 x 5、Grey Sovereign 7 x 6の系列ぐるみの影響が強く、やはり短距離向きであることが分かります。単なるスピード馬ではない点はCourt MartialのHurry Onを生かしていること、豊富なHyperion - Gainsborough、Zamazaan内Tehranの系列ぐるみでしょう。
よくない点です。曾祖父DanehillはNatalma 3 x 3、祖父Danehill DancerはNative Dancer 5 . 5 x 4 . 5。Native Dancerの血が能力形成に関わっています。ChoisirではNative Dancerのクロスはありませんが、代わりにTom Fool 6 x 4により、Sickle=Pharamond 8 . 8 . 9 . 9 . 9 . 9 x 6がNative Dancerのスピードを引き継いでいます。しかしながらStarspangledbannerはNative DancerもTom Foolも生かさず、Sickle=Pharamondのクロスすらありません。父の生かし方としては不十分と言っていいと思います。
さて、エイダンの言葉が種牡馬としてのStarspangledbannerを意味しているのか分かりませんが、種牡馬としてのStarspangledbannerを考えると、世代が後退している部分、オーストラリアローカル化している部分が複数個所あること、Starspangledbannerの血統内で6代以内にクロス馬になりそうな部分が少なく、母方の影響が強くなりそうなこと、が気になります。オーストラリアで種牡馬生活を送るならまだしも、他の国ではランダム交配で確率良く優秀な馬を出すのは難しいように思います。
とは言っても、Coolmore、エイダンが認めたスプリント界のスーパースター。今後の動向が注目されます。