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うぉんばっとな毎日

大用、現前するとき、軌則を存せず

セレクトセール2006

2006-07-20 21:06:52 | セリ
今年もセレクトセールが行なわれました。
キングカメハメハ×トゥザヴィクトリーが6億円で落札されたり、派手なニュースのあるセールになりました。

さて、昨年に引き続き、データをまとめてみました。
各種牡馬別のデータはこちらにあるので、父系別でまとめてみました。

上場馬、落札馬の父系について
1歳馬の場合(上場頭数165、落札頭数109)
Hail to Reason系:上場馬の49.09%、落札馬の46.79%、落札額平均値2976.5万円、落札額中央値2000万円
(Halo分枝では上場馬の31.52%、落札馬の28.44%)
Nearctic系:上場馬の22.42%、落札馬の19.27%、落札額平均値4440.5万円、落札額中央値3000万円
(Northern Dancer分枝では上場馬の20.61%、落札馬の17.43%)
Raise a Native系:上場馬の13.33%、落札馬の17.43%、落札額平均値2668.4万円、落札額中央値1850万円
(Mr. Prospector分枝では上場馬の12.73%、落札馬の16.51%)
Nasrullah系:上場馬の13.33%、落札馬の14.68%、落札額平均値2621.9万円、落札額中央値2300万円
その他:上場馬の1.82%、落札馬の1.83%、落札額平均値1850.0万円、落札額中央値1850万円

当歳馬の場合(上場頭数304、落札頭数221)
Hail to Reason系:上場馬の51.32%、落札馬の48.42%、落札額平均値3295.3万円、落札額中央値2500.0万円
(Halo分枝では上場馬の36.84%、落札馬の35.29%)
Nearctic系:上場馬の14.14%、落札馬の14.93%、落札額平均値3847.0万円、落札額中央値2600万円
(Northern Dancer分枝では上場馬の10.86%、落札馬の11.31%)
Raise a Native系:上場馬の25.66%、落札馬27.15%、落札額平均値4983.3万円、落札額中央値2850万円
(Mr. Prospector分枝では上場馬の25.33%、落札馬の27.15%)
Nasrullah系:上場馬の8.22%、落札馬の9.05%、落札額平均値2445.0万円、落札額中央値1650万円
その他:上場馬の0.66%、落札馬の0.45%、落札額平均値6600.0万円、落札額中央値6600万円

括弧でくくっていない色付きの系統を合計すれば100%になります。
最初の分岐の起こっているところで系統を区切っており、それ以下の分岐を分枝としています。
昨年、Hail to Reason系が50%を突破しましたが(ブログ)、今年も1歳馬、当歳馬とも50%前後でした。
1歳馬の方では、他の系統は昨年と似通っています(昨年は当歳馬のみのセールだったので当然と言えば当然です)。
当歳馬の方では、Raise a Native系が勢力を増し、Nearctic系が減退しました。キングカメハメハ産駒が43頭も上場されたのが影響したのでしょう。
上位4系統による寡占状態であり、「その他」の系統は1%未満しかありませんでした。
落札額は思ったより系統による差はでませんでした。人気種牡馬がいてもプールしたらマスクされてしまうのでしょう。その他の系統は落札額が1歳馬で低く、当歳馬で高いですが、サンプルサイズが極端に小さくどうとも言えません。当歳馬のセールではRaise a Native系が落札率も落札額も高いですが、人気の高かったキングカメハメハの影響でしょう。

セレクションセール

2006-07-17 23:46:38 | セリ
セレクションセールの初日でした(記事)。
最高落札額はウインクリューガー全弟とフジキセキ×ユウキビバーチェの4000万円でした。両方ともコスモヴューファーム、すなわちラフィアンが落札しました。
ウインクリューガーの全弟は既に実績のある配合なので言うことはないですが、「ユウキビバーチェの2006」の方もしっくりくる配合です。いい買い物だと思います。父フジキセキ×母父トニービンの代表格と言えばドリームパスポートでしょうか。どちらもHyperionを主体としています。

18億円ホース

2006-03-04 21:58:43 | セリ
2歳トレーニングセールで落札額のレコードが出ました(日本語記事英語記事)。
1600万ドル(約18億6000万円)だったそうです。

母Magical Masqueradeの牡馬です(配合:Forestry × Magical Masquerade (by PedNet)Forestry×Magical Masquerade)。
試走で1/8マイル(=1ハロン)を9.8秒で走ったそうです。確かに速いです。
血統的にはDr. Fargerが4x5、その父Rough'n Tumbleも5x6*6*7、母Aspidistraも5x6*6で、影響が強いです。
スピードはDr. Fargerゆずりでしょうか。
父のForestryも母父のUnbridledも早熟色の強い種牡馬ですし、またLe Fabuluex内が弱いので、早熟スピード馬って感じがします。
血統的に単なるスピード馬でないところを探すとすれば、6代目にPrincequilloとAlibhaiをクロスしているところでしょうか。
プロの目がどれだけ正しいか、この馬には注目したいです。

CoolmoreとGodolphinが競り合ったようですので、よほどよく見えたのでしょう。
もしくは2大勢力の対抗心がこの額を産んだのでしょうか。
セリの状況は合田さんのレポートを待ちたいです。

追記:合田さんはやはりCoolmoreとGodolphinの競り合いだからこそ実現した非現実的な金額と見ているようです(記事)。

セレクトセール(総括その2)

2005-08-01 19:10:26 | セリ
母の父に目を向けると、ここでもブライアンズタイムが高い評価を受けました。

ノーザンテーストは標準的な評価です。
しかし、ノーザンテーストはBMSとしてかなり劣っており、血の質の低さは明白です。
今さら毋父ノーザンテーストの馬を生産する意義があるのでしょうか。

また、ノーザンテーストは五十嵐氏理論的にも目の敵にされる訳ですが、
それはノーザンテーストの毋父Victoria Parkの血の特殊性と
Lady Angelaの近交のバランスの悪さが原因です。
その一方で、Victoria Parkの持つカナダの血とNorthern Dancerの組み合わせは数多く試されています。
有名どころでも、
ヴァイスリーガル = Vice Regent(ノーザンテースト × ヴァイスリーガル
ノーザンアンサー(ノーザンテースト × ノーザンアンサー)。
The Minstrel = Far North(ノーザンテースト × The Minstrel
Night Sifht = Barachois = エリモシブレー(ノーザンテースト × Night Shift
Storm Bird(ノーザンテースト × Storm Bird
がいます。
ある程度深い位置でこれらの馬と組み合わせれば弱点はカバーできるでしょう。

ノーザンテーストの牝馬を持っている牧場は、種付け料の高い種牡馬を付けて駄馬を作ると言った非効率から脱却し、ノーザンテーストの弱点を消滅させる方向で配合して行った方がいいのではないでしょうか。
つまり、高い種牡馬を付けることよりも、弱点を補正することを目的として配合するか、ノーザンテーストを血統表内の深い位置に追いやって弱点を消すか、ある程度深い位置で前記の馬などと組み合わせて弱点を補正するか。

BMSの父系で見ると、Northern Dancer系、Nasrullah系が多く、これらが脇役になっていることがよく分かります。
Native Dancer系は父系としてもBMSとしても主導的な位置にはおらず、まだまだ利用可能でしょう。特に、Raise a Nativeを経ないNative Dancer系(例えばSharpen Up系)は利用価値が高いように思います。

セレクトセール(総括)

2005-07-26 20:50:02 | セリ
落札額ランキングでは、まだ産駒がデビューしていない(セリ開催日時点で)種牡馬の子が高い価格で取り引きされる傾向にあり、産駒が既に走っている種牡馬は5位以内でブライアンズタイムだけでした。
未知の魅力に対する投資が大きいセリだったと言えるでしょう。
ブライアンズタイムは極端に高い価格で取り引きされたものがいない代わりに、平均的に高い価格で落札されました。さすが実績馬です。

父系別ではHail to Reason系が全体の5割以上を占めました。
その中でもサンデーサイレンスを通る系統だけで3割以上を占めています。
数年後にはHail to Reason系の繁殖牝馬が溢れかえることになります。
中小牧場が質の高い馬を安定生産しようと思えば、
Hail to Reason系の人気種牡馬を避けざるを得ないでしょう。
社台はおそらくHail to Reasonブームが去った頃に
Hail to Reason系の繁殖牝馬用の非Hail to Reason系の種牡馬を提案するでしょうし、
今のHail to Reasonブームに巻き込まれれば、
ブームの後にはまた社台系の種付け料の高い種牡馬を使わざるを得なくなるでしょう。
そうすると高コスト体質から抜け出せなくなると思います。

セレクトセール(統計その4)

2005-07-22 21:33:31 | セリ
7.上場馬のBMSの父系について。

占有率の高い順位
1位:Northern Dancer系(上場馬の39.0%、落札馬の38.0%)
2位:Nasrullah系(上場馬の17.1%、落札馬の17.4%)
3位:Mr. Prospector系(上場馬の16.8%、落札馬の16.5%)
(Sharpen Up系、Alydar系などを含めたNative Dancer系で考えれば
上場馬の21.3%、落札馬の20.7%であり、2位と入れ替わる)
4位:Hail to Reason系(上場馬の14.6%、落札馬の15.3%)
(Turn-to系で考えれば上場馬の15.9%、落札馬の16.5%)

これら上位4系で上場馬の87.6%、落札馬の87.2%を占める。
(Native Dancer系、Turn-to系で考えれば、上場馬の93.3%、落札馬の92.6%)

セレクトセール(統計その3)

2005-07-21 21:55:45 | セリ
6.上場馬の父系について。
Hail to Reason系が最大勢力で、上場馬の51.4%、落札馬の51.6%を占める。
Northern Dancer系が第2勢力で、上場馬の22.5%、落札馬の23.6%、
Mr. Prospector系が第3勢力で上場馬の11.7%、落札馬の10.7%、
Nasrullah系が第4勢力で上場馬の8.3%、落札馬の9.1%を占める。
この上位4系統で、上場馬の94.0%、落札馬の95.0%を占める。

Hail to Reason系の中では、
サンデーサイレンスを経由する系統は上場馬の32.7%、落札馬の34.3%、
Robertoを経由する系統は上場馬の14.9%、落札馬の15.3%であった。
サンデーサイレンス、Robertoを経由しないHail to Reason系はタイキシャトルだけであった。

当然、父とBMSの両方がHail to Reason系の同系交配も見られ、
上場馬の5.7%、落札馬の6.2%であった。

セレクトセール(統計その2)

2005-07-19 21:12:12 | セリ
3.全落札頭数242頭、落札額の中央値2,600万、平均値3,294万。

4.BMSに注目すると、落札頭数が一番多かったのはサンデーサイレンスの25頭。

5.落札頭数が4頭以上だったBMSの落札額の比較。
1位:ブライアンズタイム(中央値3,400万、平均値3,213万)
2位:Nureyev(中央値3,350万、平均値6,300万)
3位:Caerleon(中央値3,000万、平均値4,000万)
4位:サンデーサイレンス(中央値2,900万、平均値3,544万)
5位:Woodman(中央値2,700万、平均値3,540万)
6位:Storm Bird(中央値2,675万、平均値2,763万)
7位:ノーザンテースト(中央値2,600、平均値2,685)
8位:リアルシャダイ(中央値2,500万、平均値3,050万)
9位:トニービン(中央値2,000万、平均値2,200万)
10位:ヘクタープロテクター(中央値1,775万、平均値1,938万)
11位:Gone West(中央値1,600万、平均値2,800万)
12位:Danzig(中央値1,500万、平均値1,925万)

セレクトセール(統計)

2005-07-14 21:13:49 | セリ
1.落札額1億円以上の頭数
・一昨年:9頭(そのうち8頭がサンデーサイレンス産駒)、
 最高落札額3億3千万円(サンデーサイレンス x セトフローリアン)
・昨年:8頭(そのうち3頭がダンスインザダーク産駒)。
 最高落札額4億9千万円(ダンスインザダーク x エアグルーヴ)
・本年:7頭(そのうち3頭がアグネスタキオン産駒)
 最高落札額2億1千万円(シンボリクリスエス x マストビーラヴド)

2.本年の種牡馬別落札額ランキング
落札頭数が4頭以上の種牡馬で比較した。
極端に高い(低い)落札額のものが含まれると
平均を取った時に値がそれに引っ張られてしまうので、
中央値(Median)での比較が妥当と考えた。
落札率は落札頭数/(上場頭数ー欠場頭数)(%)である。

1位:シンボリクリスエス(中央値4,400万、平均値4,924万、落札率82.6%)
2位:ブライアンズタイム(中央値4,350万、平均値4,194万、落札率88.9%)
3位:アグネスタキオン(中央値3,700万、平均値5,012万、落札率91.3%)
4位;ウォーエンブレム(中央値3,200万、平均値4,050万、落札率100%)
5位:ジャングルポケット(中央値3,000万、平均値3,194万、落札率88.9%)
6位:タニノギムレット(中央値2,900万、平均値2,293万、落札率77.8%)
7位:スペシャルウィーク(中央値2,800万、平均値2,800万、落札率77.8%)
8位:ダンスインザダーク(中央値2,650万、平均値3,057万、落札率70.0%)
9位:クロフネ(中央値2,600万、平均値2,765万、落札率100%)
10位:フォーティナイナー(中央値2,525万、平均値2,613万、落札率80.0%)
11位:タイキシャトル(中央値2,500万、平均値2,740万、落札率45.5%)
11位:フレンチデピュティ(中央値2,500万、平均値2,706万、落札率100%)
11位:サクラバクンオー(中央値2,500万、平均値2,689万、落札率100%)
14位:ファルブラヴ(中央値2,225万、平均値2,563万、75.0%)
15位:アドマイヤベガ(中央値2,150万、平均値3,563万、落札率92.3%)
16位:マンハッタンカフェ(中央値2,100万、平均値2,581万、落札率68.4%)
17位:ワイルドラッシュ(中央値2,050万、平均値1,975万、落札率60%)
18位:フジキセキ(中央値2,000万、平均値2,227万、落札率100%)
19位:ゴールドアリュール(中央値1,750万、平均値1,575万、落札率66.7%)

セレクトセール

2005-07-12 20:30:31 | セリ
昨日から2日間に渡ってセレクトセールが行われました。
落札額が1億円を超えたのは7頭で、最高額は「マストビーラヴドの2005」の2億1千万円でした。「マストビーラヴドの2005」は半姉に本年の3歳マイル2冠馬のラインクラフトがいます。ただ、ラインクラフトの方が配合的に良さそうですね。

種牡馬別ではアグネスタキオン産駒が高い評価を受けたようで、3頭が1億円以上でした。

高額落札馬の中で血統構成的に注目すべきは半姉にトゥザヴィクトリー、半兄にサイレントディールがいる「フェアリードールの2005」(落札額1億7千万円)でしょう。
父がこれら2頭のサンデーサイレンスからアドマイヤベガに変わっています。
中島理論的に考えると、4代血統表内で、父のアドマイヤベガ、祖母父のSharpen Up、曾祖母父のTerrible Tigerと3回0交配を用いています。そして、父が既に死亡しているマイナーさ。

中島理論的にNureyevが最優位ですが、五十嵐氏理論的にもNureyevを強調しています。
父も毋もHyperion-Gainsboroughが豊富で、傾向が合っています。大きなクロスとしてはNorthern Dancerの4×3があります。
Northern Dancer4×3を持ち、父がサンデーサイレンス系の馬としてはデルタブルースがいます。デルタブルースは父ダンスインザダーク、母父Dixieland Band、祖母父Alleged、曾祖母父Sir Ivorで、Bull Lea、Blue Larkspur、War Admiralといったアメリカ系のスタミナを積極的に活かし、さらにAlibai、Princequillo、Ribotも加えています(IK評価:菊花賞)。中長距離向きの配合としての迫力は十分です。
それに対し、「フェアリードールの2005」では、アメリカ系はあまりクロスしない代わりにHyperionが14個、Gaisboroughが20個、Pharosが14個、Phalarisが16個と次世代型土台構造を作っており(デルタブルースではHyperionは9個、Gainsboroughは15個、Pharosは11個、Phalarisは11個)、またNorthern Dancerの4×3への血の集合も見どころがあります。
父、半兄姉が中距離タイプであり、また前面でAlmahmoud、Pharamond、Nasrullah、Khaledがクロスしているため、スピードが勝っているように見えますが、Hornbeam、Amerigoの活かし方は完璧だし、Foxhunter、Beau Pereのスタミナも加えているし、父、半兄姉同様2400mぐらいは持ちそうです。配合として、十分及第点です。
コンラッドは母父NureyevでNorthern Dancer4×3を持つので、これの評価も参考になります(IK評価:ラジオたんぱ賞)。
「フェアリードールの2005」の方が土台構造が磐石なので、私が採点するならコンラッドより上にしたいです(久米氏がどう評価するかは知りません)。
まだ重賞を勝っていないためウェブ上に評価が公開されていませんが、アドマイヤフジの配合も参考にしてください。

参考:サイレントディールのIK評価(武蔵野ステークス)