裏日記「B面」

工房しはんが日々、ふと感じたり、しみじみとふけったり、ぴんとひらめいたり、つくづくと考えたりしてること。

宮古島紀行・2

2008年10月08日 19時09分56秒 | Weblog
東京の猛暑は下から立ちのぼってくるけど、沖縄の暑熱は成層圏からじかのもの。
ちりちりとあぶられるような暑さだ。
空中にちりの薄膜がないから、光が清潔。
そんな光線が、あの真みどりと真紅の植物群をつくる。
そして青インクをぶちまけたような紫紺の空。
エメラルドブルーの海。
シンプルにして複雑極まる色彩群。
自然は天才だ。
道はつづくよ、島の果てまで。
とろとろと右往左往するうちに、一年ぶりの運転技術が「アクセルは右足」「ブレーキはまん中にある」「ウインカーを出した後にハンドルを切る」というようなことをおぼろげに思い出しはじめる。
そんな危ないなー、と思うかもしれないが、なにしろここは離れ小島。
先行車もいなければ、後続車もいず、対向車もおよそ皆無。
自分のペースで安全運転が許される、初心者天国なのだ。
道は起伏に富み、ゆるやかな稜線を右に左に曲がりくねるたのしいワインディングが楽しめる。
のんびりとしたジェットコースターみたい。
むき出し赤土にサトウキビ畑が延々と連なる国道を、まずは「うまい」と評判高いソーキそば屋に向かった。
てんこ盛りの宮古そばの入った丼に、昆布とニンニク風味のダシが張られ、ゴツくてうまみたっぷりのブタ角煮がでんでんでんとのっかって、600円。
んまかった。
腹がふくれたら、いよいよ目的の浜へゴー。
ツマは助手席で、地図をあっちにこっちにひっくり返して必死のナビゲート。
なんとか島の東南端「吉野海岸」に到着。
一年前にもきたんだけど、ここは沖縄県内でも飛び抜けた水の透明感と珊瑚礁がすばらしいのだ、みんなも一度きてみて。
なにしろ足を水にちゃぷんと入れたその数メートル先から、いきなり見渡すかぎりにラグーンがひろがる。
はじめてのひとはきっとギョッとして、ドキドキわくわくと興奮し、そして最後にはうっとりと恍惚せざるをえないんじゃないかな。
オレは素潜り派なので、シュノーケルもフィンも無しに、素足、海パン、水泳ゴーグルいっこで飛び込んでく。
水底はおもちゃ箱をひっくり返したかと見まがうような、色とりどりな生態系の極楽浄土。
よその海では、一匹のニモ(カクレクマノミ)をファインディングすれば歓喜してたのに、ここではそのオレンジの天使も超インフレの過密状態。
他にも多種多様の海洋生物が迎え入れてくれる。
愛らしいのやら、邪悪なのやら、ヒモみたいに長いのやら、座布団みたいに巨大なのやら、紙みたいに平ぺったいのやら、フグやらウツボやら黄色いのやらまっ青なのやらまっ赤なのやらえげつないのやら、目くらむような世界が展開される。
そして、しみじみと心癒されるのだな。
ただ、水中でも傍若無人というか、作法を知らぬ人間の素行が目につき、心痛みもし。
珊瑚を踏んづけてギャーギャーはしゃぎ回るギャル軍団・・・
魚肉ソーセージをエサにお魚たちをいたずらに狂喜乱舞させるワカモノ軍団・・・(環境ホルモンで魚の奇形が大量発生中。自粛を)
海にもぐりたての頃の自分にも身に覚えがあるだけに、切ない。
だけど水中パトロールの任を勝手に負う旅人ふたり。
無作法者にはいちいち声をかけ、諭し、美意識を浸透させるためにラグーン内をくまなく哨戒する。
年々荒れていく珊瑚を見るのは、つらすぎる。

つづきます

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
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