マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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長滝町正月ドーヤ

2010年03月12日 07時33分39秒 | 天理市へ
毎年5日に「正月ドーヤ」が営まれている天理市長滝町。

九頭神社のケイチン、地蔵寺のオコナイにカンジョウナワ掛けが纏めて一日で行われる。

朝の空気が冷んやりするなか、神社に集まってきた宮本衆、当家に世話方の行司だ。

元来は5人の宮本衆だった(※ 元治九年(1873)「當家帳」によれば宮本五人と墨書されている)が現在は十人衆で構成され、亡くなるまで続けられる。

宮本株を買って座入りができるのは長男と決まっており、誕生したときから入れる。

次男、三男は座入りができないが、婿養子は加入できる。

ただし、村入りして籍を入れたときが誕生となる計算なので年齢が大きく逆転する場合もある。

誕生日の順になるので、長男が生まれてその子が座入りすれば僅差になるそうだ。

昭和44年10月12日調の『座中蓮名簿』にはその順に記載された座衆の名前が並ぶ。

亡くなれば抹消される。

座入りの儀式は鯛の焼き物がつきものだった。

平成に入ったころに改正されたが、当時は板前さんに来てもらって祝いごとをしていたという。

行司は二人で家廻りの順と決まっているが、服忌のときは一軒飛ばす。

今年の当家は本当家と受け当家がある。

今年の行事の見習い役になる受け当家は翌年に本当家となる。

27軒の長滝町、これらの三役は重なる場合が多分にある。

現に当家の一人は十人衆で、行司の一人は受け当家だった。

本当家のご婦人も手伝いをしている。

「正月ドーヤ」に使われる弓、矢、鬼的、牛玉宝印書などは行司、当家、十人衆が分担して作られる。



ごーさんと呼ばれる牛玉宝印書は二種類で、九頭神社と地蔵寺があるが朱印される宝印はひとつである。



三つに割いたネコヤナギの茎枝に挟む。

弓はサクラの木と竹が使われる。

サクラは一老が射る弓で竹は十人衆や当家が射るものと分かれている。

いずれも弦は麻苧が使われる。

ヤダケと呼ばれる竹で作った矢には矢羽根に「家内安全」と墨書される。

鬼的は竹で編んで半紙をのり付けする。

そこに大きな文字で「鬼」と書く。



「苗」と呼ばれる新ワラの束。

半紙を広げて洗い米と葉付きシキビの枝を入れる。



それを「苗」の中に閉じこめる。

もうひとつはカンジョウナワだ。

縄を編んだ細いカンジョウナワ。

数カ所に葉付きシキビを括り付ける。

行事のすべての道具が揃ったら、九頭神社拝殿に登り正月ドーヤ行事の無事を祈って神事が行われる。



神饌にネコヤナギのごーさんを供えて一老が神前で祓えの儀、祝詞奏上などが厳かに執行される。

一老は神主の役目であるが、今年は代行で二老が勤められた。

(H22. 2. 5 EOS40D撮影)


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