マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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室生小原の正月飾り

2012年02月22日 21時17分00秒 | 宇陀市(旧室生村)へ
小原在住のK氏邸。

門に〆飾りを掛けられている。

その形といえばクギ煮のように90度曲げられた太い藁束で、下部にダイダイを取り付けている。

まるで杓子のような形だ。

その端に炊いたご飯が置かれている。

正月の三が日の毎朝どころか15日までの毎日。当主がおましたお供え。

そこには松やウロジロに実付きのフクラシの木もある。

それら合わせて「正月飾り」だと言う一体もの。昭和の時代までは玄関口に飾っていたそうだ。

このような門や玄関に注連縄などを飾ってそこに御供を置く風習事例が見られる。

奈良東部の山間。

長谷町垣内脇のN家では正月2日に藁を編んだ棒の形のようなものを玄関口の外側に取り付ける。

直角に折って曲げて崩れないように藁紐で括っている。

まるで手の形のような杓子のようである。

祖母が朝に箸で摘んで四角いモチとご飯を入れる。



本来は当主がするのであるが「年寄りの役だと言って受け継いでいる。

それはシメナワサンと呼んでいる。

福住町別所に住むNさんも同じような形式で供えている。

藁で作った棒のような長いものは長谷町と同じようで杓子の形。

そこにクシガキを2個、モチも2個、コウジミカンは1個を供える。

「外の神さんが来やはんので供える」のだという。



これを「カンマツリ」と呼んでいるが、充てる漢字は判らないという。

一方、盆地部の大和郡山市では2か所で同じような作法をされている家がある。

小林町に住むHさんは、正月の朝に、注連縄に取り付けたユズリハを丸く皿のようにする。

そこに炊いた米を五粒ほど乗せるそうだ。

それを「カンマツリ」と呼んでいる。

正月元旦の朝起きたときに当主がそこへ乗せるのだと話す。

正月の三が日間は毎朝する。

同じような作法でされている番条町の酒造り家。

玄関口の外側に注連縄を飾る。

注連縄に括りつけたユズリハの葉を丸くして炊き立てのゴハンメシを供える。

「歳神さんに食べてもらうのじゃ」と当主は言った。

神棚にメシを供えるような感じで3、4粒供えるという話しを思い出した。

番条町ではこれを「神祭り」と呼んでいた。

山間では注連縄と思われる藁棒を直角に曲げて御供を置く。

盆地部ではユズリハを皿に見立てて供える。

これを別所町と小林町では「カンマツリ」と呼んでいる。

番条町では「神祭り」と呼んでいる。

この行為を「外の神さん」に食べてもらうというのは別所町と番条町。

形式は違えども「外の神さん」に供えるのは共通している。

「カンマツリ」と呼ばれる御供行為はおそらく外の神さんに食べてもらう「神祭り」であろう。

(H24. 1. 7 EOS40D撮影)


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