マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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遅瀬中南寺九月観音講

2011年10月15日 08時24分37秒 | 山添村へ
観音講と言えばご婦人たちが集まって本尊に向かいお念仏を唱える。

見聞きしたその多くは年寄りで少人数だった。

しかし、山添村の遅瀬ではそれがあてはまらない。

20数名も集まってきたのだ。

お堂と言えば集会所になった中南寺(なかなんじ)。

かつては村の上の方にあったそうだ。

本尊の十一面観音立像にキュウリやオセンマイを供えて始まった観音講。

婦人たちは横一列に並んで導師が前に座る。

最初に懺悔文のお念仏が唱えられた。

次に西国三十三番のご詠歌を唱える。

右手に撞木(しゅもく)、左手はリンを持ちかえながらカセットテープが歌う音頭に合わせて打ち鳴らす。

カッ、カッ、カーン。

チリン、チリンの音色がお堂に広がる。

テープが反転する間は無音。

それにも合わせて手が止まる。

テープといえども導師の音頭は忠実に合わせている。

一般的には二十三番あたりでひと休憩をするのだが遅瀬ではそれもせずに一気に全曲を終えた。

観音講は毎月17日のお勤め。

以前は36人もの講中だったが現在は26人。

村の婦人たちで埋まったお堂である。

引き続いて南無大師、五番大師のご詠歌。

そもそもの般若心経や相互供養までも。

1時間を越えたお勤めはこうして終えた。

5、6年ほど前まではセキハンを作ってお堂でよばれていたが今はパック詰めの料理。

月に一度の集まりに会話が弾む。

講中は4月と9月の大師講にも同じようにお勤めをされているそうだ。

そのときには寄せられた弘法大師さんの石仏の前になる。



婦人たちの話によればお盆のときにはトビウオを食べていたそうだ。

ドロイモの葉に乗せたトビウオ。

それは開きの干物で2尾を重ねていた。

下は生の干物で上に焼いたトビウオを乗せたそうだ。

両親が揃っている家では14日の夜にムシロを庭に敷いてそこで食べた。

食べるのは子供であったが塩辛いことを覚えているという。

親がいない家では13日だった。

居る家では14日に散髪をしてくれたという。

それはともかく食べる前には「いただけよー」と言われて頭の上にあげた。

その様相は正月にも同じ作法で当主がされる。

「ちょうじゃどん」という作法で正月の膳を頭の上にあげる

そのようなお話をしてくださったUさんは県立民俗博物館を度々訪れるそうだ。

それもそのはず、開館する前に撮ってもらった茶摘みをする絣の着物姿が展示されているからだと話される。

その笑顔はうん十年前と少しも変わらない。

(H23. 9.17 EOS40D撮影)


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