マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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野依の田休み

2011年07月13日 06時38分03秒 | 宇陀市(旧大宇陀町)へ
農家にとっては田植えどきが忙しい。

家族が揃わないとできない仕事だ。

それを終えてほっとする時期は農休みとか田休みといわれている。

そして無事に終えたことを氏神さんにそれを報告するのが毛掛祭とか植付祭と呼ばれている地区の行事になる。

斑鳩の稲葉に住むYさんはその日を「ときより」と呼んでアンツケモチを作って食べたという。

大和郡山の横田に住むSさんはタコとキュウリの酢和えを食べたことを覚えているという。

「さなぶり」のことであったろう。

大宇陀の野依ではその日を「田休み」と呼んで社務所に集まってくる。

農家を営む人が多いようだ。

参拝といえばまずは社務所に納められている観音さんに手を合わす。

一人のご婦人はブルーベリーを混ぜた手作りの大福餅を供えた。

畑で栽培しているブルーベリー農家である。

小さな実だけにそれ採取するには手間がかかる。

実が採れるのは一時だけに年中売れるものにしたいと考案された大福餅。



それは加工品となるから保険所の許可を得なければならない。

試行錯誤されて作った大福餅を保険所で試食してもらったら大好評だったそうだ。

それは毎月一日の日に近くの道の駅で販売されている。

そうして村の行事が始まった。

集まるころに降りだした雨は本降りになりだした。

それで仕方なく白山神社の本殿に向けてローソクを立てた祭壇を廊下に設えた。

神饌はといえば本殿にある。

頭家が無農薬で栽培したダイコンと小松菜だ。

この一年を守っている頭家は始めて家で作ったという。

タネオトシをして栽培してきた神さんへ捧げる作物。

そのご加護もあるのか健康でいられると話す。

二人の頭家の奥さんは朝から境内を清掃されて枯れ葉をとんどで焼いていた。

「朝から降らなかったことが幸いでした」と話す。

さて、神事といえば般若心経を三巻唱えることだ。



長老が前に座りいつものように全員で唱えられた。

本来なら本殿の前に座るのだがこの日は雨だからそうされた。

「ゲッゲッゲッゲッ…」「クワックワックワッ…」の鳴き声は雨を欲しがる雨蛙(アマガエル)。

雨鳴きが聞こえてくる社に向かって田休みの喜びを祈った。

それを終えれば会食に移る。

風呂敷に包んで持ってきた家の料理は重箱もみられる。

以前はほとんどの家がそうであったが買ってきた弁当もあるがそれぞれの家のごっつぉだ。



ビールや酒も持ち込みの会食は村の講中の集まりでもある。

供えられた大福餅も下げられて配られた。

皮にも混ぜたブルーベリーの酸っぱさが餅の甘さと絡って、それはビール飲みにも好評な味。

1個100円で販売されているというから是非購入したいものだ。

(H23. 6.12 EOS40D撮影)


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