マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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市街地のムササビ観察

2012年08月14日 07時13分49秒 | 自然観察会(番外編)
ムササビを観察する機会を得た。

自然観察会でお世話になっている理科の先生からの案内であった。

これまでにも案内があったが、なにかの事業と重なっていて一度も参加したことがない。

その場ではムササビが食べたとされるエビフライは何個も見つけたことがある。

その度に、ここにはムササビが住んでいるんだと思っていた。

尤も、実際にムササビの姿を捉えることは難しい。

当日の夕方にはどしゃぶりの雨になったが、陽が落ちるころにはあがっていた。

理科フィールドワークでは雨で中止したことがないという先生の言葉が当たったのだ。

集合場所は東大寺南大門辺り。

一人、二人と参集する。

受付を済ませる理科部の先生方。

4月から野遊び自然観察会でもお世話になっている若手の先生だ。

この日にやってきたのは小学校の生徒たちとその親御さん。

この日の観察を楽しみにしておられた。

およそ100人もの観察者で賑わう南大門。

手には赤いセロファンを貼った懐中電灯を持っている。

ムササビを驚かせないように配慮する。

そのころに到着した数人の生徒たちと理科先生。

同行してきたのはNHK奈良放送局のデイレクターとカメラマン。

夕方6時から放映されている「ならナビ」の取材陣である。

学校長先生も参加する「生き物の調査と生き物観察会」が始まった。

走らない、声をださない、電灯は顔に当てないなど勝手な行動は起こさないと注意事項を伝える。

ムササビを初めて見にきてよく見えた、なんていうことはまずないと話す。

この夜の観察会のために事前下見をされた先生方は10頭ほども見たという。

今夜はひょっとするかも、と期待が寄せられる。

果たして今夜は。

ムササビ観察度合いがある。

ランクEは、巣箱やムサ糞、食べた松ぼっくりを発見したとき。

これは私でも可能だろう。

ランクDは、飛ぶ前の鳴き声、目の輝き、ふさふさの身体と尻尾だ。

ランクCは、滑空、親子姿。ランクBは、お乳を飲む様子。

ランクAは、食後の葉脈、姿を捉えた映像。

ランクSが大仏殿の前を飛ぶ姿でしょうと話されるが、暗闇のなかの様相だけに、とてもとても・・・。

ちなみにムササビは頭胴長が50cmぐらいで尾の長さは40cmほど。

意外と大きな身体だ。

皮膜を広げて飛んでいる姿は新聞紙片面ぐらいの大きさになるらしい。

まるで座布団が飛ぶような姿だという。

一方、モモンガの頭胴長は20cmぐらい。

尾っぽは16cmというからムササビの半分の小型動物。

ハンカチを広げた飛び方だそうだ。

種類はまったく異なる動物である。

そうして出発した観察隊。

樹木の植えに住んでいるムササビを求めて歩きだす。

まずはムササビを見つけることにあるが、今は子育ての真っ最中にあたる時期の森は営巣地。

野遊びサポのSさんの話では、若草山の山焼きに行った際、花火にあがる音に驚いて水谷茶屋辺りにいっぱい飛んできたという。

その件は直接見たことではなくて、茶屋の人が話していた状況である。

さて、ムササビはいてるんかな。

木々の上を見上げて歩く。

子どもたちがあっちにいると声をあげた方向を見あげるが・・・見えない。

老眼のせいだろう。

手探りで望遠鏡をその方向にもっていくが、現れるのは樹木の葉っぱばかりだ。

が、見えた。それはまさしくムササビの尻尾。

太くふさふさしていて、わりあい長めっていう感じだ。

姿は見えなかったが尻尾だけでも見えた。

感動もんである。

あっちへうろうろ。

こっちへうろうろ。

見上げてばかりなので首が疲れる。

地べたで寝ころんで見たいものだと思った。

木々は風に揺られてざわめく。

耳を澄ませていれば「グェーーグェーーー」と聞こえてきた。

ムササビの泣き声だが、姿は見えない。

「ギュァーーギュァーー」とも聞こえる。

同行していたテレビ取材陣は子どもたちが観察する様子を撮ってきた。

観察コースは1時間半。



ぐるりと回って戻ってきた。

あっちに飛んだという声で一斉に動き出す子どもたち。

「飛んだ、飛んだ」の声が弾む。

「ゴーーン」。

そのころ丁度、奈良太郎の名がある東大寺の鐘楼が打たれた。

時の合図である。

そんな様子は6日の「ならナビ」で放映されると云っていた。

が、自宅では映らない。

大阪放送局の電波は届くが、奈良放送局は受信されない地域。

残念と思っていたら、13日に放映された奈良市街地のムササビ。

思わず拍手をした。

ムササビは万葉集にも登場する日本固有種の小動物。

奈良時代のことだ。狩りで捉えられたムササビを献上しようとした際に詠われた一文が紹介されていた。

「大夫之高圓山爾迫有者里爾下來流牟射佐妣曽此」は「ますらをの 高円山(たかまどやま)に迫めたれば 里に下り来る」である。

(H24. 6. 2 EOS40D撮影)


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