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マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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石川町終い観音講

2015年09月14日 07時31分36秒 | 大和郡山市へ
北垣内、南垣内に西方の千束地区からなる46戸集落の大和郡山市石川町。

歴史は古く、かつては春日社の神領であった。

この日は12人の観音講の集まり。

公民館より繋がる室内奥に観音堂で般若心経を唱える。

観音講の営みは一年に四回ある。

8月は十日盆で9月は秋の彼岸で12月は終い観音講。

3月は涅槃の掛け図を掲げて心経を唱えている。

一同が揃えばご本尊を安置する観音堂に移る。

お供えは特に変わったものではなくお菓子などだ。

ローソクに火を灯して当番の人が前に座る。

膝を痛めたご老人は正座をするわけにはいかない。

老人乳母車を押して観音堂にやってくるぐらいだ。

膝を伸ばす婦人は格好が悪くて申しわけないと話す。

座布団を二枚重ねにしてお尻を乗せる。

そろそろ座椅子が要るようになったと話す婦人も要る。

導師を勤める当番の人は毎回交替するお勤め。

「それでは始めましてもらいます」と云って平鉦を打つ。

鉦を打つ調子に合せて唱える般若心経は三巻。

いつもこうしている。

この日のお勤めはおよそ10分間。

短いように感じる人もおれば、長くも感じる人もいる。

鉦を打つ調子によって気持ちが変わるのであろう。



ちなみに卓台には般若心経のお念仏が書かれてある敷布がある。

導師はそれに目を落とすことなく般若心経を唱えていた。

周りに座る同世代の婦人たちもそうである。

「身体に染みついているので自然とお念仏が出てくるのですが、稀には忘れて飛ぶこともありますわ」と話す老婦人に対して、般若心経のお念仏を書いた書物を広げる人もいる。

「若い私たちはまだまだですわ」と笑っていた。

お勤めを終えたら場を移す。

いつもなら観音堂との間にある台所でヨバレをいただくのであるが、終い観音講の日は座敷だ。

最長老の婦人が一年間の無事を感謝すると述べて直会に移った。

注文したご馳走を前にしばらくの時間を過ごす。

「どうか良いお年をお迎えくださいませ」と伝えて退席した。

(H26.12.20 EOS40D撮影)