マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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藤井の庚申さん

2010年06月14日 08時08分34秒 | 天理市へ
60日サイクルでやってくる庚申さんの日。

天理市藤井では庚申の日に接待されるヤドの家に集まってくる。

日が暮れた時間を集まる時間としているので夏期と冬期では異なる。

ヤドの家では庚申さんの掛け軸を掛け、その前に「おっぱん」と呼ばれる膳をだす。

白飯にお茶、ワカメの吸い物。

アゲとタケノコの煮染めに厚焼きタマゴ。

献立の決まりは特になく、適当なあり合わせ。

つまり家で食べている料理を供えている。

「おっぱん」は、「御飯」と表記され、「おんはん」が訛ったものであると考えられる。

昔は、さまざまな料理をこしらえて、バナナは一房程度の果物やお菓子も出していた。

食事が終わったらコーヒーにアイスクリームとだんだん派手になってきたという。

これではますます上昇してキリがないから、パック詰め仕出し料理と白飯と漬け物だけにした。

食事の接待はヤドがもつ。

藤井には北、上、南の三つの垣内があり、実施される日は同一日だ。

各垣内はおよそ7軒ずつの講家がある。

今夜の庚申講は北垣内のヤドの様子を伺った。

北垣内は7軒であるが都合で5人が参集された。

「おっぱん」の膳横に千円が積み重ねられている。

これは旅行費用の積立金だ。

年に6回の庚申さんの日に積み立てていくので一年で6千円貯まる。

だいぶと貯まったが旅行に行く日は決めていないそうだ。

ヤドの座敷にあがったときに掛け金を置く。



そうして料理の膳を広げて食事会が始まった。

庚申さんには手を合わせることなく灯明の火が揺らいでいるだけだ。

供えた一升瓶のお酒の栓を開けて酒とともに饒舌になっていく。

普段は犬の散歩ぐらいしか顔を合わさない。

2ヶ月にいっぺんはたっぷりと夜が更けるまで話しこんでいく。

こういう機会はとても大切なんですとヤドの奥さまが話される。

(H22. 5. 2 EOS40D撮影)