https://www.youtube.com/watch?v=T5al0HmR4to
アレはアレ、コレはコレ、ソレはソレ、アレとコレとソレ以外ではありえない──
世界は記述の確定を急ぐものにあふれている。
ゆらぎ、とまどい、まよい、ためらうものの痕跡を消し去るように、みずからもそのようにふるまってしまう。だれに、なにに、なんのために。いったい、なぜ。はじめから決められていたことのように。なにごともなかったかのように。なにかの、だれかのそばにいる資格を手にするために、みずからを捧げる、かのように。
この街が示さない、この街が知らない、どの街のどこにも記述の痕跡をみつけることができない、生きられている時間、ひとつひとつが静かに消えてゆく、しかしたしかに生きられ、生きられつづける位相がある。
ゆらぎ、とまどい、まよい、ためらい。ある記述への移行に、記述から記述へと向かうことのあいだに、ふるえているものがいる。アレ、ソレ、コレと指示するシニフィアンの明証性、明示的な意味の輪郭を拒むように。