他人のことを「理解した」と信じて疑わないのは、
そもそもの対人関係が萎え干乾びている者だけである。
──H.S.サリヴァン『精神病理学私記』阿部・須貝訳
見るかぎり、聴くかぎり、触れるかぎり
知るかぎりの世界の内部で自足するかぎり
非知、未知とつながる野蛮さは失われていく
わかることの位相に世界を収納するかぎり
わからないことのわからなさは消えていく
(飽き足らない心がみずからに告げる)
非知、未知、不確実、未規定、ランダムネス──
それらを糧として沸き立ち、生成的に立ち上がる地平
未規定、不確実であることが不安やおそれをみちびかず
ポジティブなシグナルをまとう予期のエロス
諦念に席を譲ることをしりぞけ、既読のコードを蹴破り
新たな希望が訪れるように生きられていく人間の地平がある