──竹田青嗣『新・哲学入門』講談社現代新書2022年
哲学は普遍的な世界説明を創り出す試みである。
だがそもそも何のために。こう考えねばならない。
人間だけが言葉によって世界を創る。
フリードリッヒ・ニーチェがいったように、
千の民族は千の「神」をもつ。
言いかえれば、千の民族が千の世界説明をもつ。
なぜ人間にとって普遍的な世界説明が必要とされるのか。
これに対する最後の答えは以下である。
「普遍暴力の縮減」のために。またそのことによって、
すべての人間の共存とエロス的共生を作り出すために、と。
哲学は、いまもう一度、普遍的な「世界説明」の創出の営みとして、
普遍洞察の方法として再生されねばならない。
つまり、全く新しい哲学の像が示されねばならないが、この課題は、
われわれの時代の人間と社会の可能性にとって必須のものである。
これを本書のマニフェストとしたい。